読書と寿命?

◎図書館の多い山梨県は……?

 大好きな医師・作家の鎌田 實(かまたみのる)先生が(『がんばらない』以来のファンです)、『日刊スポーツ』に毎日連載されている「コロナに負けない生き方」を楽しみに読んでいます。最近面白いことが書かれていました。山梨県は、健康寿命が高い県として知られています。2018年の健康寿命は、男性1位、女性3位でした。「NHKスペシャル」が、人工知能AIを使って膨大なデータを分析した結果、予想外のことが浮かび上がってきたというのです。

 山梨県は、人口比率で図書館の数がダントツに多いんです。人工10万人に対する図書館の数は、全国平均で2.61ですが、山梨県6.56と、全国平均の3倍に近いのです。蔵書数も全国でトップクラス。運動の実施率は全国でも低い方ですが、読書の習慣が、運動の少なさをカバーしているという結果が出たのです。

 「読書と寿命が関係ある?」という意外なポイントが明らかになってきました。読書と寿命の関係は、世界でも広く研究されています。アメリカのイエール大学の発表によれば、本を読む人は寿命が2年近く長いということです。理由は分かりません。読書への意欲があるということ自体が、若々しく健康であるということなのかもしれません。私は、読書の大切さを長年生徒たちに説いてきましたが、もしそうならば、若い生徒たちにも一層強く薦めなければいけませんね。最近本を読まない生徒が一段と増えています。全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が、2018年に行った調査によれば、電子機器を含めた1日の読書時間がゼロの大学生が、53%にものぼることが分かりました。一方で、スマホの使用時間は、1日平均177分間だそうです。平成15年に文部科学省が実施した調査結果によれば、平日に読書をしない子供の割合は、小学生が28%、中学生が48%、高校生が61%という惨憺たる状態でしたから、その芽が発芽したのがこの惨状と言えましょう。発表された最新調査結果でも、1日の読書時間ゼロの大学生が48%にのぼりました。昨年より5%下がりましたが、依然として高い数字です。一方、「1時間以上」の学生は前回より約8%増え、読書をする層としない層の二極化が進んでいます。大学生協連の担当者は、「受験勉強や部活動で忙しい高校時代に読書週間が失われている。大学入学後に時間的なゆとりができ、一部の学生は再び本を手に取るが、読書週間が戻らない学生も多いようだ」と分析しておられました。

 松江北高の生徒たちを見ていても、このことは一致しています。本を読みません。「忙しい、時間がない」と彼らは言います。しかしこれは事実ではありません。読んでいる生徒はちゃんと読んでいますから。「忙しい」というのは単なる言い訳にすぎません。こういう生徒はたとえ時間があったとしても、本に目を向けようとはしないのです。私の北高での長年の観察によれば、成績の伸びる生徒というのは、読書好きの生徒が多いようですよ。⇒私の「新・伸びる生徒とは?」松江北高で伸びる生徒には共通した特徴が見られることを観察したものです。ご覧下さい コチラ

 人生は限られている。実生活の中で何もかも体験することはできない。そこで読書が重要になる。本や新聞の中には無尽蔵の知識や情報が満ちている。人間の思考のさまざまな道筋が痕跡を残している。それをたどることは論理的思考の訓練となろう。

 感動の追体験は情緒をはぐくみ、正義を愛し卑怯を憎むことを学んで徳性を養うこともできる。読書はそうした人間の基礎をつくる国語力を涵養する。そのおおいなる力をもう一度思い返したい。   ―『産経新聞』2006年10月29日

 元・松江北高の校長で、東出雲町町長在職時、2010年末に急死された尊敬する鞁嶋弘明(かわしまひろあき)先生は、まず小学校3校、中学校1校に専任の学校司書を配置されました。そしてとてつもない規模と充実した中身の東出雲町立中学校の図書館を作られました。その結果、素晴らしい成果を残され、モデル校として全国から見学者が絶えません。なぜ先生は学校図書館の充実に尽力されたのか?というと、実は松江北高の進路部長、校長時代の経験に遡ることができます。北高で、学年の途中から、ぐ~んと成績が伸びる生徒がいるので、なぜか?と思って調べて追跡してみたところ、その生徒たちの共通点は、とてもよく本を読んできた生徒だったのです。以来、松江北高が、毎年図書館の書籍購入予算(県下NO.1)に、ことのほか力を入れて頂いているのには(財政難で県内のどこの学校も図書購入費を削る傾向にあるにもかかわらず)、こんな歴史があったのです。

 私のもう一つの観察。生徒が本を読まないのは、大人が本を読まないからです。最近の教員も、「忙しい」と称して本をあまり読まないようです。本好きの両親の家庭に育った生徒は、高校でも本が大好きです。両親が、そして教員が本を読む姿を毎日見ていれば、生徒たちも本に手を伸ばし始めます。藤原正彦(ふじはらまさひこさんの言う「自ら本に手を伸ばす子」を育てるのが、私たちの仕事なのでしょう。

 コロナ禍にあってどこにも旅行に行けない私は、ひたすら本屋に通い、本を読んでいます。人生の進路で悩んでいて、偶然立ち寄った本屋さんでふと立ち読みした本の中で、その先のヒントが見つかった経験とか、今悩んでいる問題の答えが偶然読んだ本の中でその解決策が見つかることも珍しくありません。こういう読書の力を身をもって経験をしているので、教養を身につけるというより、実用的な理由で、読書をしています。その本を読むか読まないか、そんな小さい行動がその後の人生に影響を与えてくる。それが読書の不思議なところです。今日はそれに「長生き」が加わりました。「長生きしたければ本を読め!!」♥♥♥

▲八幡が今週本屋で購入した本 旅行にいけない私はひたすら読書三昧

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