回想・小樽駅

 全国を旅して回っていると、忘れられない駅というのがあります。今日取り上げる北海道の小樽駅(おたる)も私に強く印象に残っている素敵な駅でした。できることなら、ぜひもう一度訪れてみたいと思っています。

 1934年(昭和9年)建築の、北海道で最も古い鉄骨鉄筋コンクリート造り(RC造)の駅舎です。昭和初期のRC造による現役駅舎として希少であり、岡山駅(1926年)、横浜駅(1928年)、両国駅(1929年)、上野駅(1932年)と続く一連の同形式の近代的駅舎に位置づけられています。中央の一段高い吹き抜けのコンコース部分から、左右が2階建て、それぞれの両端が平屋になったシンプルな左右対称の駅舎は、東京の上野駅をモデルにしたデザインと伝えられています。駅舎は2006年に国の有名文化財、2010年には準鉄道記念物に登録されました。光の加減によっては、薄茶色にも黄土色にも見える微妙な色合いのタイル張りの外壁は、JR北海道が2012年4月25日リニューアル工事を完成させて、1934年当時の姿を復元したものです。2010年9月より「ノスタルジックモダン」を合い言葉に、耐震補強工事をかねて駅舎のリニューアル工事が始まり、外観は建設当時に復元し、内部のレイアウトも大幅に変更されました。改札口を見上げると、ランプがいっぱい飾ってあって、「ランプの街」の雰囲気が醸し出されています。特に、エントランス・ホールには、天井高くに一列に吊された「ランプのカーテン」が目立っています。階下のフロアは、機能的な自動改札、駅ナカのお店、コインロッカー、清潔なトイレをハイした駅です。リニューアルのコンセプトは「歴史と伝統ある小樽の玄関口にふさわしい外観の復元」でした。エントランスホールやホームに飾られているランプは、当時の駅長が「小樽駅の特色を出したい」北一硝子(きたいちがらす)に要望し、1987年(昭和62年)に北一硝子がランプ108燈を駅へ寄贈したことに始まり、1999年(平成11年)には改札口上の窓とホームに設置するランプを寄贈して合計が333燈になりました。設置の総費用はおよそ1,000万円だったそうですから、1燈あたり3万円もしたんですね。

▲素敵なランプでしょ?

 駅舎の正面入り口そばの壁には、かつて使われていた「むかい鐘」が残っています。出迎え客に列車の到着が近いことを知らせるため、上り(函館方面)の場合は2打、下り(札幌方面)は3打、鐘が鳴らされました。

 小樽駅は、島式ホーム2面4線を有する築堤上の地上駅です。ホームは駅舎の2階相当の高さにあり、改札口から連絡通路を経由して階段を上ってホームへ向かいます。ホームの付番は駅舎側から5、4、2、1番線で、5番線は行き止まり式のホームであり、3番線はホームに面さない中線になっています。札幌・新千歳空港方面の快速「エアポート」は主に5番線(一部は4番線)に発着し、余市・倶知安方面の列車は主に4番線に発着します。かつてのホーム番号は駅舎側から0、1、2、3番線となっていましたが、1998年(平成10年)の函館本線・宗谷本線(小樽 ―永山間)列車運行管理システム導入に伴って番号が振り直しされ、現在の番号に変更されました。2003年(平成15年)に駅開業100周年を記念し、小樽で幼少期(3歳~9歳)を過ごした俳優・石原裕次郎に因んで4番ホームに「裕次郎ホーム」の愛称がつけられました。これは、かつてNHKの番組ロケーション撮影で訪れた際、石原裕次郎さんがこのホームに降り立ったのが由来です。ホームに立つ本人の等身大パネルが設置され、番号表示灯の数字「4」を、裕次郎さんのヨットに見立ててデザインしているほか、裕次郎さんの曲も流されています。パネルの前には、裕次郎さんがこのホームに降り立った記念の銅版がありました。この英文のshallの使い方がレトロっぽいですね。

 天井から下がった筆文字で「おたる」と大きく書かれた国鉄以来の駅名標も、レトロな雰囲気を強調しています。♥♥♥

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