2015年に、さだまさしさんのコンサートツアー・バンドとして結成されたのが「さだ工務店」の面々です。最近のツアーでは,普段の担当楽器とは違う楽器を各人が演奏したりもしており(例えば、ベーシストがトランペットを)、サウンドに厚みが増したように感じています。さださんのコンサートでは、長い年月の間にバンドメンバーも替わっていますが、その都度バンド名も変わっていきます。昔、「亀山社中」というのもありましたっけ〔笑〕。宅間さんの激しいマリンバ(「胡桃の日」「修二会」)が懐かしいなあ~。私は個人的に、倉田さんのピアノが好きです。店長(リーダー)はピアノの倉田さんです。ライブコンサートの中では、歌のみならず、さださんのトークの最中にもそれなりの楽器を使ったボケを披露したりと、多才なところを見せています。中でも特に、倉田さんと木村さんが芸達者です。最近では、単独ライブもやっておられるようですね。
<さだ工務店のメンバー>
・ピアノ:倉田信雄
・アコースティックギター:田代耕一郎
・パーカッション:木村“キムチ”誠
・チェロ:徳澤青弦
・バイオリン:藤堂昌彦
・オーボエ:庄司さとし
・ベース:平石カツミ
・ドラム:島村英二
さださんは、いつもステージの最後に、「今日も素晴らしい演奏をしてくれたステージのメンバーに拍手をお願いします!」と呼びかけます。そして間髪を入れず「そして今日も皆さんの見えないところでこのステージを支えてくれているスタッフの仲間にも大きな拍手をお願いします!」と、裏方で働くスタッフへの感謝の言葉を伝えます。さださん本人、バンドメンバー、観客が一体となって拍手喝采です。もう何十年と彼のコンサートに通っていますが、ずっと昔から、こうやって裏方さんへの気配りを忘れません。だから50年もの長きに渡って続けてこられたんですね。メンバー紹介を兼ねて、「さだ工務店のテーマ2020」がコンサートでは演奏されます。
上の映像の後半で流れるのが、私の大好きな曲「柊の花」(ひいらぎのはな)です。「昭和のエレジー」の歌を書いたつもり、とさださんが言っておられた曲です。さださんは、一昨年の秋、澤 和樹先生(東京藝術大学学長/バイオリニスト)と藝大の「奏楽堂」でコンサートをする機会があって(「さだまさしの名によるワルツ」という名曲が誕生しました)、その時、澤先生に、「澤さん、僕の歌でもバイオリンを弾いてくれませんか?」とお願いしました。⇒その時の打ち合わせ対談の模様はコチラ
「やります。明日にでも来ます」と言ってくださったので、澤さんの名器“ガルネリ・デル・ジュス”(1732年製の名器「アークライト」) が鳴ることを前提として書いたのが、「柊の花」なんです。素晴らしかったですね、澤さんの演奏は。技量はもちろん、音色も本当に美しくて、音楽をやる人間として、心ときめく瞬間だった、とさださんは語ります。子どものときの自分に「将来、藝大の学長がお前の歌でバイオリンを弾いてくれるぞ」と言いたいですよ。たぶん信用しないでしょうけど(笑)、と。実にぜいたくないい曲です。さださんは当初、澤先生の凄みを見せつけてくれるフレーズが3小節くらいあればいいなと思っていましたが、編曲者の盟友・渡辺俊幸(わたなべとしゆき)さんは、澤先生が弾いてくださるのだからと、腕によりをかけて超絶技巧の難しい譜面を書いてきました。またそのややこしいことを、普通の顔でスラっと弾いてしまうところがこの人のすごいところです。NHKの生歌番組「うたコン」に出演した二人の演奏には、もう鳥肌がたちましたね。さださんがお礼のメールを送ったところ、澤先生から『私のこころが解き放たれた。その責任をとってもらわないと』と返信があったそうです。アルバムでも澤先生のバイオリンが鳴っていますから、ぜひ聴いてみてください。あんなバイオリンの音色、初めて聴きました。澤先生は今春、東京藝術大学を退職され、フリーのバイオリニストになられました。さださんに「いつでも呼んで下さい」と言っておられます。再び共演が実現するかもしれませんね。上の映像では、「さだ工務店」の若きバイオリニスト藤堂昌彦(とうどうまさひこ)さんが見事に弾きこなしておられます。♥♥♥