危機意識

 penguin ジョン・P・コッター『カモメになったペンギン』(講談社)を読みました。

 北極の氷山で暮らすペンギンたちのコロニーの中で、ある日、氷山が溶け始めていることを発見したメンバー。このまま放置すると、いずれ大惨事を引き起こすことになりかねないと心配し、コロニーのリーダーの一羽に報告します。半信半疑だったそのメスのリーダーは、証拠となる現場を一緒に見に行って、実際にそのことを確認します。リーダー議会にこの問題を諮ることになりましたが、喧々諤諤の議論が噴出し、簡単に信じてもらうことができません。強硬に反対意見を述べる者もいます。そんな状況の中、様々な知恵を行動を通して、リーダー議会の幹部連中とコロニー全体、今置かれている危機的な状況を伝え、救済策を講じていこうとするのですが、そう簡単に事は進みません。5羽のペンギンが中心になって、コロニーの仲間たちを導いていく過程を描き出しています。いったいどのような策を講じて、果たしてペンギンたちは救われるのでしょうか? 

  自分たちの住処である 氷山が崩壊する危機が迫っていることに気付いた、一匹の好奇心旺盛なペンギンが動き出すところから物語は始まります。これからやってくる厳しい冬で氷山が崩れたら大惨事になってしまいます。そこから、それぞれ個性的な、でも長所を持っているペンギンたちを集めて5匹のチームを結成し、対策を練り始めます。危機を危機だと信じない、そんな事が起こるわけないと思っている、コロニーの他のペンギンたちに呼びかけながら、自分や自分の子供たちの命を守るために、この困難に挑むペンギンたちの物語。これだけ聞くとただのいい話じゃん、って感じですが、ペンギンたちの挑戦は、リーダーシップ論の世界的権威で、ハーバード・ビジネス・スクール教授で最も有名なジョン・コッター氏が唱える、下記の組織変革を成功させる8段階のプロセスが描かれています。

 たくさんのコロニーの仲間が変化をおそれなくなり、新たな環境に適応するには具体的なステップがあることを学び、もっと素晴らしい未来のためにみんなで協力して挑戦し続けていることだった。

1.危機意識を高める

 周囲の人々に変革の必要性と、すぐに実行する重要性を理解させる。

2.変革推進チームをつくる

変革を推し進めるには強力なチームが不可欠であることを認識する。それぞれ、リーダーシップ、信頼性、コミュニケーション、専門的知識、分析力、危機意識、に優れたメンバーが望ましい。

3.変革のビジョンと戦略を立てる

将来がどのように変わるのか、その将来をどのように実現するのかを明確にする。

4.変革のビジョンを周知徹底する

変革のビジョンと戦略について、なるべく多くの人の理解と共有・賛同を得るようにする。

5.行動しやすい環境を整える

障害はできるだけ取り除き、そのビジョンを実現したい人たちが行動しやすくする。

6.短期的な成果を生む

できるだけ早い時期に、目に見えるはっきりとした成果を上げる。

7.さらに変革を進める

一つ成功を収めたら、その後は変革をさらに推し進め、加速させる。そのビジョンが実現するまでは変革に次ぐ変革で、決して手綱を緩めてはならない。

8.新しい文化を築く

新たな行動様式が過去の古い因習に完全に置き換わるまでは、その新しいやり方を持続し、それが成果を上げていることを確認する。

 松江北高は、新入生が二年連続で定員を大きく割り込んでいます。「あの伝統校が?!信じられない!」と、私のお付き合いしている県外の先生方や、出版社の方々は驚かれます。「推薦入試」の導入でお茶を濁していますが、的外れの応急措置としか思えません。私などは教育の根幹に関わる「危機的状況」だと感じているのですが、肝心のリーダーや現場はどうなんでしょうか?「脱皮しないヘビは死ぬ」(ニーチェ)のです。♥♥♥

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