SANADAが勝った!

 私は若い頃から熱狂的なプロレスファンです。4月8日(土)の新日本プロレス・両国決戦を生中継で見ていました。メインイベントのIWGP世界ヘビー級王座戦で、春の最強シングル決定トーナメント「NEW JAPAN CUP」(NJC)の覇者・SANADA(35歳)が3度目の防衛を狙ったオカダ・カズチカ(35歳)を26分58秒、新技「デッドフォール」(変形DDT)からの体固めで撃破し、新王者に輝き、新日移籍7年目にして最強のベルト初戴冠を果たしました。新日本参戦から丸7年。悲願のベルトをつかみ取り「やっと、やっと、IWGP世界ヘビー級のチャンピオンになりました」と感慨を込めました。

 彼は2005年11月に、新日本プロレスの入門テストで不合格になっています。翌年1月の「武藤塾」に合格、2007年3月に全日本プロレスでデビューしました。新日本マット初登場は2016年4月で、キャリア初となる団体最高のベルトを取るまでには、さらに7年もの月日を要したことになります。潜在能力の高さは周りから評価されていたものの、IWGP挑戦に4度失敗しています。肝心なところで結果を残せない日々が続いていました。

 SANADAは昨年、暗闇のスランプ状態に陥り連戦連敗を喫し、もがき苦しんでいました。新日本プロレスの「NEW JAPAN CUP」(NJC)のトーナメント開催中に、「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を電撃脱退し、髪も金髪から黒く染め直し「Just 5 Guys」に加入しました。クラシカルな技を好み、「頭から落とすだけがプロレスじゃない」との哲学を持っていたSANADAが、殻を破りあえて相手を頭から突き刺す技(変形DDT)を開発して(昨年から考えていた技だそうです)、1回戦の初公開から猛威を振るい、トーナメント全5試合をこの技で勝利しNJCを制覇しての挑戦でした。NJCの決勝戦が行われた長岡大会の会場に観戦に訪れた人気バンド「Hi-STANDARD」「NAMBA69」難波章浩は、新潟の同郷で親交の深い間柄です。試合後バックステージで対面したSANADA「新技の名前をつけてもらえませんか?」と直訴します。突然の命名依頼に驚いた難波さんでしたが、快諾。実際に技のかけ方を教わりながら考案したのが「デッドフォール」でした。上から丸太などが落ちてきて、大きな野獣を捕らえる落とし罠で、かかったら最後、その獣は一巻の終わり、という意味を込めました。 

 この日は入場曲も変更。ブルーとシルバーのショートタイツという新コスチュームで登場し、場内を埋めた観客からは大きなどよめきが起こりました。「オカダさんを倒して景色を変える」と宣言していました。過去の対戦成績1勝8敗と圧倒されてきた同い年の絶対王者相手に、高角度のバックドロップ、場外での厳しい首への攻めを披露。オカダのDDT、打ち上げ式のドロップキック、場外でマットをはいだ床へのDDTの反撃を受けますが、トップロープからのドロップキック、場外へのプランチャーで追い込むと、耳に手を当て、観客に「SANADA」コールを求めます(WWEのハルク・ホーガンがやっていたポーズです)。TKOからのSkull Endで絞め上げたSANADA。コーナートップからのラウンディングボディプレスはひざを立てて迎撃され、マネークリップで首を攻められましたが、掟破りのレインメーカーを初披露し、ダブルKO状態に。TKOからラウンディングボディプレスを2連発、オコーナーブリッジ(私の好きな技です)も共にカウント2・5で返されましたが、最後は全日本時代の師匠で今年引退した武藤敬司譲りのシャイニングウィザードをたたき込むと、最後はオカダの必殺・レインメーカーをかわし、新必殺技の「デッドフォール」で3カウントを奪いました。

 リング上でマイクを持つと、「やっと、やっと、IWGPチャンピオンになりました」と叫んだSANADA。若手の肩を借りて引き上げていくオカダの背中に「あなたが同世代でいたから、ここまでになれました。ありがとうございました。また、やろう!」と呼びかけました。「苦しい時期も、一番好きなことで中途半端に終わってしまったら、何をやってもダメだろうと思ってて。やめようにもやめられなかったですね。諦めなければ、こういう日が来るんだなと思いました」と胸を張りました。

 バックステージでタイチらJ5Gの仲間たちに頭からビールをかけて祝われると、「このリングに来て7年なんですけど、ちょうど7年前の4月の両国で、しかもIWGP戦の乱入で、その時リングにいたのがオカダと内藤で。なんか対戦相手が、その時いた人に勝ったっていうのが、なんかストーリーあるなと思ってて。ここまで獲れなかったのも全部意味があったのかなと、今日獲るために今まで獲れなかったのかなと。まぁ一番の理由はこの「Just 5 Guys」のメンバーと組んで取れたっていうことが凄く嬉しいです。まず自分がチャンピオンになったことで景色が変わると思うんで。で、こうやってヒロムさんとかチャレンジャーで来るっていうこと自体がもう新しい景色で、こういうことが増えて、今までないものが今後実現していくんじゃないかと。それが新しい景色に繋がるなと思います」と語り、新日本プロレスの新境地を拓いていく覚悟を語りました。「ここまで獲れなかったのも意味があるのかなって。J5Gのメンバーと獲れたのが一番うれしいです」と続けると「ここで負けたら後がないと、ずっと思ってました。やっと、獲れてうれしいです。まだ、35(歳)なんで、まだまだ行けるんじゃないですか」とニヤリ。「景色を変える」と言い続けてきたことについては「自分がチャンピオンになったことで景色は変わると思う。今までにないものをこれから実現していく。それが新しい景色なんじゃないですかね」と返答。試合前も、「一番思っていることは『マンネリ打破』ですね。SANADAがベルトを巻くと一番景色が変わるのかなと。他の人が巻いても想定内かなと思っちゃうんですよね。このマンネリ打破がないと、人気が出ないと思うんですよ。そこに加われたらいいなと思ってます」と述べていました。10年以上にもわたり業界のトップに君臨する同い年のオカダからベルトを奪い、新たな風を吹き込んだSANADAでした。試合直前に「新しい景色、新しい景色」とテレビで流れる度に、この結果になることは予想されたことでした。

 師匠の武藤敬司引退の年に最高峰のベルトを初めて巻いたことについては「狙っていたわけでもないし、たまたまだと思います」とクールに答えると、群がる記者たちに「言いたいことは言ったんで、皆さん、帰ってもらっていいですか」とこれまたクールに言い放って引き上げていきました。

 今の姿を、2012年彼がまだ24歳の時に、肺がんで亡くなったお母さんに見せたかったと言います。危険きわまりない職業にずっと反対していたと言います。「今でも生きていたら、どう思ってくれているのかな。この姿を見ていたら、うれしくなってくれていたかもしれないですね。見てくれているのかな。近いうちにお墓参りに行ってこようと思います。」SANADA♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中