『No Time To Die』~ボンド死す!

 ダニエル・クレイグ最後のボンド映画 『007 No Time To Die 』を観てきました。007ボンド映画は、これまでは電車とバスを乗り継いで、出雲日吉まで行って観ているんですが、今回はなぜか、松江イオン「シネマ東宝」でやってくれましたので、地元で観ることができました。007シリーズは、元々はイギリスのイアン・フレミングという作家が書いたスパイ小説が原作となっています。本人自身が諜報機関で働いていた経験を基にして執筆したそうです。そして1962年にイギリス・アメリカ合作で『007 ドクター・ノオ』が映画化され、当時の世界情勢にマッチした内容だっ

▲作品パンフレットで予習

たこともあり、大ヒットすることになります。以降、シリーズ化されて次々と新作が製作され、今年公開の『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、第25作(番外編は除く)となっています。私はその全てのボンド作品を見ていますが、今回はその集大成であり、完成形として最終章の意味合いが強い作品でした。美しいカメラアングルやエレガントなファッション、とんでもないカーアクションや舞台背景は、まさに007の世界です。私は事前に「パンフレット」(880円)を購入して、予習をした上で鑑賞しました。ちなみに字幕担当は、私の大好きな字幕翻訳家・戸田奈津子(とだなつこ)さんでした。戸田さんについてはコチラに書きました。

 ジェームズ・ボンドには、詳細なプロフィール設定が存在しますが、作品や演じた俳優によって微妙に異なっています。初代ボンド役のショーン・コネリーに始まり、ジョージ・レーゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナンが演じてきました。そしてダニエル・クレイグは、6代目となるジェームズ・ボンド役です。ダニエル・クレイグは、最初にボンドを演じた時に、役作りに3ヶ月かかったそうですが、今では1年くらいかかっているそうですよ。ダニエル・クレイグは、2006年公開の第21作『007 カジノ・ロワイヤル』からジェームズ・ボンド役を担当しています。当時は“シリーズ初の金髪碧眼ジェームズ・ボンド”として大変話題になりましたが、もう14年も前の事だったんですねぇ。通算5作目にしてボンドとしては最後の主演となりました。初めて演じた当時は38歳だったダニエル・クレイグも、今作では52歳、ボンド役引退も納得です。作品中でスパイを引退したジェームズ・ボンド自身とも重なるものがあるように感じますね。

 現役を退き、ジャマイカの豪華なおうちで、穏やかな生活を満喫していたボンドですが(ちなみに原作者イアン・フレミングが物語の執筆の拠点とし、ジェームズ・ボンドを生み出した聖地がジャマイカです)、旧友でCIA出身のフィリックス・ライターに誘拐された科学者を救い出して欲しいと助けを求められたことから、平穏な生活を突如終えて、やがて脅威をもたらす最新の技術を保有する黒幕へと迫っていきます。ボンドが恋人のスワンを電車に乗せたときに、彼女がお腹に手を伸ばしたのは、後になって分かるボンドの子どもを妊娠していたことへの伏線でした。ボンドの前に立ちはだかるシリーズ史上一番ヤバイ敵がサフィンです。シリーズ最強の頭脳派サフィンは、物語の冒頭でマスクを被って登場し、復讐を果たすところから展開していきます。冷酷なサフィンの陰謀とは?

 本作のタイトルとなっている「NO TIME TO DIE」は、直訳すると「死ぬ時間は無い」といった意味になります。ニュアンス的に「死んでいる暇はない」、と訳しても良いかもしれません。これが意味するところは何なのか?まず関連しそうなのが“現役を退いていた”というボンドの現況ですね。“既にスパイとして引退していた=死んでいた身”であったボンドに頼らざるを得ないほど切迫した状況、という暗示なのかもしれません。あるいは、「死ぬ時間も無いほどめまぐるしいアクション」や「刻一刻と変化する世界では、死んでいられるほど悠長な時間は無い」ということなのかもしれません。いずれにしても気になるワードです。また、映画の冒頭で歌われるシリーズ最年少ビリー・アイリッシュの圧倒的な歌唱力の主題歌「No Time To Die」の歌詞から紐解ける意味もあるかもしれませんね。この曲は「第63回グラミー賞」「最優秀映像作品楽曲賞」を受賞しました。「過去の作品、例えば、『007/ゴールドフィンガー』や『007/死ぬのはやつらだ』ほどの音楽と映像の組み合わせはありません。このような伝説的なシリーズ映画に関わらせていただき、とってもとっても幸運だと感じています」アイリッシュ。映画冒頭の主題歌の歌詞の中で、何度も繰り返される“FOOL ME ONCE, FOOL ME TWICE”(私を騙して、また騙す)は、ボンドとの愛と信頼関係が崩れ去ろうとしているスワンの悲痛な心情を暗示しているように感じました。

 まずもって、「No Time To Die」ダニエル・クレイグの有終の美を飾った素晴らしい作品でした。163分という長時間の作品でしたが、アクション、セクシーなシーン、スタイリッシュさ、これまでの登場人物を惜しみなく出したこと、展開も飽きることなく見ることができました。先代Mの肖像画なんてもう嬉しいに決まっていますね。ですが、個人的には最後にボンドを殺す必要あったのかな??とは思いました。ぶっちゃけ安っぽかったですよね。どうしてもボンドには最後シレッと生きてて欲しかったと、思ってしまいました。あと、ウイルスが良くわからなくて。どうしてもボンドには死んでほしくなかったです。

 本当にシリーズを通して1番ジェームズ・ボンドに寄り添った映画でした。これはダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドだからこそ叶ったことだと思いますし、この虚無感もダニエル・クレイグによるものだとさえ感じます。本当に各キャラクターを掘り下げることが出来れば、この作品は最高だったと言えます。悪役のサフィン、わけ分かんなくなかったですか?最初から最後まで何となく悪い奴って印象でした。ノーミはボンドの引退後にコードネーム007バッジを取得しました。しかし、ボンドが復帰して行動を開始すると、最後の任務を遂行するために007として復活するように要求します。このやりとりはいるんでしょうかね。最初から008とかにしとけばいいのにね。まぁそこはLGBTとか人種差別とかに配慮したんでしょうけれども。あっさりと007を返してしまうし、もっと007ナンバーには重みを持たせて欲しかったというのが正直な印象でした。ボンド亡き後は、彼女が007エージェントになる伏線だったのでしょうかね?最後はミサイルが落下してきて、ボンドは壮観な死を遂げます。残されたMI6の面々は亡くなったボンドに乾杯して彼を弔います。スワンはボンドの子どものマチルダ(ブロンドの髪、青い目)と一緒に夕日に向かってドライブします。

 エンドロールの最後には、「ジェームズボンドは帰ってくる」(James Bond will return…)と出てきます。♥♥♥

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