『変な家』

 7月26日に発売された書籍、雨穴『変な家』(飛鳥新社)が、Amazonの「ミステリー・サスペンス・ハードボイルド」カテゴリでベストセラー1位となっています。「10万部が売れた」と宣伝していますね。私も、松江の今井書店センター店」に平積みしてあったのを買い求めて読みました。

 この本は、奇妙な間取りに秘められた謎を解き明かす「不動産ミステリー」です。著者はインターネットを中心に活動するホラー作家の雨穴(ウケツ)さんで、同書の内容の一部も、ネットで公開していたものをベースにして、大幅に加筆されたミステリー・ホラー作品となっています(下記映像参照)。

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 目次は以下の通りです。

第一章 変な家
第二章 いびつな間取り図
第三章 記憶の中の間取り
第四章 縛られた家

 冒頭の第一章では、「これは、ある家の間取りである」として、表紙にも描かれている2階建ての一軒家の間取り図が示されます。同書によると、雨穴さんの知人の営業マンが購入を検討していた家の間取り図だとのこと。一見すると、それは何の変哲もないありふれたものです。なんとなく壁が多く感じられるだけで、特段おかしな点は見つかりません。

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 しかし、よ~く目を凝らしてみてみると、1階の台所とリビングの間に謎の空間、壁で仕切られた奇妙な空間があります。それが気になって、知人も雨穴さんに相談したのでした。気になった雨穴さんは、大手建築事務所に勤める設計士の栗原さんに相談してみることにします。栗原さんはミステリー愛好家で、相談内容を伝えると、すぐに興味を持ってくれたと言います。さっそく雨穴さんが間取りを見せると、栗原さんはこう言いました。「一つ言えるのは、これが意図的に作られたものだということですね」なんと、奇妙な間取りは偶然作られたものではなく、何らかの意図があったというのです。一体なぜ、不思議な空間が作られたのか。雨穴さんはその理由を、「それはあまりに恐ろしく、決して信じたくない事実である」と述べ、そこには、信じがたいほど残酷な出来事が隠されていたのです。間取りの謎をたどった先に見た「真実」とは?

 続く2章以降でも、不動産にまつわる謎が次々と提示され、そして解き明かされていきます。住居を買ったり借りたりする際には、誰もが必ず間取り図を目にします。そんな身近なものに潜む謎を解き明かす「不動産ミステリー」という新ジャンルには、誰もが没入してしまうことでしょう。文章は会話形式で、著者と登場人物の会話を、そのまま話し言葉で文章にしたものですから、すいすい読み進めることができます。物語のカギを握る家の間取り図は、必要な箇所には適宜挿入されているので、いろいろとページを遡る必要はありません。

 この本には、家の図面が頻繁に出てきます。ふだん、家の図面などは、家を建てたり引っ越しを考えたりする時くらいしか考えないと思います。普通は、自分が生活する上で、家の図面を見ることはないわけで、ましてや、人の家の図面がどうこうなどとは考えません。想像しながら、もし自分がその家に住むとしたなら、どういうメリットデメリットがあるかは考えます。何のためにその部屋があるのか、ドアがそこにある理由、窓を設置しない理由などなど、よくよく考えてみると、実は一つ一つに理由があったりします。その図面から読み取れる謎が、このミステリーの肝ですね。ミステリーなので、自分でもその謎を予想しながら読み進めていくわけですが、話の中に出てくる設計士の人が、その謎解きのサポートをしてくれます。けれども、その謎が解けても、またすぐに別の謎が現れ、さらに話がどんどん予想外の方へと展開していくので、一気に読んでしまいました。最初の間取り図から、最後の展開にまでよくつなげたものだと思います。変だったのは間取りだけでなく、登場人物の家系にまで関わりがありました。間違いなく「変な家」だったのです。♥♥♥

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