「サフィール踊り子号」

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 東京駅の9番ホームに、観光特急「サフィール踊り子」が入線してきました。自然や文化、歴史などが「本物の魅力」として存在する、伊豆と首都圏を結ぶ付加価値の高い新たな豪華観光特急列車です。「大人のIZU、本物のIZU」をコンセプトとして2020年3月に登場しました。工業デザイナーの奥山清行氏が担当されました。普通席は無く、全車両がグリーン席の快適空間を提供しています。列車名の「サフィール」というのは「サファイア」を意味するフランス語。宝石のサファイアのような青く輝く伊豆の海と空をイメージさせ、上質・高級で優雅な旅を楽しんでもらいたいという願いから名付けられました。この列車のために製造されたE261系、外装もピカピカです。大きく続く車窓は、カラスアゲハの羽のような光沢で、サファイアカラーの外観にメタリックな輝きを添えています。昨年まで運転されていた「スーパー踊り子」251系の置き換えといった位置づけですが、251系がリゾート的なムードで少しポップさを感じさせる仕立てだったのに対し、こちらは重厚感がある印象です。車体概観のベースカラーである紺碧色は「伊豆の海と空」、車体前面から屋根にかけてのホワイトは、「伊豆の砂浜が太陽の光を受けて金色に輝く様子」、車体側面のグレーは「溶岩地形である城ヶ崎海岸の黒々とした岩石」をイメージしています。また開放的な明るい車内空間を提供するために、大きな額縁のような窓と、全車体側面の上部に「天窓」が設置されています。「サフィール踊り子」号の車窓は風景を感動的に切り取ってくれます。

 車内は全席グリーン車で、通常のグリーン席に加え、個室プレミアムグリーン席が用意されています。床などを木目調とした落ち着いた内装です。1号車がプレミアムグリーン車、2号車と3号車が個室グリーン車、4号車がカフェテリア、5号車から8号車までがグリーン車となります。東京寄りの5~8号車(グリーン車)は、従来の特急列車よりも広く快適な2+1列配置で、シートピッチは1160ミリメートルのリクラインイングシートを採用したグリーン車です。横3列はかなりゆったりしています。天窓からの陽の光が、ガラス製荷物棚を通して車内に降り注ぐ心地よい明るい空間です。シートの背面には大きなテーブルが。ドリンクホルダーもありました。

 2・3号車には、気の合う仲間や大好きな家族と一緒に目的地までゆったりとした時間を過ごせるプライベート空間の「グリーン個室」を用意しています。全て海側に設えられている個室内はすっきりと落ち着いてくつろげるカフェをイメージしたデザインとなっています。木目調の調度や照明は客船の一室を彷彿させます。1~4名用4室と、1~6名用4室の2タイプ計8室があります。シートはソファータイプで、上部にまで窓が広がり解放感があります。華美や重厚さとは異なった、すっきりと落ち着いたくつろげる内装です。

 まるで新幹線のグランクラスのような「プレミアムグリーン車」は、ゆったりとしたプライベート空間とくつろぎの空間を実現する1+1列配置です。座席は窓側に回転でき、ダイナミックな車窓風景を眺めることができます。席には毛足の長いカーペットが敷いてあり、シートピッチは1250ミリメートルのゆったりとした電動リクライニングシートを採用しています。倒してもシェルタイプですから、後ろの人に全く迷惑がかかりません。倒すときに後ろの人に声をかける面倒さからも解放されています。読書灯やコンセントも付いているのは便利ですね。

 8号車の運転席背後はちょっとした展望スペースになっていて、運転台とシートの間にはパーティションがあり、ここに他のお客さんが来て前面展望を楽しんでいても、最前列のお客が邪魔に感じることはなさそうです。運転室は驚くほど広々としているのですが、運転席が低いので、その背後から臨場感のある前面展望を楽しむことが出来るのです。

▲4号車食堂車内

 このE261系には「食堂車」があるんです。こだわりの麺(ヌードル)を目の前で調理するオープンスタイルのキッチンを備えたカフェテリアを設置。車窓の風景を眺めながら食事が楽しめるカウンター席とボックス席が用意されています。昨年の運行開始の際には「ヌードルバー」として、主にラーメンなどをメインに提供していましたが、この春にメニューが一新され、パスタやカレーなどより「食堂車」っぽいラインアップに。「列車の中で調理された食事を取る」というのがレア体験になってしまった今、そりゃ利用しないワケにはいきませんね。「サフィール踊り子号」のカフェテリアで提供されるパスタやカレーはミシュラン一つ星レストラン「Ristorante HONDA」本多哲也さん(小田原出身でミシュラン一つ星を14回獲得)が監修しています。食堂車というと料金が気になりますが、1000円台とそこまで高いわけではありません。グリーン個室へのデリバリーもしてくれます。

 『鉄道ジャーナル』10月号(2022年)が、この観光列車を特集していて面白く読みました。故・西村京太郎先生も、この素敵な観光列車をすぐに作品中に取り上げておられました。「前のめりに、食いつきそうな蛇」、見事な描写、さすがですね。♥♥♥

 今までの、乗りなれた特急「踊り子号」は、白と青系のツートンカラーだが、
白の部分が大きく、形も平凡で、全体に、大人しい感じだった。
 それが、今日、東京駅の9番ホームで見る「サフィール踊り子号」は、全く
違った車両だった。
 一瞬、濃いブルー一色に見えるほど、白の部分が少なかった。
 形も、平凡な角形から、流線形に変わった。
 そして、流れる黒いベルトの線。
 「まるで、蛇だな
 と、菅野は、思った。前のめりに、食いつきそうな蛇だ
  ―西村京太郎『十津川警部シリーズ 伊豆箱根殺人回廊』(祥伝社ノン
  ノベル、2021年9月)
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