飛行機嫌い

 私は「飛行機嫌い」(I hate flying.)です。そもそもあんな巨大な鉄の塊が空を飛ぶなどということが信じられません〔笑〕。落ちたらどうしよう、という恐怖心もあります。死への恐怖です。高所恐怖症もあります(高い橋や東京スカイツリーも勘弁!)。起こり得る状況を自分の意思でどうにもコントロールすることのできない無力感もあります。9.11のようなテロへの不安もあります。まあこういう訳で、私はどこへ行くにも電車を利用しています。どうしても時間的にやむを得ない時だけ、仕方なく、本当に仕方なく飛行機を利用するんです。一度北海道・札幌まで、講演会のために電車を乗り継いで行ったことがありましたが、あの時はあまりの長時間の乗車がさすがに身体にこたえて、帰りは飛行機を使いました。今日はそんな飛行機にまつわる思い出を二つばかり紹介しましょう。

(その1) そんな「飛行機嫌い」の私が、生まれて初めて飛行機に乗ったのは、担任した生徒が国公立大学の二次試験に受験票を忘れてしまった(今は再発行もしてもらえますが、当時は受験票がないと受験することができませんでした)時でした。彼は私のアドバイスを守って2日前に現地に入っていました(可能なら2日前に入って、前日は本番と同じ時間帯で会場まで移動してみるとよい、と指導しています)。私は、お母さんからことづかった一枚の受験票を持って、初めて大阪・伊丹空港行きの飛行機に乗ったのでした。フライト中はずっと座席で目をつぶって「よして~、助けて~」と震えながら乗っていました。当時はプロペラ機のたまたま翼のある付近の席で、窓越しに機体の継ぎ目が見えたりして、それはそれはもう怖かったのを覚えています。飛行機から降りたときのあの耳がツーーンとするのも勘弁です。あれだけ「飛行機嫌い」の私が飛行機でやって来たことを知っているだけに、ホテルで受験票を手渡してやった時に、生徒が「先生、これで落ちたら僕、男じゃないですね」と宣言した言葉も忘れられない思い出です(見事合格しました)。一泊して、翌日は、大阪大学まで出かけて、受験する生徒達の激励に向かいました。そこでハプニングが!?

(その2) あの9・11の同時多発テロ事件の一週間後に、成田からロンドン・ヒースロー空港に向けて出発しました。文部科学省の研修プログラムで行ったのですが、さすがに中止になるだろうと思っていましたが、強行されました。いつ打ち落とされるかも分からない恐怖と不安の中で、大英航空のジャンボ機で出発しましたが、定員500人以上の飛行機に乗っているのは、私たち20数人だけでした。イギリス人のスチュワーデスさん(現在はキャビン・アテンダント)に、「この飛行機には今何人くらい乗っておられるんですか?」と尋ねたところ、ニコッとして「満席でございます」とウィンクされました。あー、これがあの有名なイギリスの「ユーモア精神」なんだな、と実感したことでした。ロンドンの街中でも、銃を持った警官がそこら中に立っている厳戒態勢の中で生活したのもいい経験でした。夜はホテルから絶対に出ないようにという文科省の指示にもかかわらず、毎晩パブに通い詰めました。だって英語の勉強に来ているんですから。

 ここで雑学を。飛行機は、機首に向かって左側にあるドアから乗り降りをしますね。そもそもなぜ左側からなのか、疑問に思ったことはありませんか?飛行機のことを、“シップ”ということがありますが、これは飛行機よりはるかに古い歴史を持つ「客船の文化」から来ています。飛行機の左側から乗り降りするのは、客船をはじめとする船が、ポートサイド(portside)と呼ばれる左舷から着岸していたことの名残なのです。ちなみに左にしかドアが付いていないかというと、決してそんなことはありません。実は右側にもちゃんと付いていて、駐機中に機内食などの物資を運び入れる他、緊急時の脱出用にも利用されます。またJALが採用している比較的小型なボーイング767やボーイング737は、右側のドアが小さく設計されています。これは機体が小さいとドアが相対的に大きくなってしまうため、機体の強度を保つための工夫です。搭乗の際に、注意してご覧になってみてください。

 「客船の文化」の名残りは、他にも数多く見ることができますよ。たとえばターミナルビルではなく、少し離れた場所に駐機し、お客さんをバスで到着ロビーまで案内する場合があります(例えば、出雲空港から羽田空港に着いた時など)。機体をターミナルビルから離れた駐機場に駐めることを「沖止め」といいます。これはもともと、港に入れない、などの理由で船が港外に停泊している状態のことを指す船舶用語です。また飛行機の航行速度を「ノット」、飛行距離を「マイル」で表しますが、いずれも、もともと船舶で用いられてきた単位です。さらに、機内のことを「キャビン」と呼びますが、この言葉も船舶用語から採っています。

 このように、同じように大勢のお客さんを一度に乗せる乗り物として、飛行機と船は、いわば親戚関係にあると言えるかもしれませんね。♥♥♥

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