『絆の極み』

 11月15日に、全音楽譜出版社よりルーシー原納『絆の極み ~さだまさしと渡辺俊幸の半世紀~』という本が発売されました。二人の大ファンである私は、すぐにアマゾンで取り寄せて読みました。国民的シンガー・ソングライター、さだまさし。大河ドラマや映画音楽で知られる作曲家、渡辺俊幸。成功の裏にあった挫折や困難の中で、半世紀にも亘りお互いを支え合った二人の知られざるパートナーシップと、それを支えた「絆」を改めて確認しながら、二人の音楽家の今と未来を語る書籍です。

 この本は、渡辺俊幸(わたなべとしゆき)さんとさだまさしさんの、半世紀以上にも渡るパートナーシップを通して結ばれた「絆」について描かれています。特に初期の頃からのさだまさしさんのファンの方は、さださんと渡辺俊幸さんの関係も古くからご存じだと思います。これまでのお二人の二人三脚のパートナーシップは、数々の華々しい栄光に彩られていますが、その裏には様々な挫折や困難もあったようです。そしてこの挫折や困難を乗り越える源となったのは、お互いがお互いを支え合った「絆」にあったわけです。本書には初めて明かされるエピソードも含まれており(二人とも死を覚悟するほどの交通事故に遭った、「風に立つライオン」の制作秘話、など)、さだまさしファン、そして渡辺俊幸ファンには必読の書と言えるでしょう。

 二人はすぐに親密になったわけではありません。グレープの解散コンサートのサポートメンバーとしてツアーに同行した時に、解散後どういう形で音楽活動をしていくかずいぶん悩んでいたさださんが、渡辺さんに相談したところから急接近していきます。結果、さださんはソロのアーティストとして、渡辺さんはさださんのプロデューサー兼アレンジャー、また作曲家として新たな道を踏み出します。かくしてほぼ半世紀にわたり、共に支え合い、音楽家として切磋琢磨してきた二人です。

 「良い歌」を書きたい。これが僕のすべての目的です。果たして何が「良い歌」かは、死んでも分からないでしょう。ただ、「良い歌を書くために、僕は音楽を生きている」と信じている。そして、この「良いものを作るために生きている」という思いは、ナベちゃんとの「共通の希望」であり、「共通の願い」でもあります。もしかして「共通の幻想」でも構わないと思っています。(さだまさし)

 さださんは グレープでデビューして、最初のヒット曲「精霊流し」「暗い」と言われ、「無縁坂」「マザコン」、ソロになってすぐに「雨やどり」が大ヒットすると今度は「軟弱」「関白宣言」「女性蔑視」「防人の詩」では「右翼」、さらに「しあわせについて」では「左翼」とさんざん叩かれ続けました。さすがにさださんもイヤになったと言います。そんな時に渡辺さんは、「言いたいヤツには言わせておけばいい。人に何を言われようが、まっさんらしいいい楽曲を堂々と作ればいいんだよ!」と励まし続けました。

 彼がソロになるにあたって、この人を日本一にしたいと思ったんです。彼と出会わなかったらどんな音楽家になっていたかわからない。その時その時に衝動的にやりたいとおもったことをやり続けただけなんですけど、ご縁のあった方々のサポートのお陰。いろんな人との出会いのお陰だと思っています。本当にありがたいと思います。(渡辺俊幸)

 そんな渡辺さんが、2022年10月1日、「株式会社まさし」の所属アーティストとなりました。さださんがグレープでデビューした頃に、渡辺さんは「赤い鳥」のドラマーとして活躍しており、同じ事務所「ザ・バードコーポレーション」に所属していました。再びタッグの結成です。不思議な縁を感じますね。渡辺さんは、次のように語っています:

今年は、私にとって音楽家活動50周年の年になりますが、自分の音楽家人生を振り返ってみると、さだまさしさんとの出会いがとても大きく作用して今の自分がある事を感じます。

さださんとは、私がフォークグループ「赤い鳥」のドラマーとして、さださんがフォークデュオ「グレープ」として同じ事務所「ザ・バードコーポレーション」に所属した事で出会いました。

その後、さださんがソロ活動を始めるにあたり私は専属のプロデューサー兼アレンジャーとしてさださんを支えていく事になります。さださんのアルバムの為のアメリカでのレコーディング体験などがきっかけとなり私は更なる上のレベルの音楽家を目指す為、さださんとの仕事を一時中断してアメリカ留学をしたいとの思いが膨れ上がりますが、そんなわがままな要望をさださんは「自分の分まで勉強してきてね!」と快く受け止めてくださいました。そしてその時に留学した事で掛け替えのない音楽的体験と勉強を重ねる事が出来、今の自分があります。NHK大河ドラマ「毛利元就」、「利家とまつ」や「おひさま」などの朝ドラ4作品を含む多くのテレビドラマや映画音楽を手がけ、オーケストラの指揮者としても活躍出来るようになったのは、この時の留学経験があったからこそです。

留学を終え帰国後も現在に至るまでさださんとは、アルバム制作やコンサートなどを通してずっと一緒に音楽活動をして来ました。ほぼ半世紀という長きに渡って、音楽家同士そして盟友として共に過ごせたのはこの上なく幸せな事だと感じています。

この度、お互いに音楽家活動50年を迎えることを機にさださんの会社に所属し、より親密な関係でこれまで以上に素晴らしい作品を作り続けて行きたいと思いました。

新たな出発です。
どうか応援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

▲二人のエピソード満載の本!

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