イギリス英語の出題

 「共通テストにイギリス英語が出題されますが、どんな勉強をしたらいいですか?」と、質問を受けました。確かに二年連続でイギリス英語からの出題が見られました。しかし私は「特別な勉強は必要ない。模擬試験に出た際に、あー、アメリカ英語とこんな違いがあるんだな、と押さえておく程度で十分です」と答えました。先週、生徒たちが受験した模擬試験でも、favourite, traveller, licence というイギリス綴りが出ていました。それぞれアメリカ英語では、favorite, traveler, licenseとなります。あー、こういう綴りの違いがあるんだな、と確認しておくだけで十分だと思います。特に知らなくても、解答に困ることはないと思われます。

 かつて、「共通テスト」にイギリス英語が出題されるとの予告が、大学入試センターから発表になりました。

共通テストでは現在国際的に広く使用されているアメリカ英語に加えて、場面設定によってイギリス英語を使用することもある。
(補足説明)
○ 高等学校学習指導要領に示された、国際的に広く日常的なコミュニケーションの手段として通用している「現代の標準的な英語」には語彙、綴り、発音、文法などに多様性があることに気付かせる指導を踏まえ、出題の場面や内容にふさわしい英語表記とするため、現在国際的に広く使用されているアメリカ英語に加えて、場面設定に応じてイギリス英語を使用することがある。

 ちょどその頃、私は(株)研究社から新しい「共通テスト」に関する原稿を依頼されており、 イギリス英語に関しては、綴り文法文化に関して下原稿を準備しました。その中で、文化面については、階数の数え方と、A rolling stone gathers no moss.(転石苔を生ぜず)という諺の英米における意味差を取り上げていました。しかしこの諺に関しては、辞典や参考書に書いてあるのとは違って、イギリス英語でもアメリカ英語でも両方の意味が観察されることから、見送って階数の数え方だけを残したのでした。⇒★この諺の解釈に関してはコチラの私の調査をご覧ください。

 すると今年の「共通テスト」第2問Aにおいて、図書館の施設の案内文で、階数を数える際のイギリス英語が出題されたのでした。私は『ライトハウス英和辞典』「共通テスト」にどれほど役に立つのかを解説した新しいパンフレットの中で、「圧倒的な「語彙力」を目指して」と題して、「文化面の英米差」として、建物の階数の呼び方の英米差を取り上げていました(下記パンフレット参照)。★この論考は⇒コチラをご覧ください。そのことが英文の中で出題されたのでした。ただ、この英米差を知らなくても(全国でほとんどの生徒が知らなかったと思います)、正解を導くには何にも困ることはありませんでした。こういう違いがあるのだということは知っておきたいですね。『ライトハウス英和辞典』の図も確認しておきましょう。

▲昨年末の私の記事 見事的中!!

▲『ライトハウス英和辞典』(第6版)にも違いの解説図が見られます

 ちなみに、思い起こしてみるに、一昨年の同パンフレットの中で私が注意喚起をしたalmostが、昨年のリスニング試験に出題され(⇒コチラです)、今年度は建物の階数の呼び方の英米差が出題されました。このパンフレットから、2年連続で見事的中です!

 種明かしをしておけば、センター試験から共通テストの試行テストに至るまでに、立て続けに4回もalmostの使い方が出題されていたんです。これは何かのメッセージに違いない、と思って注意喚起をしておいたんです。以前、東京大学の長文入試問題に「Gambler’s Fallacy(賭博者の誤謬)」というテーマが出題されたことがありました。その中で「過去の歴史を知って下す結論の方が、でたらめに下した結論より優れている」という主題が取り上げられました。私がいつも心がけているのがこのことなんです。過去の歴史(経験)を基にして、次に何が起こるのかを推論しているのです。だから歴史を学ぶことが重要なのです。若い英語の先生達に私がいつも強調しているのがこのことです。♥♥♥

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