さよなら、二階建て新幹線

 上越新幹線「Maxとき」「Maxたにがわ」として用いられている、JR東日本の国内唯一の二階建て新幹線E4系(1997年12月20日に東北新幹線で営業運転開始)が、この10月1日をもって定期運行を終えました。運行が終了するというので、二階建て新幹線に一度も乗ったことのなかった私は、大宮~東京間で、初めて乗ってきました。ホームに入線する姿を見て、「デ、デカ~イ!」が第一声です。先頭部分の鼻先をぐーんと突き出したロングノーズ・デザイン(11.5m)が印象的ですね。 

 2019年10月の台風19号で、千曲川が氾濫し、長野新幹線車両センターにいたE7系が水没して廃車となってしまいました。これにより車両が不足したために、E4系の引退が延期されていたのでした。このE4系が姿を消す理由は、老朽化が進んだからです。新幹線の車両は高速で長距離を移動できるために、JR在来線や私鉄の車両と比べて走行距離が極端に長く、走行距離は1年に20万kmを越え、長いものでは40万kmにも達します。このため、15年も用いられると走行距離は400万kmを越え、さすがに傷みが目立ってしまいます。こうして引退を迎えることとなりました。JR東日本では「Thank you! Max!」と題した特設サイト(⇒コチラです)を設置し、「E4系Maxに初めて乗ったときのワクワクを覚えていますか?」と惜別のメッセージを贈っています。 

 E4系の車高は約4.5mと一階建ての車両と比べて1mほど背が高いんです。単に速く走るのであればモーターの力を強くすればよいのですが、走行中に発する騒音や振動を減らすことは難しくなります。前方投影面積が大きいので、どうしても騒音や振動が増えてしまうのです。沿線への環境を考えるとスピードアップは難しく、最高速度は今営業中のすべての新幹線の車両の中で、最も遅い時速240kmにとどまっています。重心が高く、車体断面の大きいMaxは高速化が難しかったのです。

 ほかに引退の理由を挙げると、二階建てであるために、2階室はもちろん、その下の1階室でも乗り降りがしづらいし(螺旋階段)、さらにはE4系のように全車両が二階建てだと、乗務員や車内販売員への負担も大きくなってきます。バリアフリーの観点からもあまり歓迎されなくなってきたので、老朽化に伴う置き換えを機に、新幹線から二階建ての車両が消えることとなったのです。今後はE7系となります。

 このような二階建ての車両が導入された最大の理由は、バブル景気(都心の地価が高騰して通勤はどんどん遠距離化していきました)で、新幹線通勤の乗客が急激に増え、その混雑緩和のため、運行本数を増やすことが困難だったので、車内の床面積を増やして収容力を高めようとしたのでした。E4系で最も定員の多い車両は2号車で、定員は2階室が64人、その下の1階室が55人、車両の端に設けられた平屋の1階室が14人の133人となります。一方で新幹線を走る一階建ての車両では、1両当たりの定員は100人が最大。定員は2倍まではいきませんが、それでも1.3倍は立派な数値です。なぜなら、8両編成を組むE4系の定員は817人(普通車763人、グリーン車54人)で、同時期に製造されて東北新幹線や上越新幹線で今も走っているE2系を10両連結して、やっと定員は815人(普通車764人、グリーン車51人)となるのですから。E4系は朝夕に通勤・通学での利用の多い列車に用いることを目的に開発されました。この結果、8両編成のE4系どうしを連結して16両編成で走らせられるようにすることもできました(先頭車両の前頭部がポッカリと開いて、連結器が現れます)。16両編成の定員数1,634人は,高速鉄道としては世界最多です。

 もともと多い定員をさらに増やすため、普通車のうち1~3号車(16両編成の列車では9~11号車も)の2階室では、通路をはさんで両側とも3人がけの腰掛が並びます。新幹線の普通車では、腰掛は通路をはさんで片側が3人掛け、もう片側が2人掛けという配置が一般的なところ、1列につき1人多く旅客を乗せられる。車両の幅が3.38mのE4系といえども、さすがに1列に6人もの旅客を座らせるのはやや苦しい。腰掛に装着されたひじ掛けは通路側にしかなく、旅客どうしの間はもちろん、窓側にもなしと、新幹線の車両の設備としては異例中の異例です。しかも、背もたれを倒せるリクライニングシートでもない。E4系もさすがに普通車の指定席では、従来どおりの座席配置で、2階下、平屋とも1階室では自由席でもやはり通路をはさんで片側が3人がけ、もう片側が2人がけです。とはいえ、1~3号車の2階室の居住性が悪いかというとそうでもないようです。腰掛1脚に大人の男性3人が座るとさすがに窮屈ですが、空いていて2人で腰掛けているときは、広々としていて、案外快適なんです。

 引退を記念して、『Rail Magazine』451(ネコ・パブリッシング)が「E4系ファイナル」として、E4系を徹底解剖していました。また、「旅と鉄道」の増刊10月号が『ありがとうE4系Max』(天夢人)という特集号を出しました。書店で見つけて、どちらも面白く読みました。ありがとう、そしてさようなら、二階建て新幹線E4系!!♥♥♥

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