「好調な時ほど練習する」

 かつての巨人軍の主砲でMLBのヤンキースで大活躍した松井秀喜(まついひでき)さんと、京セラの名誉会長の故・稲盛和夫さんが異色の対談をしたことがあります。稲盛さんが再建したJALの機内誌の企画でした。

 稲盛さんが松井さんに尋ねたのは、「松井さんが打撃の練習に一番打ち込んだのは、どんなときですか?」という言葉でした。松井さんは稲盛さんにこう答えたのです。「打撃が好調なときですね。好調なときは怖くて、とくに練習に打ち込みました。」意外な言葉でした。むしろ怖いのは不調のときであって、不調なときこそ練習に打ち込んでスランプを脱するのではないかと思いました。松井さんは続けます。「打撃が好調のときは、ホームランやヒットが自然に打てるのです。ファンの方も喜んでくれますし、マスコミもほめてくれます。ただ、好調なときはそう長くは続きませんから、明日はホームランやヒットが打てなくなるかも知れないと思うと、心配で心配で、怖くなるんです。そのためん、好調なときは、練習に一層励むようになります。」「僕は、良いときというのは、ほとんどなくて、逆風が吹いている時間のほうが長いように感じるんですね。ですが、一番大事なことは、そこに踏みとどまりながら、努力して結果を出すことで、試行錯誤しながら、その連続です。」

 松井さんの言葉を聞いて、稲盛さんは大変満足した様子でした。「松井さんは、そのような思いがあるからこそ、これほどの成績が残せたのでしょうね。松井さんは、どのような仕事をしても成功しますよ」と。

 プロ野球選手の中には、打撃が好調になると、すぐに自分の実力だと勘違いして、練習をそこそこに切り上げて、飲みに出かけたり遊んでしまう人も多く見られます。ただ、そのような選手は、好調を維持できずに、すぐにスランプに陥ったり、体調を崩したりしてしまいます。これに関して、私はよく大相撲の話をします。優勝した力士が、次の場所には全然勝てなくなることがよく見られますね。優勝した時には、後援会の人たちに誘われるまま、毎晩のように豪遊します。ハメを外すぐらい付き合わないと、後援者やファンが増えないと言われていますから。当然、稽古は疎かになりますから、翌場所は負け越し、さらにはケガをしてそのまま引退ということになります。

 松井さんの言うように、「好調なときこそ、怖がる」のが正解なんでしょう。調子のいいときには足元をじっくりと見つめ、厳しいときには顔を上げて、将来の希望と夢を語ることが大切です。悲観一色、楽観一色ではダメなのです。♥♥♥

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