「抽象」から「具体」へ

 松江北高補習科勝田ケ丘志学館では、『Reading High-level』(ラーンズ)『Make Progress  in English Reading 』(数研出版)の二冊の長文問題集を使って、英文読解演習をしながら、一年間で英語の読み方を徹底的に鍛えています。具体的には、資料「英文読解八ちゃんの法則50」(写真下)のポイントを1つ1つ振り返りながら、確認作業をしていきます。生徒たちは、「分かったつもりでいたことが、実は分かっていなかったことが分かった」〔笑〕と口を揃えます。

・「英文読解八ちゃんの法則50(改訂版)」⇒コチラでダウンロードできます

 

 その中の一つに、「抽象から具体へ」という重要な事項があります。英語では、難しいことを言ったら必ずその後に分かりやすい説明のフォローがある、という大原則です。これは英語を読む際には、常に頭に置いておく必要のある重要事項です。したがって何やら難しい文章が出てきたら、それをああでもないこうでもないとこねくりまわすだけでなく、その後の部分もしっかり読んでごらん、すると分かりやすい説明が出てくるから、と指導しているんです。難関大学の下線部訳問題などは、まさにここがポイントで、難解な部分に線が引かれていますから、そこだけでなく、その後をしっかり読むとヒントが書いてあって、そこから難しい部分の言っていることが推測できるという訳なんです。「下線部和訳問題は下線部分だけでなく、その前後もしっかり読め!」と私が強調するのはそういうことなんです。具体」抽象」の大きなヒントになるということですね。英語の苦手な人は、このことが分かっていないので、難しい部分を一生懸命読むのですが、チンプンカンプンさっぱり分からない、と諦めて白紙答案を出してしまいます。実にもったいないことです。

 今日たまたま読んでいた英文学者の故・外山滋比古先生(二年前にお亡くなりになりました。『思考の整理学』の著者。最も美しい日本語の文章を書かれる先生として私はお手本にしてきた先生です。⇒私の追悼文はコチラです)の最新刊『「忘れる」力』(潮文庫、2022年)にも、そのことが書いてありました。

 この構造に不案内だったりするとひどい目にあう。以前、大学入試で英文和訳の問題が必ず出た。その答案を採点していておもしろいことに気付く。さきのAの部分の原文の下を鉛筆の線が往き来していて苦心のあとを留めている。それが突破できずに失敗するのであるが、Bへ行けばわかりやすく、そこから返ってみればAもわかる。A止まりだから失敗するのである。(p.97)

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