天龍源一郎の新著

 下ばかり向いていたら、晩年大病を患い、最後の最後までアントニオ猪木を貫き、アントニオ猪木として逝かれた猪木さんに会わせる顔がないなという思いもあります。天龍は全日本プロレス時代から、目標とするレスラーの一人として、猪木さんの名前を堂々と挙げていました。猪木さんが必殺技にしていた「延髄斬り」「卍固め」も使わせてもらっています。それくらい猪木さんをリスペクトしていたし、いつかは猪木さんを超えるレスラーになるというのが、若き日の天龍源一郎の原動力の一つでもありました。 「だから後年、東京ドームのメインイベントで猪木さんと戦えたことは誇らしかったし、少しは猪木さんに近づけたんじゃないかと自負もしている」天龍

 天龍の引退試合には、時のバリバリのIWGP世界チャンピオンのオカダカズチカを指名しました。オカダが2012年、2013年とプロレス大賞のMVPを受賞した際、「猪木、鶴田、天龍はボクと同じ時代じゃなくてよかった。ボクと同じ時代じゃ連続受賞なんて無理でしたし」とコメントしたことが、天龍の逆鱗に触れたからです。「何をフザけたことを言いやがる!」戦いの前、オカダ「現役バリバリの28歳のピッチャーのボールを、65歳のバッターが打てるのかって話ですよ」と本音まじりの挑発を行なっていました。満身創痍の天龍がどこまで男の意地を見せられるのか、そして、そんな天龍を相手にオカダはどこまで自分のプロレスを貫けるのか?というのが試合の見所のひとつでした。

 オカダドロップキック天龍グーパンチ合戦に終始したゴツゴツした戦いの中、必殺技・レインメーカーで見事に介錯を務め上げた後、リング中央で大の字に横たわる天龍に対し、オカダが深々と一礼をしたシーンが印象的でしたね。「べつにあそこで両手を広げてね、踏みつけることもできましたけど……自分が大暴れして帰っていくのも胸クソ悪いと思ったこともあったのですが……」 一拍置いて。「なんでかわからないけど、『またやりたいな』って思いましたね。もう叶わないですけど、これで終わりなのが嫌だなって思いました。天龍さんが全盛期のときにもやってみたかったなって。それと、ここじゃ言えないような気持ちもありましたし、今までプロレス界を支えてくれた天龍さんへのリスペクトも示さなきゃ……いろんな意味を含めてあそこで自然と頭を下げましたね」ふたたび一拍置いて。「それでもボクのほうが凄いというのは何ら変わらないですけどね(笑)。あの日、ほかにもいろんなバラエティに富んだ試合があったっスけど、業界トップのボクが最後にしっかり魅せられたから大会が締まりましたよね」「今のプロレスラーはすごいでしょ。だから安心して引退してください。天龍さんが誇りに思ってきたプロレスをしっかり引き継ぎ、さらに進化させて、天龍さんが妬いてしまうような活躍をしますんで」という思いを伝えたかったのです。今やそのオカダは押しも押されぬ新日本プロレスの看板スター。2011年、2022年と二年連続でプロレス大賞MVPを受賞しています。♥♥♥

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