私がよく利用する伯備線の特急「やくも」号(あまりにも揺れがひどくて乗り心地が悪いので、特急「はくも」と揶揄されたりする電車です)が、新型車両になることが予告されており、楽しみにしていました。JR西日本はこの度、2024年春以降に特急「やくも」に投入を予定している新型車両のデザインを発表しました。デザインのコンセプトは「沿線の風景に響き自然に映える車体、山陰の我が家のようにくつろげる温もりのある車内」だといいます。新型車両には、大山の朝日や宍道湖の夕陽、独特の赤褐色で知られる石舟瓦、古代の製鉄技術「たたら製鉄」など、県内の自然や歴史をイメージしたブロンズ色を基調に、窓周りなどは白に統一しています。シンボルマークは、現在の八つの雲が沸き立つ形から、雲が流れる躍動感のある形になりました。デザインは「WEST EXPRESS 銀河」でおなじみのデザイナー川西康之さん(46歳)と、近畿車輛株式会社デザイン室が担当しました。光が反射しやすいメタリック塗装を施しており、昼夜などで印象がずいぶん変わるといいます。伯備線はカーブの多い山間部を走るので、新型車両は、あらかじめ登録した曲線のデータと実際の走行地点のデータを照合させながら適切なタイミングで車体を傾ける、国内初の「車上型の制御付自然振り子方式」の採用により、乗り心地を向上しています。ここが一番の関心事ですよね。車内の座席は、現在よりも座席の間隔を広くして座り心地を改良しています。現在の約200席から約170席に座席数を減らしています。全席にコンセントを備え、防犯カメラの設置による車内のセキュリティの向上、空気清浄機の搭載、車椅子スペースの拡大、多目的室の設置、車内Wi-Fi、大型荷物スペース設置、LED照明による省エネ化、などが主な特長です。運行区間は岡山駅~出雲市駅間で、投入車両数は44両(4両×11編成)の予定です。製造にかかる費用は約160億円。
グリーン車のデザインイメージがこちら。明るく空間の広がりを感じられる黄色ベースとし、富と長寿の象徴とされる亀の甲羅をイメージした「積石亀甲」模様をあしらい、亀にまつわる伝説や知名が多い山陰の文化・風土を演出しました。

普通車のデザインイメージです。沿線の山々をイメージした緑色ベースに、古来から神事に用いられ、人を守る魔除けの意味もある「麻の葉」模様をあしらい、沿線の自然・風土を演出しています。

グループ向け座席イメージ。鉄道車両の特性を活かし、大きな窓からの車窓が楽しめ、向かい合える座席構成、フラットにできるシートで、珍しい形の大型テーブルと、緩やかな仕切りで適度なプライベート空間としたグループ向け座席を新たに設け、くつろぎ感を演出しました。
