『うつくしい人 東山魁夷』

▲東山魁夷画伯

 昨日に続き、東山魁夷を取り上げます。「国民的風景画家」として、数々の名作を描き遺した巨匠・東山魁夷(ひがしやまかいい)画伯。自然と真摯に向き合い、思索を重ねながら作り上げたその芸術世界は、没後20年を経た今もなお、決してその輝きを失うことなく、人々に感動を与え続けています。⇒私の「東山偉人伝」はコチラ   画伯の生誕110年を迎え、京都では30年ぶり、東京では10年ぶりとなる大規模な回顧展が開催され、大きな話題を集めました。私は画伯の展覧会には努めて足を運んでいます。⇒例えばコチラをご覧ください  色彩美、透明感などが余すことなく再現された、唯一無二の東山絵画世界(「東山ブルー」が好きなんです)の大ファンである八幡も、自宅を新築した際には、清水の舞台から飛び降りた気持ちで、「白馬の森」「緑響く」の2作品を購入し、リビングに飾っています。家に帰ってこの絵を見ると、実に癒やされるんです。できることなら「白い馬」の登場する18作品全てを欲しいんですが、何せ値段が値段なものですから…[悲]。

 そんな東山魁夷画伯のお人柄を描いた本が、文庫化されています。村上通哉『うつくしい人 東山魁夷』(集英社文庫、2018年10月)がそれです。東山ファンである私は、発売と同時に求めました。日本画の巨匠の知られざる素顔が、ある中学教師との奇跡の交流、感動の記録を通して、あでやかに描かれています。東山魁夷と特別な親交を結んだ中学教師がいました。1980年、文化祭の企画が縁の始まり。翌年、著者は生徒たちと展覧会に招待され、子どもたちを、大人と対等に客人として遇する画伯の態度に感動します。子どもたちへのまなざしが共感を生んだのか、東山夫妻との交流が続きました。「あの方にして、あの絵あり」。著者が目の当たりにした、巨匠の知られざる素顔を通して、魁夷作品の鑑賞に、幅広い奥行きを加えてくれる感動の書です。「描くことは祈ること」「人間と地上に生きる全てのものにつながる思いで描く」と語った東山魁夷と、特別な親交を結んだある教師が綴る回顧録となっています。画家として凄い前に、人として素敵な方だからこそ、あんな素敵な絵が描けるのでしょう。もっと彼の絵が好きになる、そんな一冊です。東山ファンにぜひお薦めします。

     福岡の中学教師だった村上通哉(むらかみみちや)さんが、文化祭の学級の出し物で、国語教科書原作者生原稿展をきっかけに、巨匠・東山魁夷さんと心を通わせていった、実話が詳細に綴られています。この本を読み、途中で何度もじーんときました。東山魁夷は画家である以前に、この本に描かれているように、人として温かく柔らかく純粋な気持ちを持っていたからこそ、誰もが感動する作品を残せたのだと思います。それと同じくらい、著者の村上さんも、自分の受け持つ子供たちに、特別な体験、経験をさせてあげたいという純粋な気持ちがあったから、お互いに心が通い合ったのですね。片田舎の中学校の文化祭で、国語の教科書に出てくる原作者の生原稿を展示しようと、生徒たちが生原稿を原作者に依頼する手紙を書くことから、その出会いは始まります。生徒たちの自発性を尊重し、感性を育てようとする姿に感心してしまいました。偶然の重なりで東山画伯との温かくも感動的な交流が続きます。市川のギャラリーでなく、遠く離れた筑豊絵画館に画伯の所縁の品々を寄贈したということは、そこに大きな信頼が醸成されていないとできることではありません。東山作品を観る眼が、より一層深まる感動の一冊でした。人間東山魁夷の魅力を丁寧に丁寧に伝えています。♥♥♥

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