平和祈る、春の炎

 古都の奈良に春の訪れを告げる、東大寺の伝統行事「修二会」(しゅにえ)の本行が、3月1日に始まりましたね。「お水取り」の名で知られる東大寺二月堂「修二会」は、世界平和や国の安泰・人々の平安な暮らしなどを祈って、11人の僧侶たちがおよそ1か月にわたって法要などを行う、奈良時代から続く伝統行事です。11人の練行衆が二月堂本尊の十一面観音菩薩に懺悔し、世界平和や五穀豊穣などを願います。寺にこもり、激しく床板に身をたたきつける「五体投地」(ごたいとうち)などの厳しい修行を行い、15日に満行を迎えます。天平勝宝4年(752)に始まって以来、今年で1,271回目を迎え、コロナ禍でも途絶えることなく続けられています。この伝統行事を直にぜひ見たいと思っていた私は2018年に、東大寺二月堂で生でこの行事を目の当たりにして感動しました。それはもう勇壮な景観でしたよ。このお松明の火の粉を浴びると、一年間無病息災で過ごせ、幸せになると言われていて、私もその迫力に圧倒されながら、火の粉を浴びていました。ウクライナへのソビエトの軍事侵攻で、世界平和が大きく脅かされる昨今、ただただ人々の無事を祈り、1日も早い停戦と平和の来ることを願っています。

▲4年前に私がこの目で見た「修二会」

▶これが燃やされる籠松明

 「童子」と呼ばれる僧侶の補佐役が、6~7メートルの燃えさかる重さ40キロのお松明を二月堂の欄干から突き出したり回転させたりして駆け抜けると、暗闇のなか、火の粉が勢いよく降り注ぎました。3月1日はあいにくの雨となりましたが、訪れた人たちは傘をさしながら静かに幻想的で荘厳な炎を見守っていました。今月14日までの日程で毎晩行われますが、寺は新型コロナウイルス対策として12日については非公開とし、ほかの日程についても二月堂周辺の立ち入り人数を制限して実施されます。

 大好きなシンガーソングライター・さだまさしさんの名曲「修二会」(しゅにえ)は、この伝統行事を歌ったものです。ギターを掻きならし、鳴り物をふんだんに入れて、とても荒々しい勇壮なアレンジが繰り広げられ、コンサートで生で聴くと堪りませんね。「もはや二月堂  天も焦げよと松明の  炎見上げつつ何故君は泣く  雪のように火の粉が降る   走る 火影  揺れる君の横顔   燃える  燃える  燃える  おたいまつ 燃える」 これが二番になると、さださんの詩らしく、難解な言葉のオンパレードです。過去帳に  青衣の女人の名を聴けば  僕の背に  君の香りゆらめく  ここは女人結界  君は格子の外に居り  息を殺して聴く南無観世音  こもりの僧の沓の音  ふり向けば 既に君の姿はなく  胸を打つ痛み 五体投 もはやお水取  やがて始まる達陀の  水よ清めよ  火よ焼き払えよ  この罪この業」と歌います。さださんはこの歌を作るために(10年以上かかっています)、二月堂の内陣で間近に業と向き合って直に体験しておられます。そこら辺の様子は、この曲が収められたアルバム『逢ひみての』(1993年)のライナー・ノーツに詳しく出ています(さださんはいつもこうして曲の背景を詳しくライナー・ノーツで解説してくれていますから、聴く我々は大助かりです)。下の映像は、2010年10月16日の東大寺大仏殿前の特設ステージでの歌唱です。♥♥♥

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