保証人は絶対ダメ!

 お金の貸し借りは人間関係のトラブルの元ですから、絶対に避けなければいけません。人にお金を貸すときは、全部あげるつもりで出すことにしています。私も何回か頼まれてお金を貸したことがありますが、一度も戻ってきた試しがありません。私が尊敬する故・本多静六博士(東京大学名誉教授)の名著『私の財産告白』(実業之日本社)にも、そのことがちゃんと出ています。少々長いですが、参考になるので、引用しますね。

▲本多静六博士の名著


 昔から金の貸借にはいろいろな戒めがあって、「借主となるなかれ、また貸主となるなかれ、貸主は金と友人を同時に失う」とシェクスピアなどもいっている。もちろん、借金の申し込みにはいちいちもっともな理由がある。抜き差しならぬ持ち込みがある。しかし、親戚知友に対する金銭上の融通はできるだけ避けたほうがよろしい。これはお互いのためだ。実際金の貸し借りは、その金ばかりではない、大切な友人や親類をも失うもととなるので、いかなる場合にも金を貸借しないに限る。

 私もいままでにはずいぶんこの禁を破って金を貸した。ことに友人などから困窮の事実を訴えられると、つい気の毒になって金を出したものである。ところが、気の毒だと思って貸した金で、その金が生きた例がほとんどない。いろいろな人に、いろいろな場合の申し込みをうけると、初めてのことで僅かの金高だからとか、せっかくわざわざ頼みにきたのに気の毒だからとか、最初のうちはいつも貸す気になった。そのほとんどすべてが失敗で、自他共に失うところがすこぶる大きかった。

 ともかく、一度金を借りにくるくらいの人は、必ず二度、三度と借りにくる。そのときには再び貸さねば先の分まで死ぬということになって、再三無理をして貸し出してしまう場合が多い。そうして、自分にもこれ以上、もう貸す力がなくなるという頃には、いつしか切っても切れないと言う深い関係に陥ってしまう。こうして世の中の人々の多くが、善意に始まって、ちょっと金を融通したことからついに自分までも倒産の憂き目をみるに至るものである。私もここのところに気付いたため二度目にキッパリと断り、最初の恩借を無視されたばかりでなく、かえって大いに怨まれた場合さえしばしばあった。

 いずれにしても、少し金ができるとだれにも必ずこの貸借のトラブルが起きてくる。こうした際、何人も心を鬼にして最初から一切融通に応じない方針を厳守するよう、私は私の体験からみなさんにおすすめする。またそれが本当にお互いのためでもある。


 私の母の祖父の遺言は、「絶対に保証人になるな!」でした。なんでも保証人になったばかりに自分までひどい目にあったことが原因で、そのような遺言を遺した、と母から聞きました。母は私にも、絶対に保証人にだけはならないように、お金の貸し借りは一切するな」と言い残しました。本多博士もそのことをこんこんと戒めておられました。


 なお金を貸したり、儲け口に出資したりする以上に気をつけなければならぬことは、金融上の保証人となり、連帯の印を押したり、裏書の判を引き受けたりすることである。親戚知友などの懇意な間柄では、よく、ちょっと君が一ト判請け負ってくれさえすれば僕の事業も助かり、数日内に金も返せるから君にも決して迷惑はかけないと持ち掛けられることがあるが、うっかり請け判をしたためにとんだ目にあい、ついに一生涯それで苦しめられる人が少なくない。私の友人である知名の大学教授(W博士)のごときは、この手にかかり僅か数百円の借用証文に保証人の判を捺したばかりに、その証書が高利貸しの手に渡って転々とし、僅か五年そこそこのうちに数万円の巨額となり、その利息を払うだけに、生涯月給の差し押さえを食いつづけていたが、恐るべきは正にこの請け判である。だから、たとえ事情やむを得ず、自分の持ち物を売り払って金を出すことがあっても、決して他人の借用証書などに判を捺すべきではない。


 私は今まで母の教えを忠実に守って、お金の貸し借りは一切せず、保証人にもならずにこれまでやってきました。正解でした。♥♥♥

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