「四国水族館」

 「四国水景」をテーマにした、四国最大級の次世代型水族館「四国水族館」(入館料2,200円)が、岡山県倉敷市香川県坂出市を結ぶ「瀬戸大橋」のたもと、香川県・宇多津町に2020年6月1日にオープンしました。新型コロナウィルスの緊急事態宣言の影響で、二度も延期され、開館(予定では昨年の3月20日グランドオープン)がずいぶんずれ込んだみたいですが、水族館好きの私はようやく行くことができました。お亡くなりになったあの志村けんさんも、生前オープンを楽しみにしておられました。私は全国の水族館を制覇したいという野望を抱いていて、全国各地の水族館をせっせと巡っています。

 四国の玄関口のような場所にあるので、アクセス良好な立地で、四国の新たなランドマークとなることが期待されています。「四国水族館」は、宇多津町のシンボルでもある黄金に輝く「ゴールドタワー」のほんの目の前にありました(瀬戸大橋が完成した時には、ここもずいぶんのにぎわいだったようですが、最近は少なくなった、とタクシーの運転手さんのお話し)。最寄りのJR宇多津駅から水族館までは徒歩で約12分です。左膝の痛い私はタクシーで向かいました。敷地面積8,516平方メートルで、延べ床面積は7,277平方メートル。コンセプトは「大人の水族館」「四国水景」をテーマに、四国ならではの海や清流、湖沼などを「○○の景」と名付けた70のコーナーに分けて展示をしています。展示生物数は400種類、計1万4,000点です。ちなみに、白を基調とした建物の外観は、宇多津で230年の歴史を誇る製塩の「塩」をイメージしているとか。連れて行ってもらったタクシーの運転手さんの話によれば、この水族館、土曜日・日曜日・祝日などは500~600人の大行列ができるそうですよ。この一年間の来館者数は120万人を想定していたところが、コロナ禍の影響で、実際は75万人と厳しい結果でした。

 感染対策も徹底して行われています。入り口にはサーモグラフィー・カメラが置かれ、来館者と職員が顔を合わせる所には透明シートが張られていました。来館者が多く手を触れる箇所を中心に、約1時間に一度消毒したり、一度に入館できる人数を通常の4分の1に制限し、来館者にもマスクの着用を求め、体調がすぐれない人は来館を控えるよう呼びかけています。この日はそれほどの行列でもなく(2~30人)、ラッキーでした。正面玄関脇の窓口でチケット(2200円)を購入して入場します。あまり愛想やサービスはよくありません。水族館は2階建てで、大まかに分けると、1階に海に住む生物の展示とミュージアムショップ、2階に淡水に住む生物の展示とイルカプール、アートコーナー、レストランなどがあります。飼育係とお客さんのコミュニケーションを大切にしたい」という想いから(その割には職員がどこにも見当たらなかった!)、あえて魚名板や生態の解説板は設置されていません。ここら辺は評価の分かれるところでしょうね。各水槽に「○○の景」と名付けて、水中世界を切り取ったような景色を見ることができます。

 1階の一番の見どころは、やはり館内で四国最大の最も大きな水槽がある「綿津見の景」でしょうか。日本神話における神様の名前です。前面のアクリルパネルは高さ5.5メートル、幅11メートル、中に入っている水の体積は650立方メートルあります(四国最大級の水槽)。ここではマダラトビエイやスマ、マアジなど20種類の回遊魚が踊るように悠々と泳ぐ姿を見ながらゆったりとした時間が流れます。四国の南岸を洗うように流れる世界最大の暖流「黒潮」と、その先に北太平洋海域をイメージした、ダイナミックな世界を感じることができます。水槽の前には2階へと続く半らせん状のスロープがあり、好きな高さから眺めることもできます。薄暗い館内の水槽に光が差し込み、幻想的で、水槽を絵画に見立てるように額縁装飾されています。

 「神無月の景」は、円形の水槽を下から見上げて眺める展示です。特徴的なシルエットを、直径約4mの巨大な丸窓から見上げるようにして眺めることができます。ここの主役は、水族館のマスコットキャラクター「しゅこくん」のモデルにもなったアカシュモクザメの群れ。下から見るその「顔」は笑っているようで何ともユーモラス。サメを海の底から見上げているかのような臨場感溢れる展示手法ですね。泳ぎに合わせて追いかけたくなりますが、頭上に気を取られて周りの人にぶつからないように注意です。ここにはソファーが設置されていて、座ってゆっくりと観賞することができます。

 「渦潮の景」では、徳島が世界に誇る「鳴門の渦潮」を再現していました。世界三大潮流に数えられる鳴門海峡中央部の激流と、海峡両岸の穏やかな流れの境に発生する「鳴門の渦潮」を覗いているような感覚を体験することができます。水面付近では渦が激しく巻いていますが、海底の水流は意外と穏やかで、マダイやコショウダイが悠々と泳いでいます。どの水槽も額縁装飾されており、まるで絵をみているようです。

 この他、瀬戸内の海や太平洋、深海を再現したコーナーなどがあり、「ヌシ」と呼ばれるユーモラスな顔のコブダイや、脚を伸ばすと約3メートルもある巨大なタカアシガニ、幻想的なクラゲの群舞など、見どころ満載です。屋外にはカリフォルニアアシカやケープペンギンのコーナーもあります。

 「四国水族館」では、水生生物とアートの融合を掲げて、展示にさまざまな工夫を凝らしています。水槽には絵画の額縁を思わせる装飾が施されており、時間によって色や香りが変わる照明やアロマの演出もあります。1度訪れたら、次は時間帯を変えて訪れてみると、変化を楽しめるかもしれません。水生生物についてのさまざまな疑問などに答えてくれる、黒電話型の端末「AI社員」も体験してみる価値アリです。

 2階で一番の見どころは、やはり7頭のマダライルカの「いるかプール」でしょうか。プレイングタイム」と呼ばれるショーは、毎日3回開催されますが、現在は新型コロナウィルスの影響で、密を避けるために休止していました。ただ、館ではこうしたショーよりも、マダライルカの普段の様子を見てもらうことを大事にしているとのことで、プールでボールを器用に鼻で打ち返しては、自由に楽しそうに遊ぶ7頭のイルカたちの日常の様子を常時見られます。1階の「いるかホール」からは、このプールの中の様子も見られます。その向こう側に広がる雄大な瀬戸内海の水面と、プールの水面がほぼ同じ高さになるように設計されているせいか、瀬戸内海とプールがそのまま繋がっているかのような印象を受けます。青い空と瀬戸内海に囲まれた開放感あふれるロケーションで、イルカが飛び跳ね水しぶきがあがるたびに、子どもたちの歓声が上がっていました。プールの傍らには「サンセットデッキ」があり、ゆったりと海の景色を眺めることのできる素敵な空間です。この光景がこの水族館の一番の売りだと感じました。

 「海月(くらげ)ゾーン」では、昼間は白色の光が、夜は月明かりをイメージした青色の光で演出されています。水槽は、ひとつの絵のように見立てるために額縁装飾が施されていてお洒落です。

 「淡水コーナー」には、四万十川を上・中・下流に分けて再現した展示などがあります。「四万十川」の中には人間が作った石積みなども再現されているのですが、こうした水辺と密接に結びついている四国の人々の暮らしも紹介しているところが、この施設の大きな特徴となっています。淡水コーナーの隣「川獺(カワウソ)がいた景」では、今人気のコツメカワウソ2匹が、じゃれあって仲良く遊ぶ愛くるしい姿も見ることができます。近くには滝があり、気持ちよい音が響いていて、水が飛び散っていました。淡水コーナー」では環境音として、鳥や虫、シカやイノシシの鳴き声が流されていました。

 四国の暮らしに加え、歴史や文化を紹介しているところも、この施設の大きな特徴です。2階の特別展示室にある龍宮の景」では、四国ゆかりの女性アーティスト3人による仏教美術や光の切り絵を取り入れた浦島太郎伝説に基づいた作品を見ることができます。光の切り絵は全編16分の鮮やかなプロジェクションマッピングのような作品で、次々と登場する魚や巨大な龍が見どころ。さまざまな魚を描いた香川県指定文化財「衆鱗図」の壁画(四国およびその周辺に暮らす水生生物を描く)や梵字の書も展示されています。館内で唯一水槽を使わない展示です。

 夢中で館内を回っているとおなかがすきますよね。瀬戸内海や瀬戸大橋を一望できる絶景の展望デッキには、香川の特産などを使った多彩なメニューを提供するレストラン「キッチンせとうち」と、ソフトクリームやラテといった軽食を提供する真珠形の「カフェ パール」があります(アルコールも販売)。1階にはシャークフィッシュ・バーガーやしゅこくんおにぎりを提供する「カフェ オリーブ」もありました。

 全ての展示を見終わったら、1階の出口「ミュージアムショップ」に立ち寄ってみましょう。しゅこくんのかわいらしいぬいぐるみや、水族館オリジナルのデザインの文房具や、今治タオルハンカチ、和三盆を使ったお菓子など、ここでしか手に入らないお土産がたくさん並んでいました。ちなみに、このミュージアムショップ」は館外からも自由に出入りできるので、水族館の入館者でなくても商品を購入できます。

 一つ一つの水槽を額縁装飾して絵画に見立てていたり、爽やかな風に吹かれながら美しい瀬戸内海を一望できる開放感抜群の展望デッキ(ここから瀬戸内海に沈む荘厳な夕日を見てみたい)など、水族館だけでなく、美術館アートを組み合わせたような趣のある水族館でした。穏やかな瀬戸内海の景色に心を和ませ、そこに暮らす生き物たちとの出会い、ここでしか味わうことのできない感動体験の数々が、非日常空間へと誘います。何よりも新しい水族館ということで、建物がきれいです。ただ水生生物の展示に関しては少し物足りなさも残りました。私が好きな京都水族館、海遊館、海響館、サンシャイン水族館、アクアパーク品川などと見比べると、どうしても見劣りがしてしまいます。さあ、次の目指すべき水族館はどこだ?!(私の趣味の一つが全国の水族館めぐりなんです。日本は人口あたりの水族館数が世界一と言われる水族館大国です。日本動物園水族館協会加盟で約50カ所。その他も含め大小150館以上もあると言われています)

 この水族館を運営する会社「四国水族館開発」社長の流石 学(さすがまなぶ)さんは、元々医療専門の経営コンサルタントだった異業種出身の人ですが、「知らない分野だからこそ見えてくるものもある。強みはスピードと柔軟性、大胆なチャレンジができること」と、引き受けました。そこで打ち出したコンセプトは「大人の水族館」「水族館は生き物を見に行く所、というイメージを取っ払いたい。自由な楽しみ方をしてもらいたい」と語ります。瀬戸内海を借景にマダライルカがジャンプする姿をビールやカクテル片手に眺めることができる、生き物がいない浦島伝説と四国八十八カ所霊場をテーマとしたプロジェクションマッピングの部屋「竜宮の景」、インスタ映えを意識したスポット、水槽に魚名版を設置しなかったこと、水槽を見上げるスポットでの光の演出、などはこの水族館特有のスポットです。

 問題点としては、魚の種類・数がちょっと少ない、解説の不足、それに見合うだけの入場料金(2200円)がちょっと高いかなという感じは受けました。♥♥♥

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