運を引き込む

 「受験」には運」も必要です。私が大学受験をした際に、試験が始まる前の時間に、学校の授業では間に合わず教えてもらうことのなかった「インドの独立」について教科書を見ていたところ、配られた試験問題に、インドの独立について与えられた用語を用いて記述しなさい、という問題があったときには万歳しました。こんなことがあるんですね。私は長い受験指導の経験の中で、授業でやったものと全く同じ英文が出題されたと報告してくれて合格した生徒を三人ほど知っています。「運」がいい人には、このようなちょっと信じられないことが起こるんです。だからみんな受験前に、神社にお参りしたり、お守りを買ったりするんですね。

 では、「運を引き込む」にはどうしたらよいのか?長く生きているといろいろな要因が頭に浮かびますが、そこら辺は、最近読んだ二冊の新刊本に譲りたいと思います。一冊は、日本電産の会長永守重信さんの『運をつかむ』(幻冬舎、2013年)、もう一冊は、致知出版社長の藤尾秀昭さんの『人間における運とツキの法則』(致知出版、2012年)です。実に面白い。参考になります。

 どうしたら「運」がよくなるかはかなり難しい問題ですが、どうしたら「運」が逃げていくか?は実に簡単です。①人の道を守らない人間、②親を大事にしない人間、③恩ある人に砂をかける人間、こういう人には絶対に幸運は巡ってきません。最近、松江北高補習科勝田ケ丘志学館で全く同じ体験をしました。二次試験に向けて(自由)英作文の添削をお願いしたいと、授業が終わり帰り際の廊下ごしに(人にものをお願いする際に、この態度は非常識だと思います)ノートを差し出す生徒たち、これに対して、「今日、先生の部屋に7時40分、8時の二回お邪魔しましたが、先生はおられませんでした。明日は何時頃部屋におられるでしょう?」(私は現在学校へタクシー通勤で、学校に来る時間も不定期になっているんです)と訊ねてから、翌日やって来て、「英作文の添削をよろしくお願いします」と丁重にお願いに来る生徒。どちらが「運」を引き込めるでしょうか?こんな話を授業の冒頭、米子の生徒達に話した後、お昼休憩で帰ろうと教室を出たら、「二次試験の英作文の添削をお願いします」と廊下でノートを出しながら頼む生徒。全くもうあきれました。いったい今日の私の話は何だったんだ?先生方に最近よく私が言っていることがあります。「生徒は先生の話を聞いていません。同じことを何度も繰り返し繰り返し徹底する必要があります」。このことを証明する笑い話でした。

 かつての松江北高は、定期考査で8割以上取れる生徒でないと、添削指導を受けることはできませんでした。だからみんな必死で毎日の勉強を頑張って、プラスアルファの指導を目指したものでした。今は誰でも頼めば何でもやってもらえると思っています。だから有り難みも薄い。大きな姿勢の違いが見られます。

 「運」を引き込むヒントが満載の月刊誌に『致知』という雑誌があります。かつてこの雑誌のインタビューで、尊敬する故・稲盛和夫(いなもりかずお)さんが86年の人生を振り返って、人生で一番大切なものを聞かれ、こう即答されました。もうこれに尽きると思いますよ。♥♥♥

 一つは、どんな環境にあろうとも真面目に一所懸命生きること……。私がただ一つだけ自分を褒めるとすれば、どんな逆境であろうと不平不満を言わず、慢心をせず、いま目の前に与えられた仕事、それが些細な仕事であっても、全身全霊を打ち込んで、真剣に一所懸命努力を続けることです。

 それともう一つは、やはり利他の心、皆を幸せにしてあげたいということを強く自分に意識して、それを心の中に描いて生きて行くこと。いくら知性を駆使し、策を弄しても、自分だけよければいいという低次元の思いがベースにあるのなら、神様の助けはおろか、周囲の協力も得られず、様々な障害に遭遇し、挫折してしまうでしょう。“他に善かれかし”と願う邪心のない美しい思いにこそ、周囲はもとより神様も味方し、成功へと導かれるのです。

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