最近、再放送された渡瀬恒彦さん主演のTBS系十津川警部シリーズ「特急おおぞら殺人事件」の冒頭シーンは、亀井刑事(伊東四郎)と息子の健一くんが、「札幌時計台」の前で写真をパチパチ撮るところから始まりました。時を同じくして、木谷恭介(こたにきょうすけ)『札幌時計台殺人事件』(実業之日本社、2014年)を読みました。
札幌のシンボルのように親しまれている時計台だが、まわりを高いビルにか
こまれて、いかにも窮屈そうであった。
もともと、札幌農学校の演武場として建てられたものなのだ。農学校が移転
して時計台だけが残された。建築されたのが明治11(1878)年で、学校
が移転していったのは明治39年だというから、残されたこと自体が奇蹟の
ようなものだ。
まえにきたとき、ビルの谷間に埋もれたように建っているのをみて、写真で
想像したのとのちがいにおどろいたのだが、ボストンのハワード会社製という
時計は今年で111年、ときを刻み続けている。