マスクマジシャン

 アマゾン Prime Videoが、オリジナル番組『ザ・マスクド・シンガー』シーズン2を、8月4日(木)より、独占配信することがテレビCMなどで流れています。さらにスケールアップしたシーズン2の派手なパフォーマンスと、MCの大泉洋氏と豪華パネリストの推理戦が映し出された予告編映像、キービジュアル、そして個性豊かなマスクドシンガー11名が解禁となりました。『ザ・マスクド・シンガー』は、マスクで正体を隠した有名人が、実力勝負のパフォーマンスに挑み、パネリストや視聴者がその正体を推理する新発想のエンターテインメント番組です。昨年9月にシーズン1を配信開始、Amazonオリジナル作品・視聴者数歴代No.1を記録しました。個性豊かなパフォーマーたちの正体だけでなく、こだわりの詰まったコスチュームやキャラクターデザインもSNS上で話題となり、有名人たちの魂を込めたパフォーマンス・バトルは大きな興奮と感動とともに幕を閉じました。シーズン2では、新たなパフォーマーによる、豪華にスケールアップした極上のステージで、パフォーマンス・バトルが展開されます。新たな演出や難解になったヒント映像で、推理の楽しさを楽しむことのできる新感覚バラエティです。

▲マスクマジシャン

 さて、このマスクを被ったアーティストということで、1997年から1998年にかけてアメリカのフォックステレビ(Fox)で放送された特別番組『破られたマジシャンの掟!』において登場し大騒ぎとなった、謎のマジシャン「マスクマジシャン(Masked Magician)」が思い出されます。彼は、長いマジックの歴史で守られてきたトリックを明かさない禁断のルールを「Magician’s Code(マジシャンの掟)」と呼び、それを打ち破ってマジックのトリックを次々と明かしていきました。この番組の冒頭、まず案内役(ナレーション)が「今宵は〜」とか言いながら登場して、マジック界の掟を破るだの煽るところから番組は始まります。そしてマスクマジシャンが登場して、一言も喋らず淡々と演技をし、種明かしをしてしまうのです。タネを明かし終わったところで、見栄を切って終わります。彼がラスベガスで働いていた時に、フォックスからの接触があり、何らかの交渉の後に、古い奇術のタネのみを明かすことを約束して番組出演を了承しました。しかし番組内では多くのより新しい手品のタネが明かされてしまいました。多くのマジシャンがトリックを明かされることを恐れ、マジック界で大きな論争を引き起こしたのは記憶に新しいところです。持ちネタとして使っていたマジックのタネが暴露されてしまい、二度と使うことができなくなるのですから、マジシャンたちにとっては死活問題でした。業界が騒然としたのは言うまでもありません。彼はアメリカのショービジネスの世界から永久追放されてしまいます。

 シリーズ4回目の最後に、彼は覆面を取り自らの正体(=ヴァル・ヴァレンチノ)を明かしました。そして、自分がトリックを明かすのは子供達にマジックに興味を持って欲しいからである、と動機を述べました。また、マジックの腕はトリックではなくそれを「演じるマジシャンのパフォーマーとしての手腕」が重要であると強調しました。以下はその時に彼が発した言葉です。

こんばんわ。
長い間マスクの下に素顔を隠し、マジックの種を明かしてきました。
番組を続けるためには、このマスクが必要でした。
私の正体については、色々と言われています。
そこで、今夜はこのマスクを取り、皆さんの疑問にお答えしたいと思います。
私がなぜここに立っているのか、そのわけを皆さんに知ってもらいたいんです。
今になってマスクを取るのは、番組を盛り上げようという使命感でも、仲間に対する罪悪感からでもありません。
皆さんに、私がマジックを愛していることを、だからこそこういう選択をしたのだということを分かってもらいたいんです。
近頃人気を集めているのは映画やテレビゲームで、マジックは忘れられつつあります。
なんとかしたいという危機感から、この番組を作りました。
皆さんに、初めてマジックショーを見たときの驚きと興奮を思い出してほしい。もう一度あの感動を思い出してほしい。
番組が初めて放送された翌日、人々は職場や学校、家族の団欒でマジックの話をしました。
下火になっていたマジックが、再び脚光を浴びたのです。
私は13歳でプロのマジシャンになりました。
町中の学校を回ってマジックを披露したものです。
私はいつも少しだけ種明かしをしました。そうすると子供が喜んだんです。とてもね。
子供は種を知ることで、マジックをより身近に感じます。もっと好きになるんです。
マジックの仕掛けを知ったらつまらないと?そうは思いません。
この番組を見てマジックがつまらなくなったでしょうか。
いいえ。それどころか好きになったはずです。これまで以上に。あなたもきっとそうでしょう。
たとえ仕掛けを知っていても、マジックは楽しめます。
観客を惹きつけてやまないのは、マジシャンの見せるパフォーマンスだから。
たとえばデビッド・カッパーフィールドやランス・バートン、ペン&テラー、彼らはまさに、華麗なパフォーマンスで観客を魅了し、自在に笑わせ、身震いさせ、驚かせます。
マジシャンはみなそれを目指しているのです。
もちろん私も。

(ここでマスクを取る)【正体はヴァル・ヴァレンチノでした】

最後に一つだけ言っておきます。
マジックはすべての人が楽しむものです。
決してマジシャンだけのものではありません。
私たちみんなのものです。
特に子供たち、君たちがマジックの未来を担っています。
この番組をきっかけにしてありきたりになったマジックが過去のものとなり、新しいマジックが生まれてくることを願っています。
さらなるスケールをもって、マジックの新時代を築きましょう。
私も前進あるのみです。
この次は、今までにない斬新なマジックをお届けすると誓います。
スリルと感動のマジックです。
皆さんにマジックを少しでも楽しんでもらえればうれしいです。
どうか忘れないで。マジックは私たちみんなのものです。
それでは、またお会いしましょう。

 確かにこんな言葉をプロのマジシャンが公共の電波の載せようものなら、恨まれるのも仕方ありません。あまりにも良くできた台本だと思います。来日したときも、ネタをバラすことによってマジックの進化を願う(バラされたマジックはもう演じることができなくなるので淘汰され進化せざるを得ないという理屈)、という本人なりの理念が流されてはいましたが、そこは興味本位の視聴者も多く、業界の人たちからは総スカンを食らい(アメリカのショービジネス界からは追放)、命を狙われたこともあったようです。興味本位での視聴率もずいぶん高かったと記憶しています。来日した時には、SL機関車を消してしまい大きな話題となりました。下はその時の映像です。

 

 日本でも、鉄人社「テレビでやってた人気マジックのタネぜんぶバラします」というタイトルで、次々と暴露本を出して話題となったことがありました。Mr.マリック、セロ、Dr.Leon、前田知洋など、当時の売れっ子マジシャンが次々と標的にされました。このシリーズはずいぶん売れたようです。テレビでやってた人気マジックのタネぜんぶバラします プレミアム』『テレビでやってた人気マジックのタネぜんぶバラします メンタリズムスペシャル』(鉄人社、各500円)

 あのMr.マリックも、テレビ番組でネタばらしをずいぶんやって、奇術界で叩かれましたが、あれらは全て古くなったものや、比較的軽い自分のオリジナルのトリックで、マスクマジシャンのやっていたこととはずいぶん違います。♥♥♥

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