2015年10月に、スピーチコンテスト島根県代表の女生徒を引率して、国連大学本部に出かけました(⇒その大会の様子についてはコチラに詳しく書きました)。ついでに真ん前にある青山学院大学を見学させてもらい、会場入りしました。国連大学の真横には、岡本太郎さんの象徴的オブジェ作品「こどもの樹」がありました。遠くから見ても「アッ、岡本太郎だ!」と分かるくらい強烈な個性です。どことなく「太陽の塔」に似ていますね。これは国立総合児童センター「こどもの城」が1985年の開館と同時に設置された(惜しむらくは2015年閉館)作品です。高さ7・5メートル、幅5・2メートルで、太い幹から表情豊かなカラフルな仮面のような顔がいくつも飛び出しており、文化や人種を越えた個性豊かな子どもの姿を表しているといいます。



生命力溢れた樹から伸びた枝先には、さまざまな表情、顔を持った子どもたち。プリミティブアートの影響を、ポップに再構築させたような表現が印象的。やさしい世界。「人間はその数だけ、それぞれ、その姿のまま、誇らしくなければならない」という岡本太郎先生の信念が、見え隠れした後年の大作でもあります。青空に映える色彩と躍動感は、まるでひまわりの花のようでもあります。「子どもの樹」背後の建物は、東京都庁舎などを設計した「世界の丹下」、丹下健三設計の国際連合大学です!交友もあった二人の見事なコラボレーションの場。一見の価値アリです!
東京都では、この「こどもの樹」を敷地内に残して活用することになりました。周囲は階段状の木材のモニュメントで囲まれて、「ストリートガーデンシアター」に生まれ変わりました。その理由を作者の建築家・藤原徹平先生は、こうおっしゃっておられます。「まず、青山通りが東京にとって重要な道だということがひとつ。1964年の東京オリンピックの時にはまだ都電が一部走っていて、その後、青山車庫の跡に旧〈こどもの城〉や〈国連大学〉ができたりして街が変わるきっかけになったので、青山通り沿いがいいなというのは最初から思ってました。ここは向こうの青山学院脇の道とのT字路で岡本太郎の彫刻《こどもの樹》があって、〈こどもの城〉は東京の子どもにとって非常に大事な、聖地みたいな場所だった。そこが2015年に閉館し、何も使われないまま放置されていた。非常にもったいないというか、場所が死んでいるのがずっと気になっていました。渋谷から歩いてきて表参道に行く中継地点の大事な場所なので、東京にとってもすごく重要な交差点なんじゃないかと思います」そこで街を見下ろすように立つ岡本太郎のモニュメント《こどもの樹》の周囲が、木材でできた構造物と無数の植物に取り囲まれた。「ストリートガーデンシアター」です。ここは改修されて「都民の城」として2023年に生まれ変わります。♥♥♥