D判定でも合格!

 1月28日(土)に行われた私の「オンライン講演会」(⇒この講演の概要をコチラで読むことができます)の前に、多くの先生方から質問が寄せられていました。その中の一つに「D判定やE判定でも合格する生徒がいるとおっしゃいますが、そのことについて教えていただきたい。可能性があると判断する目安があるのでしょうか?」というものがありました。講演の中でお答えしたつもりですが、前期の合格発表が出そろった今、その思いがますます強くなりましたので、詳しく述べておきたいと思います。D判定でも二次力のある生徒はバンバン合格しています。「エーッ、この点で通るの?」という例も、今年は特に多く見られました。私は昨年の「共通テスト」の直後にこんなことを書いています。 

 今年のような荒れた入試のときには、なおさら判定の意味はありません。団子状態になっている集団で、Aだ、Dだと言ってみても何の意味もないでしょう。A判定でも落ちますし、C、D判定でも合格を勝ち取る生徒が出てくるでしょう。さらには大きく難化した「共通テスト」の結果を受けて大幅に志望校が動きますから、そこをしっかりと見極めておかねばなりません。実際、河合塾の調査によれば、志望校変更が相次いでいる実態が報告されています。「安全策を取って志望変更した先の大学や学部に、新たに志願者が集中し、倍率が上がって結果的に危険策となってしまった」現象が、大きく平均点を落とした平成25年の大学入試センターでも見られました。「歴史は繰り返す」のです。

 業者のリサーチ結果票をそのまま鵜呑みにして生徒に返却したり、二次出願を前にパソコンの判定システムを見せながら「A判定だから頑張れ!」「B判定だから何とかいけるだろう」「C、Dではチョットきついな」といった生徒面接を見ていると、進路指導に長年関わった人間としては、非常に違和感を感じます。あの各社の「判定システム」のAだBだは、自己採点時の志望校を基にした分布での数字であって、あれから大きく受験生の志望は間違いなく動いてきました。今年もそうです。A判定でも落ちますし、C、Dでも合格を勝ち取る生徒がたくさん出てくると予想していました。ジタバタせずに、このことを心にしっかり刻んで、二次試験に向けて、過去問を10年分解いていくように、と松江北高補習科&勝田ケ丘志学館の生徒達には話していました。

 私の退職時に、「退職を祝う会」開いてくれ、こんな言葉を贈ってくれた当時の教え子がいます。二次科目とにらめっこして緻密な計算の上に送り出した生徒です。読み通り、逆転合格を果たしてくれました。


 センター試験が終わって先生との進路相談に進路指導室に行ったとき、センターがボーダーにもかかっていなかったのに、「お前は二次の力があるから大丈夫だろ」と一言で終わりました。今では塾で生徒に接する立場にいながら、あの一言が言えるくらいに生徒を育てたことがなく、今もその言葉を追いかけているように思います。直接感謝を述べたいところですが、またの機会を楽しみに、お体を大事にしてくださいね。♦♦♦


 そもそも、この時期に必要な指導とは何でしょうか?私は長らく担任や進路部長をしていた頃は、この時期には二つのことを意識して指導していました。一つは、二次で逆転できるのは、二次試験の配点の1割と考えること。二次配点が大きい大学ほど、逆転の幅も大きくなります。二次配点が100点しかない大学は、10点しかありませんから、まず無理ですね。使う二次科目が得意科目かどうかを、そのこととにらめっこして作戦を立てていました。一応予備校等が設定しているBライン(合格可能性50~60%)までの自分の得点差がこの10%以内に入っておればひっくり返すことができます。もちろんその範囲内であれば、逆にひっくり返される場合もあるということですから注意が必要です。上の生徒の場合は、二次科目が数学だけで、理系でめっちゃ数学には強い生徒でした。センター試験の得点は足りませんでしたが、この1割以内にちゃんと入っていましたし、いくらでも二次試験でひっくり返せると確信して送り出したのでした。

 もう一つは、「共通テスト」での自分の持ち点が出ています(もちろん自己採点が正確であることが前提です)。自分の志望大学・学部・学科の配点(傾斜配点)に応じて、「傾斜得点」が分かります。各大学はそれぞれのホームページでここ数年間の「合格最低点」を学部ごとに公表していますから(ほぼ例年同じ様な点です)、それから自分の「傾斜得点」を引き算します。すると、これから自分が合格を勝ち取るために「二次試験」で取らなければいけない最低得点が出てきます。それを、自分の二次科目の得意・不得意に合わせて、二次配点とにらめっこしながら、どうクリアするのか戦略を立てるのです。不安な生徒にはきちんと時間を計って過去問をやらせてきて、この目標点に届くかどうかを、その都度確認していきます。かつての松江北高の2日がかりの「最終志望校判定会」では、これを生徒一人一人にやっていましたから、時間がかかり、終わるのは翌日の深夜2時・3時ということもざらでした(終わってからみんなで焼き肉を食べに行って朝まで!)。自分の得点を活かすために、具体的に志望校と向き合うということが必要です。もうこの時期に精神論は必要ありません。

 こうした荒れた入試の時には、経験が物を言います。「共通テスト」の結果でショックを受けている生徒と一緒になってジタバタしても始まりません。一人一人の生徒に関して、上で述べたような声かけをして、二次試験に向かって火をつけてやることが最も大切なことです。私はこのようなことを、何度も失敗を経験して先輩の先生方から学んで来ました。「経験は最良の教師である。ただし授業料は高い」のです。❤❤❤

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