頭寒足熱

 『頭寒足熱』は、子供の頃から教えられてきましたし、なんとなく「体に良い」とか、「勉強する時は頭寒足熱が良い」というイメージを、みなさんも持たれていると思います。

 『頭寒足熱』とは、文字通り足元を暖かくして、頭を冷やすことです。東洋医学では、「冷えは万病の元」という考え方があり、足元を冷やすのは体の冷えにつながるので、体を暖めるのは大切なことなんです。でも「体を暖めるのが大切なのは分かった。でもなんで頭を冷やす必要があるの?」と思いませんか?また、「なんで、足元を暖めると健康に良いの?」とも。その疑問点を解消するために、色々と調べてみました。そして、『頭寒足熱』には2つの健康効果があることが分かりました。 

1.「頭寒」は、結果的に体の冷えを防いでくれる

 暖房の効きすぎる部屋にずーっといたり、サウナに長時間入っていたり、暑いお風呂にずっと浸っていたりすると、頭がボーっとしてきますね。 いわゆる「のぼせる」という状態です。この「のぼせる」というのは身体には危険信号で、頭が温まりすぎると脳がオーバーヒート状態になってしまいます。頭が温まりすぎると、脳が「暑い!」と判断して、体を冷やそうとします。 そうなると、代謝が悪くなり、抵抗力も下がってきます。また、頭が温まりすぎると脳機能が低下するので、ボーっとして集中力が無くなってしまいます。勉強には「頭寒足熱」が良いというのは、脳機能を低下させないためのものだったのです。「頭寒」は、脳機能の低下を防ぎ、体の冷えを防いでくれる効果があるのです。とはいっても、のぼせてもいないのに無理に冷やす必要はなく、のぼせるのを防ぐという意味での「頭寒」だということです。

2.「足熱」は冷え性を防いでくれる

 「足は第二の心臓」とも言われます。人間は二足歩行ですから、重力によって足に体液が留まりやすいのですが、これを足の筋肉運動で体の上へ循環させている、非常に重要なパーツなのです。この足が冷えると、血行が悪くなり、足がむくんだり冷え性になってしまいます。部屋が暖房で暖かくても、足先が冷たいという人が多いのですが、足先は元々冷えやすいのです。そのため、冷えやすい足先を暖めることで、全身の血液の循環を良くする効果があります。結果、基礎代謝が上がり、冷え性を防いでくれます。足熱には、足湯、湯たんぽ、半身浴が効果的です。単純にエアコンの暖房で部屋を暖かくしすぎるより、頭はのぼせないように冷やした状態にして、足先を暖める方が、基礎代謝が上がり、血行が良くなり、健康にも良いということなのです。そう考えると、日本伝統の「コタツ」って理にかなっていますね。日本人の知恵って、スゴイと思いません?

 ついでに、私が日頃実践している頭のリフレッシュ方法を書いておきますね。まず第一に「手を刺激」してやることです。①指先を細かく動かす、②手首を一方の手で持ち、左右へゆっくりと回転させる、③手の甲をピッタリ合わせる、④指先に力を入れていっぱいに開く、⑤手のひらをブラブラと振ってみる、などをやっています。第二に、ガムを噛む」です。咀嚼は緊張を取り去り(緊張すると無意識のうちに奥歯を噛みしめるのです)、目や歯のためにも、また大脳への直接の刺激となって、頭をリフレッシュさせます。そして、口の運動にもなり、気分転換にも役立ちます。甘~いチョコレートなどもいいみたいですよ。第三に、あくびやため息を盛大にする」ことです。あくびやため息は、実は息を吐いているのです。呼吸は自律神経によって不随意に行われていますが、吐く息によってリラックスの神経が高まります。神経が疲れると、私たちは無意識のうちに息を吐いてリラックスしているんです。本当に体はよくできていますね。最後に、私は疲れてきたな、仕事効率が悪くなってきたな、と思ったら、趣味のカードやコインを取り出してきて、カットしたりシャッフルしたり、お気に入りのマジックを自演します。これでいい気分転換になるんです。

 私の尊敬する故・渡部昇一先生は、日本の夏の高温多湿に辟易しておられました。ドイツ・イギリスに留学して、湿気や気温が日本よりも低く、夏にもかなり快適に勉強できることを体験され、「これでは日本人は、ヨーロッパ人に勉強でかなうはずがない。彼らの一年は、日本人の一年よりも夏の三ヶ月分だけ長いのだから」と嘆かざるを得ませんでした。そこで、まだクーラーの普及率が極めて低かった頃に、大ベストセラー『知的生活の方法』(講談社現代新書、1976年)において、いち早くクーラーの効用を大いに説かれました。

 ある年、思い切ってクーラーを付けたのである。それはまったく魔法の如きものであった。夏休み中、まるまる東京にいて勉強できたのである。健康状態はよくなったとしても悪くならなかった。疲労しないから体力が落ちないのだろうと推測している。

 夏の苦しみはこのようにエアコン一発で解消できましたが、問題は冬で、暖房では苦労をし続けられました。ドイツの学生寮はすべてセントラル・ヒーティングでした。部屋の中で厚着をしなくても勉強ができます。先生は日本では、練炭ストーブ、石油ストーブ、電気ストーブ、電気スリッパ、エアコンで寒さをしのいでおられました。そこで新しく建てた家の書斎では、床暖房を入れられたところ、これが大正解だったと回想しておられました。人間は足元が温かくなると、部屋が暖かくなくても寒さを感じません。床暖房がこれほどありがたいものだとは思ってもみなかった、と言っておられました。「床暖房は、つくづく老人の幸せの最たるものである」と(『実践 快老生活』(PHP新書、2016年))。♥♥♥

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