多義語term

   私の周りでは、単語集を竹岡広信先生『LEAP』(数研出版)に鞍替えする学校が目に付きます(米子東高校松江北高も。他に出雲高校・安来高校)。私は最近の講演で、繰り返し『LEAP』学問的素晴らしさに触れています(私の書評「竹岡広信『LEAP』~理想の単語集」コチラをご覧ください)。一例を挙げれば、termという単語は「多義語」でさまざまな意味があるので、教室で押さえるのに一苦労しておられる先生も多いと思いますが、竹岡先生はこんな説明を挙げておられます:「(限られた)枠」→①「(意味の枠→)用語」②「(時間の枠→)期間」③「(相手との関係の枠→)間柄」④「(取り決めの枠→)条件」 こうして意味同士の関連を押さえておいてやると、生徒たちの記憶の負担はずいぶん楽になるはずです。多義語の学習ポイントはまさにここにあるんです(参考:竹岡広信『Q&A即決英語勉強法』(教学社)pp.24-25)。それに対して『新ユメタン』では、「専門用語,言葉;期間,学期;条件」と、単に訳語を羅列するだけです。これでは生徒はただ苦痛であるだけで、嫌になってしまいます。さらに竹岡先生は、この単語を含む頻出の熟語on good terms with~「~と良好な関係にある」(*特に「仲がよい」という訳ではない)という注記を与えておられます。この*の部分が重要です。これに対して『新・ユメジュク』では「Aと仲のよい間柄で」と訳語と、We keep on good terms with each other.(われわれは互いに友好関係を保っている)という用例が示されるだけです。これは、現場でも誤解している先生がたくさんおられる熟語で、私も以前に、この句の実態を詳しく報告していますので、⇒コチラをご覧ください いずれにしても優劣は明らかだと思います。大学に合格するためだけなら『新ユメタン』『新・ユメジュク』で十分でしょうが、英語の面白さ・奥深さ・難しさまで踏み込んで指導したいのなら、やはり『LEAP』をお薦めします。両者は目指すべき目標がはっきりと違います。学問レベルが雲泥の差です。例えば、relative―「親戚」、「親戚」―relativeとクイックリスポンスをいくら繰り返しても、それが一体どこまで役に立つのか、疑問です。『LEAP』では「(家族を含めて)親戚」としています。私は生徒に一生英語を勉強し続けられる基盤をつけてやりたいですし、英語の面白さ・奥深さを伝えたいと思っています。

 termに関して、私は授業では、『限界』というコアの意味に触れた後で、termを含んだ多くの語を紹介します。terminal(鉄道・バスの終点)、terminate(終わらせる)もよく分かるでしょう。アーノルド・シュワルツェネッガー主演のアメリカ映画The Terminatorが「終わらせる+~する人」から人類抹殺用に送られた殺人アンドロイドとなる事も容易に理解できます。exterminate(根絶する)も、限界⇒境界の外に追いやるから、determine(決定する)という単語も、ハッキリと限界をつける、から来ています。将来の未知語への応用につながる学習法と言っていいと思います。

 challenge『新ユメタン』「挑戦;(やりがいのある)難題,試練」と訳語を示します。『LEAP』には、「“解決してみろ”と挑んでくるような(やりがいのある)難問」「日本語でよく使われる「(強敵など)に挑む,挑戦する」の意味はまれ」とあります。どちらが優れているかは一目瞭然です。♥♥♥

カテゴリー: 英語指導に関して パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中