柴田先生と鞁嶋先生の対談

  故・鞁嶋弘明(かわしまひろあき)先生のことは、このブログでも何度も書かせていただいています。先生の「進路講演」の記録がコチラコチラで読むことができます。

 昭和52年に島根県の新規採用教員として島根県立平田高等学校に赴任した際に、鞁嶋先生の2年6組(平田高校で初めての進度別クラス編成をした1期生の早進度クラスでした。彼らが卒業するときにはかつてないほどの見事な進学成績を収めたことは言うまでもありません)の副担任として教員人生をスタートしました。教務部で時間割の作り方から、クラス経営、進路指導のイロハ、ひいては将棋まで教えていただきました。根っからの勝負師といった印象でした。松江北高校長をご退任になった時の「退任祝賀会」(ホテル一畑)では、当時の思い出をスピーチするように命じられ、エピソードを語ったものです。その後、東出雲町教育長をなさっておられたときには、当時勤務していた津和野高校に、進路講演や教員研修にお呼びして助けていただきました。私を今の松江北高に帰ってくるように呼んで下さったのも鞁嶋先生でした。東出雲町長になられてからも、時々北高の職員室に顔をのぞかせになっては、私の心臓の調子をお気遣いいただきました。ギリギリまでお元気だったのに、突然の急死には大きなショックを受けました。

 柴田 博(しばたひろし)先生は、私が英語教員として最も尊敬する英語指導のカリスマです。私が島根県立松江南高等学校に勤務していた30代は、「北高に追いつけ、追い越せ」で、北高南高がしのぎを削っていた時代です。当時は年に1回、北高・南高・東高の三校の英語教員が一同に会して、情報交換やら親睦を深める懇親会が企画されていました(今ではそんな会も一切ありません)。若かった私も幹事を務めてマジックを披露したりしたものです。私は、 柴田先生のところにお酒をつぎに行って、少しでも英語指導のノウハウを教えてもらおうと食らいつきましたが、「また、今度な」「そのうちにな」と教えていただくことはできませんでした(手の内をライバル校に漏らすわけがありませんね)。でもずっと可愛がっていただいて、先生が島根県立益田高等学校の校長先生になられた時分から、いろいろと心構えや指導法を教えていただくようになりました。私が松江北高に帰ってきてからも、ご自宅に呼んでいただいて、先生秘蔵の指導資料を一式お譲りいただいたこともありました。

 そんな鞁嶋先生が校長時代、柴田先生が進路部長をお務めになり、松江北高は全国の公立高等学校で国公立大学の合格者数が、373人→355人→362人と、3年連続日本一」を記録しておられます(3年目御勇退の年に「21世紀枠」甲子園出場)。今からするととうてい考えられないようなすごい数字ですが、偶然実現できた数字ではありません。「組織」の強みの中で、ちゃんとやるべきことを積み上げて、精緻な計算と指導の基に可能となった記録です。鞁嶋先生ご自身がその舞台裏を「進路だより」に語っておられました。私の「あむーる」に再録してあります。⇒コチラで読むことができます

▲写真は全てこの対談より拝借しました

 この日本一の立役者鞁嶋校長先生と(対談当時は東出雲町長)、当時の進路指導部長柴田 博(しばたひろし)先生(対談当時は島根県立益田高等学校長。この学校も柴田先生が赴任なさって飛躍的に成績が伸びた学校でした)のお二人のビッグ対談が、ベネッセ『VIEW21』(高校版)2008年6月号に掲載されて、現場ではずいぶん大きな話題となりました(私を育てたあの時代、あの出会い「志がかけがえのない出会いを生み 時を濃密にした」)。ここには進路指導の原点と、教師のあるべき姿、あるべき指導体制が余すこと無くすべて語られている貴重な記録です。私も何度も読み返しているところです。今でも全文を読むことができますので、ぜひみなさん、ご一読ください。⇒コチラです 中でも次の柴田先生のお言葉は、胸に刺さりました。今の松江北高の先生方にぜひ読んでいただきたい言葉です。

 当時の松江北高校の進路検討会は、休日も返上して、それも深夜に及ぶ密度の濃いものでした。個々の生徒の課題から各教科の指導法、更に組織の見直しを含めて学校全体をいかに効果的に動かすかまで、時間をかけて熱く意見を交わしていました。そこには「『無理』は教師がするものであり、生徒がすべきものではない」という鞁嶋先生の考えがありました。学力不振や進学実績の低迷などの事態に直面したときに、それを生徒のせいにするようになったら即座に職を辞すべきだという覚悟と信念が私たちの中にも当然のように存在していたと思います。
 生徒の可能性を伸ばせるシステムと、それを機能させる人材育成のノウハウを学びながら、自らも悩み、工夫を重ねました。私が求めていた進学指導や学校の在り方が着実に具体化されていく濃密な日々でした。

 この対談が掲載された『VIEW21』の誌面全部がコチラからPDFでダウンロードして読むこともできます。♥♥♥

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