その答えは2004年のライブツアーのMCで坂井さんが語った有名な言葉に見ることができます。「私はいつも本当に言葉を詞を大切にしてきました。音楽でそれが伝わればいいなと願っています」(I have always treasured words from the bottom of my heart. I would like to send my messages to others through my music.)普通の人の傍らにある喜びや悲しみを自分らしい言葉で、そして音楽を通して表現していきたいというのが彼女の思いでした。そのことは、2020年にNHKBSプレミアムで放送され大反響を呼んだ、ZARDスペシャルドキュメンタリー番組「ZARDよ永遠なれ 坂井泉水の歌はこう生まれた」でより一層はっきりとしました。この番組はデビュー30周年となる2021年2月10日に、特別編集版でパッケージ化されて発売されました。ぜひご覧いただきたい貴重な映像です。また昨年の6月に、東京都・町田市の「町田市民文学館」で開催された「ZARD坂井泉水 心に響くことば展」に史上最大規模で展示された直筆歌詞や資料でもそのことははっきりと感じることができました。もちろん「色鮮やかなメロディー」「こだわり抜いたサウンド構成」「唯一無二の歌声」「心くすぐられるビジュアル」(=美人)など人気の秘密はいろいろあるのでしょうが、わたしが一番の魅力と考えるのは、やはり坂井さんが大切にしてきたと公言している「歌詞」です。一切の妥協を許さず、レコーディングでは20回でも30回でも歌い直したといいます。
彼女の楽曲で最も有名なものは、やはり「負けないで」でしょうね。2014年から高等学校英語の教科書「MY WAY English Communication Ⅱ」(三省堂)にも採用され、初年度でも全国約400の高等学校で採用されました。1995年1月の阪神淡路大震災や、2011年3月の東日本大震災の際に多くの人々を励ましたこと、1994年には選抜高等学校野球大会の入場行進曲に採用されたこと、坂井さんが言葉にこだわり、制作に全精力を注いだことなどが、何度も何度も書き直された直筆の歌詞とともに伝えられています。「約20年間も色あせることなく、今もって若者の間で、“人生の伴奏歌”として歌い継がれてきています」というのが採用理由だったそうですが、実は、作った坂井さん本人の意図とは全く異なるものでした。歌詞をじっくりと読んでみればはっきりしますが、「男女の恋愛の世界観」を詠んだ歌であることが一目瞭然です。「事情があって遠く離れてしまった女性の『失恋の歌』」(寺尾 宏ディレクター)です。元カレを遠くから見つめて応援する女性の心を描いています。彼女の多くの楽曲に出てくる女性像はほぼ一貫しているんです。その失恋ソングがなぜ「応援歌」に定着してしまったのか、に関しては私なりの推論をコチラに書いていますので、興味のある方はご覧ください。
2004年に敢行されたZARD初にして唯一の全国ライブツアー「What a beautiful moment tour」が、47都道府県の映画館で上映されました。⇒私のレポートはコチラです 私は松江イオンの「松江東宝」でグッズも求めてきました(クリアファイル2種類、ブックマーク)。やはり劇場の音響で聴くと、坂井さんの会場に響く力強い歌声や、バンドの迫力ある演奏が臨場感をもって伝わってきます。♥♥♥