「アナグラム」が使える

 今年から「共通テスト」になり、リーディングでは「センター試験」時代の約1.5倍の分量の英文を読まねばならず、「語彙力」がますます重要なものとなってきました。あれやこれやの手を使って、徹底的に「語彙力」を鍛えていかねばなりません。今日は、私がよく使っている「アナグラム」をご紹介します。「アナグラム」(anagram)というのは、言葉遊びの一つで、単語の中の文字をいくつか入れ替えることによって、全く別の意味にさせる遊びです。例えば、「タモリ」「森田」(もりた)のアナグラムですね。ベストセラー作家の湊かなえ(みなとかなえ)さんは、金戸美苗(かなとみなえ)のアナグラムです。私の好きな直木賞作家の故・「泡坂妻夫」(あわさかつまお)というペンネームも、本名の「厚川昌男」(あつかわまさお)を組み替えた茶目っ気たっぷりのアナグラムなんです。ATSUKAWA MASAOを組み替えてみてごらんなさい。AWASAKA TSUMAOという名前が作れるでしょう。こういうのを英語では「アナグラム」(anagram)と呼んでいます。

 この「アナグラム」(anagram)が、「語彙力養成」に結構使えるんです。単語の中の文字を入れ替えることで、全く別の意味の新しい単語を作ってもらいます(例:nowwon)。今日、勝田ケ丘志学館&松江北高補習科で、私が生徒たちに出題した「アナグラム」は次の10語でした。挑戦してみて下さい。生徒たちは、これを全部見つけるのに10分近くかかりました。英語の語彙の勉強にも役に立つ言葉遊びですよ。


(問題)次の単語の文字を入れ替えて、全く新しい単語を作りなさい。複数作れるものもありますから、挑戦してみましょう。難しいと感じる人は、一文字一文字バラバラにして(母音と子音)、それを組み合わせるようにしたらよいでしょう。
①lemon
②skin
③cheap
④heart
⑤danger
⑥shore
⑦flow
⑧beard
⑨listen
⑩near


 ある程度語彙力のついた生徒たちには、応用問題としてoceanを出題してやります。たいていできません。ある程度英語の語彙力がついてくると、複数の解答が出せるようになってきます。例えば、⑨のlistenでは、たいていの生徒はsilent止まりですが、最近の潮力発電の評論文の中に出てきたinletsを思い浮かべる生徒や、listの動詞形enlistを思いつく生徒が出てきます。語彙力のバロメーターが「複数解答」なんです。最近ではこの「アナグラム」を自動で出力してくれるソフトまで出ています。例えば、Angram Solver コチラです  最後には、私の作った「アナグラム」「ワークシート」(30題)を宿題に課して授業を終わります。

 この「アナグラム」を練習した後、「Scrabble Flash」(米国Hasbro社)を使って、発展的に語彙学習に繋げていきます。これは全米の小学校などでも単語学習教材として使われていた教具で、全米で「ゲーム・オブ・ザ・イヤー2011」を受賞した、本当にスグレモノの電子玩具です(51×51×19mm)。全ブロックの側面をピタッと合わせて、各ブロックの下にあるボタンスイッチを押すと、電源が入り、1、2、3の数字が現れます。ここで1を押すと(2,3ではさらに高度な遊び方が)、液晶画面(ディスプレイ)付きの5つのブロックに、ランダムにアルファベットが表示されます。これを自由に組み合わせて、3文字以上でできる限りの英単語を作っては側面を合わせて横一列に並べていきます。作った単語のスペルが正しければ、瞬時に光と音「ピーッ」で「よくできました!」と反応してくれます。間違った組み合わせでは一切反応しません。約1分の制限時間内に、何個単語が作れるかを競うのです。制限時間終了後は、自分の正解数(スコア)と、そのアルファベットから作ることができた英単語の最大可能組み合わせ数が画面に表示されます(最初のうちはそのギャップにショックを受けます〔笑〕)。実にスグレモノですね。私は現職教員時代には、ESS部を指導する中で、このゲームをアメリカから大量に購入して(現在はホコリをかぶっていますが)、生徒達には10個以上をノルマに課していました。非常にスリリングで、かつ語彙力の研鑽には有用なゲームです。生徒たちは緊張感の中で、知る限りの単語を作っては一喜一憂しながら、単語ゲームを楽しんでいました。制限時間が近づくと「ピッピッピッピッピッーー」と、電子音の秒読みで迫られるので、最後のひとあがきと頑張ります。Scrabble専用の辞典も出ていますので参考にします(写真上)。頭の引き出しに詰め込んだ英単語の記憶を素早く取り出す練習で、間違いなく遊び感覚で語彙力がつきました。懐かしい想い出です!!

▲さあ、何個の単語が作れるかな?

  これを、日本の(株)タカラトミーが、2011年に、英単語パズルゲーム「ボグルフラッシュ」(Boggle Flash)として国内で発売しました。5個のデジタルブロックに表示されるアルファベットを使い、並べかえて英単語を作ります。上の写真の場合は、 A – P – N – S – T がお題として与えられていますから、PANTS とか ANT (複数形のANTSもOK)とか NAP とかPANとかTANとかSPANといった英単語を、思いつく限りどんどん作っていくことになります。ここで各自の「語彙力」が発揮されるんです。英単語を形成するアルファベットの配列に、一定の規則的な法則を見出すこともできます。タカラトミーに言わせれば、「グローバル化が進行する社会背景を踏まえ」た製品ということでした。当時、価格は4,515円でした(ボタン電池別)。ブロックを3分以上動かさなかった場合には、自動的に電源がオフになります。持ち運びが便利な専用のケースも付いています。手のひらサイズに収まるので、どこにでも持ち運んで遊べます。その後、これはいい、使える、ということで、英語科で大量に購入し、単語定着の小道具として活用したものですが、最近は誰も使う人がいないようで、お蔵入りしています。残念なことです。今はもう売れていないようですね。アマゾンの最後の在庫1個を購入したのは私でした〔笑〕。勝田ケ丘志学館松江北高補習科の教室には、使い方を説明した後で、これが置いてあって、休み時間などに生徒が単語練習に使っています。

 当時は、海外仕様のままで売られていたんですが、日本バージョンとして、高等学校で出てくる英単語に限定するとか、MAXの語数を示すだけでなく、その解答をも併せて表示するとか、レベルに応じて制限時間をもうちょっと長く設定するか複数選択できるようにするとか、さらなる工夫の余地はあったと思いました。日本語バージョン(ひらがな版)を出しても面白いかも。どこか開発してくれないかな?

 こういった英語の「ことば遊び」は、語彙力の養成に有用だと気づいてから、さまざまな英米の単語ゲームを購入してきました。⇒例えばコチラ  『ライトハウス英和辞典』(研究社)を使ってできるこのような英語の「ことば遊び」については、昔私が出版した『英語の辞書指導 ~『ライトハウス英和辞典』を使って』(研究社、1984年)と、その改訂版『ライトハウス英和の活用法』(研究社、1991年)に詳しく書きました。残念ながら今は共に絶版ですがね(アマゾンの中古本で21,631円の値がついていたのには驚き笑ってしまった)。明日は「ダブレット」(doublet)を取り上げます。♥♥♥

▲辞書の活用法・指導法を解説したオンリーワンの教材だった!

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