cope with~

 日本人学習者は、cope with~という成句を、かなりポジティブな意味にとらえているようです。うまく対処する」という感じでしょうか。しかし、このことはあまり辞典に書いてないのですが、ネイティブ・スピーカーたちの使い方をじっくり観察していると、この句を使うのは、何かいやなことについて文句を言ってイライラとしている時と考えて良さそうです。英米の学習辞典の用例を細かく観察してみるとそれが伝わってきますね。以下の用例をご覧下さい。

How can we cope with your requirements?(君の要求に我々はどうやって我慢しろって言うの?!)/I can’t cope with this noise!(この騒音には対処できない)/ He wasn’t able to cope with the stresses and strains of the job. [OALD] (彼は仕事の緊張と過剰負担に対処することができなかった)/She feared she wouldn’t be able to cope with two new babies. [LDOCE](彼女は二人の生まれたばかりの赤ん坊にうまく対処することができないのではないかと心配した)/ Never before has the industry had to cope with war and recession at the same time. [CAAED](産業界が戦争と不況を同時に受け入れなければならなかったことは今までに一度もなかった)/ It must be difficult to cope with these small children and a job. [CALD] (三人の小さな子どもと仕事をうまく対処するのは困難に違いない)/ He says he can no longer cope with the demands of the job.  [MWALED](彼は仕事の要求にもはやこれ以上我慢できないと言っている)

    イギリスの COBILD系辞典の定義は、他の辞典と違い文章形式で書かれているので、その意味するところが非常に分かりやすい特徴があるんですが、それによれば、次のように出ています:If you have to cope with an unpleasant situation, you have to accept it or bear it.(もし不快な状況にcope withしなければならないとしたら、あなたはそれを受け入れる、あるいは我慢しなければならない)。私たちの『ライトハウス英和辞典』で、「(難局などに)うまく対処する,切り抜ける」と訳語を工夫して示しているのは、ここら辺のニュアンスをとらえてのことなんです。芸が細かいでしょ。

 より一般的なdeal with~とも似たような意味ですが、その細かいニュアンスは異なります。deal with~は、難しい問題や困難な状況など、問題を解決するために、自分から積極的に何か働きかけて作業をして対処し解決しようとすることに使われます。これに対してcope with~は、問題となっている物事に対して、特に問題解決には働きかけず、感情面で我慢したり耐えたりすることで、自分の中でうまく折り合いをつけるということです。ほとんど対応し切れておらず、まだその問題が継続中であるというニュアンスが感じられますね。♥♥♥

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