死んでも締め切りは守る

◎「死んでも締め切りは守る」(西村京太郎)

 生前の西村京太郎先生がよく言っておられたのが、「死んでも締め切りは守る」であったことを、女優の山村紅葉(やまむらもみじ)さんが明かしています。それが西村先生の信念でした。山村さんのお母さんの山村美紗(やまむらみさ)さんも同じでした。娘の紅葉さんも、母親譲りで仕事には絶対に穴を開けないと心に決めておられました。美紗さんが東京のホテルで仕事中に急逝された時も、紅葉さんは京都で撮影をしておられました。知らせを聞いて、すぐに東京に向かい、京都の自宅まで連れて帰ると、その足で現場に戻り、撮影を続けました。仕事が終わると、かたせ梨乃さんが黙って抱きしめてくれたそうです。

 「仕事に穴を開けない」ことは、この私もずっと信条にしてきました。仕事(授業)に穴を開けたのは、今から15年前、心筋梗塞のために日赤で手術をした1週間だけです。英語に関しても、たくさんの仕事を抱えて生活していますが、こちらの仕事の方も、絶対に締め切りは守るという信念でやってきました。仕事は信用が第一です。「好きな仕事に追われている時間が最高の幸せだよ」とは、西村京太郎先生の生前の口癖でした。

 担任をしていた頃に、「皆勤」ってそんなにすごいことなんですか?とよく聞かれたものです。すごいことです。だから「推薦入試」などでも調査書に皆勤」とあればそれだけでずいぶんのポイントを稼げるのです。休まないのだから、一時間一時間の授業の積み重ねがあり、それが学業成績につながることは自明ですね。私の現役時代に生徒たちにいつも強調していたのは「休まない」ということでした。私が担任したクラスはいつも出席率がよかったのはそういう訳です。何よりも社会に出てから、こういう基本的習慣のついている人は重宝されることが分かっているからうるさく言い続けました。残念ながら、今の高校生はちょっと頭が痛い、お腹が痛いと言ってはすぐ休む、「這ってでも出て行く」くらいの気構えでやって欲しいのですが、もう時代遅れの考えのようです。このことは生徒だけでなく教員にも言えることです。ベネトン・ジャパンという上場の会社の取締役がいいことを言っていました。これが成果をあげている会社における常識であろうと思うので紹介してみますね。


 部下にはいろいろ要求しますが、なかでも「絶対にこれだけは」というのは、朝、就業時間には必ず出社しなさいということです。上司たるもの「きょう、あの人にはこの仕事を、この人にはあの仕事を」と考えているものなんです。それが『きょうは体調不良で』とか「きょうは遠い親戚が死んで」とか言って遅れたり、休んだりする。こういう輩はあてにならないから仕事なんて頼めませんよね。だからとにかく「あてになる人材になりなさい。そのためには必ず時間通りに出社しなさい」と言っています。


 以前、大田高校理数科1年生を担任した時に、生徒達に一番強調したことがこのことです。休むな。少々えらくても出てこい。一時間の授業を大切にしよう!!」3年後にクラスの半分以上の生徒達が皆勤賞をもらい、学年では100人以上が皆勤賞の表彰を受けました。この年の進学成績が大田高校始まって以来の、国公立大学103人合格(それまでは40人~60人程度の合格者)という新記録を樹立したことも、このことと無縁ではないでしょう。最近の中学校の「無理をするな。えらければ学校を休め」という安易な指導には、納得がいかない八幡です。社会人になって一番嫌われるのが、仕事に平気で穴を開ける人たちです。

  もう一つ追加しておきましょう。私は現役時代から朝の6時半に登校して、その日の授業の準備や教材の作成、生徒からの質問を受けていました。生徒たちには、「学校には余裕を持って登校しなさい」と強調していました。長い間教員をしていて、ジッーと先輩教師を観察をしていて気がついたことは、仕事のできる先生はみんな朝が早い。今日一日やるべき仕事の割り振りや準備の計画を余裕を持って立てておられました。始業時間ギリギリに駆け込んだりは絶対にしません。前任校のある先生が、異業種体験の企業研修として、一ヶ月一般会社に派遣されて研修を積みました。研修初日に、いつものように8時30分始業時ギリギリに会社に出向いた所、社員全員がもうすでに慌ただしく働いており、恥ずかしい思いをしたといいます。上司の言うには「8時30分始業ということは、8時30分きっかりに全員が仕事に取りかかるということです。そのためにみんな早めに来てあれやこれや準備をしているんです。学校の先生には、そんな基本的なことも分からないのですか!」とたしなめられた、といいます。教訓的な話でしょう?明日からは余裕を持って早く来ましょうね。

 巨人軍のV9を達成したあの偉大な川上哲治(かわかみてつはる)監督は、練習でも、何かの会合でも、列車などに乗る時でも、必ず30分前には集合するように選手たちに厳しく教育したといいます。10時からの練習だったら9時半には集合する。旅行にしても、練習にしても、30分前に集まっていれば間違いないということで、選手たちに必ず30分前に一応揃うように癖をつけさせました。時間の中に自分の人生があるのだ、というように植え付けて、時間が命だと教育をしたといいます。当時は、この30分前集合を「ジャイアンツ時間」と呼んでいたそうですよ。団体生活では集合時間を守るというのは大切なことです。オーナーの正力さんの「巨人軍選手は紳士たれ」という言葉に象徴されるように、社会人としての訓練と教育、人としてのものの考え方をきちんと指導していたのが、当時の巨人軍だったのです。だから桁外れに強かった。今は…?♥♥♥

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