微差は大差を生む

 新学期始めに、いつも私が生徒に話すことがあります。今日もその話をしてきました。1.01と0.99」の話です。実は、「1.01」という数字には こんな「志」がこめられているんです。1.01×1.01×1.01×…..1.01を70乗すると 2.00676…つまり2.0。 もとの値の2倍を超えてしまいますね。一方、0.99×0.99×0.99×…..0.99を69乗すると 0.49983…つまり0.5。もとの値の半分以下になってしまいます。1.01と0.99、 違いはわずかに0.02です。0.01=1% 1%上積みするのか、1%下回るのか、 それが大きな違いになるんです。たかが1%。時間にすると 一日24時間の1%はたった14.4分、 つまり約15分です。一日わずか15分間の積み重ねが、 結果的には大きな結果につながる、これがいわゆる「1.01の法則/0.99の法則」と呼ばれるものです。1年間365日単位で考えると、下のような結果となります。これをどんどん積み上げていくと、片方は無限大まで、もう片方はゼロに限りなく近づいていくんだそうです(松江北高数学科・正村 修先生のご教示による)。これは学校の勉強だけでなく、あらゆる分野に共通することだろうと思っています。

 コツコツと努力すれば、やがてとてつもなく大きな力になります。ところが、逆にほんのチョットずつサボれば、やがて力はなくなっていきます。そのことを、上の数字ははっきりと示していますね。「微差が大差を生む」のです。

 「正しい努力」を積み重ねていくことで、ものすごいことを成し遂げることが可能です。「新聞を毎日読む」「本を丁寧に読む」「手抜きをせずに仕事をする」「たくさんの人と会う」「毎日ちょっとの時間英語を聞く」など、そんな努力を「紙一重の積み重ね」で積み重ねていく。紙一重の差なんてほんのわずかなものかもしれませんが、それを500枚、1000枚と積み重ねることで、遠回りに見えても、それが成功への近道なんです。厚さ1ミリしかない紙でも、毎日一枚ずつ積み重ねていけば、30日で3センチになります。一年で36.5センチ、10年で3メートル以上になります。そしてずっと止めずにコツコツと続けていけば、やがては富士山の高さよりも高くなることでしょう。

 立派な人というのは、ちょっとしたことがたくさん違います気配り、礼儀、言葉遣い、身だしなみ、人との接し方、早起き、生活態度、約束の遵守、これら全てのものが少しだけ人よりきちんとしていて、深いんです。良いお店・会社というのも、ちょっとしたことがたくさん違います。挨拶、接客、提供商品、サービス、笑顔、心遣い、これら全てが少しだけ、他の会社よりもすごいのです。もちろんそのちょっとのことが大変なんですけどね。私は日頃たり前のことをカになってゃんとやる」(ABC)と提唱しています。これが、できそうでできないんです。続かないんです。だから本物は違うんです。「神は細部に宿る」これは、建築デザインの世界の有名な格言で大好きな言葉です。ミース・ファン・デル・ローエというドイツ生まれの建築家の格言ですが、この言葉はクリエイターが聞けばゾクっとする言葉だと思います。クリエイターというのは、意外と、一般人が気づかない部分に妙にこだわったり、魂を注入するので、ものづくりに従事している人間にはよく分かる格言です。しかし、この建築家は、この格言を言える立場になるまでには、相当な努力を積み重ねたことが想像出来ます。神を細部に宿らせるには、そこに並々ならぬ努力があったのではないかなと思います。例えば、伝統的な日本建築に関わってきた宮大工数寄屋大工の人たちは、「見えないところほど手を抜くな」の精神で仕事を行ってきたと言います。実際、建立されて何百年も経ってから、お寺などの補修工事を行うと、内部の見えないところに、現代の宮大工さんが息をのむほど丁寧で細密な仕事がなされているんだそうです。自分が生きている間に、その仕事に対する高い評価や称賛が与えられるわけではありません。見えないところにこそ、かつての職人さんたちは、みずからの技術の粋をつぎ込んだ「誇り」を持っていたのでした。

 アメフトのライスボウルでV4を達成したオービックのヘッド・アスレティック・トレーナー(HAT)吉永孝徳さん(47歳)が、以前『朝日新聞』のコラム「ひと」欄に取り上げられていました。吉永さんは、大学卒業後、米国に留学してNATA(National Athletic Trainers’ Association:全米アスレティックトレーナーズ協会)公認トレーナーの資格を取得した方です。トレーナーのやりがいとして、「人(選手)が変わる姿を見るのが本当に楽しいです。幸せなトレーナー生活を過ごさせて頂いています。」とお話されます。その吉永さんも、1.01の生き方を推奨されるお一人です。1.01という数字を示し、「全員が毎日、腹筋100回やれば日本一になれるよ」と選手たちの自主性に訴えました。「1.01を掛け続ければ、元の値の2倍を超える。前日より0.01だけよくなる方法が腹筋なんだ」「誰でもできることを誰もできないくらいやる」と。

 以前、岡山県のトップ校に学校訪問にお邪魔した際、学校の玄関にスリッパが一人分ずつ、少し前後にずらして互い違いに並べてありました。玄関でみんながいっせいにスリッパに履き替えると、お互いにぶつかり合って混雑します。でもスリッパが互い違いに置いてあれば、いっせいに履き替えても邪魔にならない。ほんのちょっとしたことですが、やはり一流校は違うなあと思ったものです。どうでもいいようなことですが、こういった小さなことにこだわっておられるのでしょう。

 私は「成功はコピー用紙を1枚ずつ積み上げるようなもの」だと思っています。正しい努力を根気よくコツコツと続けていれば、必ずなにがしかの者にはなれます。休日の少しの時間を勉強に費やす人、目の前の仕事をちょっとでも深掘りして学べる人、良書を読みこなす努力を着実に続ける人、毎日新聞を1面から読み、世の中を読み取る努力を怠らない人は、着実にわずかずつではありますが、上に登っているのです。例えば、私の場合は、現役時代から朝6時半に登校して、誰もいない静かな学校で始業時までの2時間を、教材開発や生徒の質問の時間に努めました。たったこれだけのことを長年続けることで、膨大な量の教材を作ることができました。これに対して、ただ目の前の仕事をこなすだけで、人から言われたことだけしかしない、自分から進んでは何もしない、始業時ギリギリに駆け込んでくる、休日も当たり前のように休む人は、10年経っても何も変わっていないことでしょう。20代ではまだ見えないかもしれません。でも30代、40代になったときの高さの差は超えられないものになっていることでしょう。今日は「微差が大差を生む」というお話でした。紙一重の積み重ねで全ては決まるのだ、ということを忘れないようにしたいものです。♥♥♥

 富士山の知名度はスゴイ。二番目に比べて100倍、もしかすると1000倍かもしれないぐらい。富士山の知名度ってすごいんです。でも、じゃあ、二番目と比べて、富士山は1000倍高いんですか?って。そんなことはないんですよね。 ―斉藤一人

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