「イチゴミルクの愚」

 私の大好きな言葉に、名著『人を動かす』で有名なデール・カーネギーの次の言葉があります。私は「イチゴミルクの愚」と呼んでいます。

私はイチゴミルクが好きなのだが、魚はどういうわけかミミズが大好物なのだ。 だから私は釣りをするときは、自分の好物のイチゴミルクのことは考えず、ミミズのことを考えることにしている。したがって、「人を動かす」唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ。

 自分が好きなものと他人が好きなものは違う、だから他人に何か行動を起こさせようとする時はその人の立場になって、その人にとってメリットになる事は何なのかを、よく考えて行動しなさいよ、という意味です。まあそんなに突飛な事は言ってないのですが、これがいざ実践するとなると、なかなか難しいものなんです。我々は自分が好きだったり、良いと思っている物は他の人もそう思っている、もしくはそう思って欲しいという密かな願望があります。なのでどうしてもそういった感情が行動に出てしまい、うまく人を動かせなくなってしまう事はままあります。自分本位でなく、常に人の立場で考えてみましょう。それがうまく人を動かすコツなのです。

 例えば、電車・バスのシルバーシート」。あれは本当に使用者の立場に立って発想された設備なのでしょうか?お年寄りや障害者のために……というのは作った側の一方的な思い込みで、当事者の方は特別扱いされるのではなく、普通の席に普通に座りたいと思っているのではないでしょうか?使う側の視点に立って眺めてみると、物事は全く別の角度から捉えることができる場合があります。

 老人用の紙オムツは、ユニチャームがリハビリ用パンツを発売するまでは、ほとんどの製品が、高齢者を寝かせたまま着けるタイプのものばかりでした。「お年寄りは脚が弱っているし、疲れるでしょうから寝ていてください」というわけです。これは介護者の側から「よかれ」と思って善意でやっていることです。しかし使用者は本当に寝たきりで介護者から着けてもらうことを望んでいるのでしょうか?介護される高齢者への親切にはならないでしょう。寝かせたままのおむつ交換は、高齢者の「排泄だけは他人の世話を受けたくない」という尊厳や自尊心を傷つけるばかりか、ベッドから自力で起き上がろうという気力さえ奪ってしまいかねないのです。つまり、よかれと思ってやっている「寝かせきり」の介護が、反対に「寝たきり」の高齢者を増やすという悪循環を招いてしまうのです(日本の寝たきり率は欧米に比べて3~5倍も多いとか)。シルバーシート」と同じ発想かもしれません。多少辛くても自分の足で立って、自分ではきかえられるオムツを求めているのではないでしょうか?そのような視点に立って顧客サイドから開発されたのが老人用のパンツ型紙オムツ「ライフリーリハビリ用パンツ」で、大ヒット商品となりトップシェアに育っています。♥♥♥

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