原監督は辞めるべき?

 「今の原がやるべきこと? 巨人の監督を辞めることですよ」 そう切り出したのは、巨人の名遊撃手として活躍し、監督としてヤクルト、西武で4度のリーグ制覇、3度の日本一に輝いた、私の尊敬する広岡達朗(ひろおかたつろう、90歳)さんです。誰よりも巨人愛に溢れる広岡さんは、原監督に厳しく、最近の著書『巨人が勝てない7つの理由』(幻冬舎、2022年9月)の中でも、原辰徳(はらたつのり)監督を徹底的にコキ下ろしています。「巨人は日本シリーズに出るのが当たり前で、負けたら監督はクビ。そのために選手を鍛える。だから巨人はずっと、厳しい球団だと言われてきた。それなのに、原は全く違うことをやっている」私が原に厳しく言うのは、後任監督として長嶋に推薦したのが私だから。野球人のお父さん(東海大監督だった原貢氏)に相談できる無垢な若者として期待した。ただ、お父さんが2014年に亡くなっておかしくなったね」 求められるのは「厳しさ」だ、と広岡さんは強調します:

 「私は厳しい監督だと選手から嫌われていた。西武時代も選手は“優勝してあの監督に文句を言わせないようにしよう。それで胴上げで1、2の3で落としてやろう”と頑張った。今の巨人にそういう空気があるのか。丸 佳浩(33歳)が本塁打を打って、監督が一緒にマルポーズをやっている。水原(茂)さんや川上(哲治)さんが同じことをすると思いますか。誰かがホームランを打ったら、ベンチで他の選手が悔しがるのが巨人だった。戦力のある巨人で勝てない原は、辞めて弱いチームの監督として勉強すればいい。それで日本一になれば拍手喝采です」

 巨人の原辰徳監督(64歳)が、来季も指揮を執ることが決まりました。ペナントレース最終盤には、セリーグ最下位のピンチに直面し、一時は進退問題にまで発展するかと注目されましたが、かろうじて4位に滑り込んだことで、表向きは無風に終わりました。この点、ソフトバンクの工藤公康(くどうきみやす)監督は潔かったですね。優勝を逃すとすぐに責任を取って辞任しました。親会社の「読売新聞」系列の「スポーツ報知」は、原監督が8月下旬に「進退伺」を提出していたことを大きく扱いました。こうして原監督は、“機関紙”で禊ぎを済ませた後、これも用意していたかのように段取りよく、コーチ人事の刷新に踏み出しました。桑田真澄投手チーフコーチがファーム総監督へ、元木大介ヘッド兼オフェンスコーチは作戦兼内野守備コーチへ、事実上の降格処分です。そして外部からは打撃チーフコーチに「デーブ大久保」こと大久保博元氏、外野守備兼走塁コーチに走塁のスペシャリスト、鈴木尚広氏を招聘しました。 「桑田はチーム防御率3.69がセ・リーグ最悪だった責任を、元木はチーム打率2割4分2厘がリーグ最低だった責任を、それぞれ取らされた形です。毎度のことではありますが、監督が責任を取らない代わりにコーチのクビをすげ替える。コーチは監督の捨て石に過ぎないことを改めて示した格好です。最終的に原監督が全てを決める巨人で、結果が出なければコーチが責任を取り、結果が出れば監督の手腕となるのはおかしい。このゆがんだ構図はずっと変わっていません。原政権から去って行ったコーチの多くが「二度と原さんの下でコーチをやりたくない」と言っていることが全てを表しているのではないか」という、元監督の言葉が重く響きます。

 私の知る昔の巨人軍は、よそで育ったいい選手を金でかき集めて、あふれかえった人材を二軍や三軍で飼い殺しにするような球団ではありませんでした。生え抜きの選手達が、厳しい競争を勝ち上がってレギュラーになり、つかんだ椅子は必死で守り、控えの選手も何とかして、レギュラーからポジションを奪い取ろうと懸命に努力しました。監督は、激しいポジション争いの中から、調子のいい選手を使えばよかったのです。生え抜きの選手を自前で育てて勝つ「チーム強化」の本質を忘れ、他チームで育った有力選手を人気と潤沢な資金力によって、FAやトレードでかき集め、二軍が調整工場と化す、これでは勝てるわけがありません。ホームランを20本以上も打った選手が5人(岡本・丸・中田・ポランコ・ウォーカー)もいて、あれだけの豊富な戦力を持ちながら、優勝できないのはどう考えても解せません。明らかに指導者の責任です。

 巨人は10月23日に、梶谷隆幸(34歳)、立岡宗一郎(32歳)、中川皓太(28歳)、高橋優貴(25歳)、平内龍太(24歳)ら11選手に自由契約を通達しました。同時に全11人に対して育成契約を打診する見込み、との報道がなされました。巨人は2020年にも、2019年ドラフト1位入団の堀田、2017年ドラフト1位の鍬原を育成選手として再契約し、大きな話題になりました。今回はもっと露骨で、“戦力外”とされた選手は、一軍の主力クラスがズラーリと並んでいます。このオフにFAを含めた大補強に乗り出そうという腹づもりなのでしょう。原監督はどこ吹く風で、こんなことを言っていました。 「プロ野球は弱肉強食の世界というのが根底にある。這い上がってきなさい」70人の支配下枠をあけて、その分、新たに補強しようという魂胆が見え見えです。つまり、育成を「隠れみの」にする使い方です。FAで高額年俸の選手を獲得した場合、人的補償リストに載せるのは支配下選手となります。持っていかれては困る選手は、事前にそこから外しておこう、というものでしょうね。過去には、プロテクトから漏れた長野久義選手内海哲也投手を持っていかれた苦い例もあるので、これを何とか防ぎたいという策なんでしょう。しかし、これは本来の意味からかけ離れた、育成制度の「悪用」に他なりません。入ってまだ数年の選手も含まれていて、アマチュア指導者の立場からしても、大切な選手を預けたのに、わずか2,3年で『結果が出ないから育成に降格させます』では、プロの教育が信じられなくなってきます。こんなことをしていたら巨人はこの先、強豪校・社会人チームからも総スカンを食らいかねません。

 私は幼い頃から今まで、巨人一筋に応援をしてきました。私の大好きなさだまさしさんも、かつては熱狂的な巨人ファンでした。長嶋監督が不当に解任されたことに憤って、ヤクルトファンに転向されました。最近の巨人の戦い振り、露骨な無法ぶりを見て続けていると、私まで巨人ファンを辞めようかという気になってきます(まだやめませんが…)。個人的には劇薬の落合博満巨人軍監督を見てみたい気はしています。♥♥♥

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