リスニングの作戦

 私の長年の観察によれば、リスニング試験を苦手とする生徒たちには共通点があって、①語彙力不足、②聞く絶対量が不足、③集中力不足、のようです。これを克服しない限り、成績向上は望めません。毎日少しずつでも、時間を決めて英語の音声を聞くことが極めて大切です。

 リスニング勉強の基本。まず知らない単語は聞こえません。自分の知らない単語はいくら聞いても頭の中に入ってくることはないのです。よく「自分はリスニングが苦手です。どうしたらよいでしょうか?」と相談に来る生徒がいますが、このうちのほとんどは語彙力不足」なんです。「まず単語をしっかり覚えなさい」と、アドバイスすることにしています。頭で理解しているだけで、自分で発音することのできない単語も聞こえてはきません。Ikeaを「イケア」と読んでいる人には、この単語は耳に入って来ないでしょう。したがって単語を覚える時には、目、耳、口をしっかり使って、何度も何度も発音を確認しながら頭に入れる必要があるのです。これは一見当たり前のことなんですが、案外できていない生徒が多い気がしています。『CNN ENGLISH EXPRESS』9月号には、「Languageは「ランゲージ」じゃない!発音カン違い単語30」という発音特集が組まれていて、参考になります。

 それから、一生懸命リスニングの問題集をやって、答え合わせをしてハイ終わり。これでリスニングの勉強をしている気になっている生徒(教員も?)が多くいますが、これではリスニングの力は絶対につきません。模擬試験でも問題集でも答え終わったら、スクリプトをしっかりと読んで、自分の分からない箇所はなかったかどうか確認しておくことが大切です。読めない文章も聞こえてきませんからね。それでもう一回聞いてみる。この繰り返しで、少しずつリスニング力がついてきます。もう一度言いますよ。リスニングの問題集をやって○×をつけてはい終わり。こんな勉強をいくら続けても力はつかないのです。たとえ問題集を何冊やってもダメでしょう。そこからが勝負なんですよ。まず問題文のスクリプトを徹底的に読み込みます。知らない単語・熟語を・構文はないかどうか?意味の分からない英文はないかどうか?を確認します。読めない英文も聞こえないのです。それが終わったところで、スクリプトを見ながら音声をもう一度聞きます。最初とは格段に違って耳に入ってきます。オーバーラッピングや、シャドーイングや、ディクテーションを一緒にやってみるとさらによいでしょう。最後には何も見ずにもう一度聞いてみましょう。最初とは全然理解度が違ってきているはずです。こうやってスクリプトを徹底的に使い回すということが重要なポイントなんです。「共通テスト」のリスニング演習では、私は下記のような段取りで、スクリプトを徹底して読み込むことで、リスニングの力をつけています。

 リスニングで受験生がやらかす顕著な間違いは、「解答で悩んでいる間に、次の問題の放送が始まってしまう」というパターンです。リスニングは一度崩れたらなかなか立て直すことができません。「問題の指示文が流れている時間」「空き時間」を、次の問題の設問文や選択肢の「先読み」に充てて、「さあ、いらっしゃい!」と、余裕を持って待ち受けることが重要です。

 さて、「共通テスト」のリスニングが苦手な生徒たちに、ぜひ伝えていただきたいことがあります。2回読まれる第1問第2問、それと1回読みでも比較的聞き取りやすい第3問までで、配点が100点満点中59点もあります。ここを全力投球することで、第4問以降の得点率が低くても、ほぼ6割の点が取れることに注目させてやってもらいたいと思います。私はリスニングの不得意な生徒たちに、この作戦を徹底しています。今年の第1日程リスニングの平均点は56点でしたから、十分それ以上の点がこれだけで稼げる、ということに注目したいと思います。第4問以降の後半は1回きりの読み上げに加え、発言内容や状況を整理し、図表・ワークシートなどを見ながら解答する(時にはメモも)という必要があるため、難易度が高くなるのですね。英語が得意で難関大学を狙う生徒たちには、第4問以降の得点を狙った対策で、8割以上の得点を狙いたいところです。私は各大問の詳細な分析に基づく「攻略マニュアル」を作成して、注意点をしっかりと指導しているところです。

 リスニング試験で最も大切なことは、日本語による問題の指示文や、小問と小問の空き時間を、次の問題の「先読み」に充てることです。空き時間や問題の指示文が流れている時間を上手に利用して、「さあ、いらっしゃい!」という「待ち受け態勢」が作れるかどうかがカギとなってきます。私はキャッチフレーズで「前へ前へ、先へ先へ」と言って、注意喚起をしています。♥♥♥

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