「事実」「意見」の区別問題

  「共通テスト」に出題される表記の問題について、かつて私は2021年6月19日(土)のオンライン講演(ラーンズ主催)で、次のようなことを述べました。再掲しておきます。

 「試行テスト」にもあったように、「事実」と「意見」を識別させる問題が出題されました。新しい傾向の問題です。苦手としている生徒も多いようです。なぜこのような「事実」と「意見」を区別するという問題が出題されるのでしょうか。その真意は一体何でしょう?現在、インターネット上では記事と読者が書き込んだコメントが混在しています。そこには真実もあれば、フェイクニュースもたくさん存在しています。このように「事実」と「意見」が混在するネット情報を、自分の力で正しく読み解いて欲しい、という出題者の意図が見え隠れしています。
 情報を取得する際には、「何が事実で何が事実ではないか」ということが大切です。ここを捉えた問題ということですね。ある情報が「主観的」か、「客観的」かを判断するためには、自分が読む英文がどのような情報を伝達しているかを意識する「思考力・判断力」が求められています。この問題を指導する際に、「意見」は「形容詞」や「助動詞」を使って表現されることが多いことは知っておいて良いでしょう。

  「共通テスト」において、「事実」「意見」を区別する問題は、初年度4題も出て、昨年はたった1題(追試では0)ということで、今年はなくなるのでは?と予想した予備校の先生方も多かったようですが、私は生徒達に絶対にこの問題はなくならないと断言していました。「事実」「意見」両者が混在する現代のネット情報を正しく読み解く力を身に付けて欲しいというのが出題の狙いで、このことは今の小・中学校でも熱心に指導がなされていると聞いています。それほど重要なことですので、消えることはないという確信がありました。案の定今年も、「事実」「意見」を区別する問題が2題出題されました。正答率はそれぞれ65.6%と71.8%でした。苦手としている生徒も結構いるようです。

 もう一つ指摘しておきます。初年度の出題を受けて、予備校等では、形容詞がついていれば「意見」だという安易なテクニックがずいぶん指導されたようです。これを受けて、昨年の問題では、選択肢の全てに形容詞が含まれているという出題となりました。この設問のタイプにはこう解く、といった安易なパターン化されることを避けたいという大学入試センターの意図が強く感じられたことでした。そのことは今年の問題全般でも強く感じたところです(第1問の写真が消えた/第4問の計算問題が消えた/第5問が伝記から物語文に変更など)。

 さて「共通テスト」リーディング&リスニングの詳細な分析セミナーが、尊敬する竹岡広信先生(駿台予備校・学研プライムゼミ・竹岡塾)により、数研出版よりオンデマンドで配信開始されました(2月17日~、500円)。いつもながらの竹岡節を興味深く、それでいて勉強しながら拝聴しました。解説の言葉一つ一つに学識を感じますね。ご覧になりたい方は、下の案内からお申し込み下さい。♥♥♥

▲実に勉強になる解説でした

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