オススメ単語本&指導法

 「単語力をつけるのに何かいい参考書はありませんか?」と先生方から聞かれることが多いんですが、私が使ってみて自信を持ってお薦めできるものが二つほどあります。私が教えております勝田ケ丘志学館では、初年度から全員の生徒に持たせて一年間を通して演習を積んできました。一つは、竹岡広信先生の単語集『LEAP』(数研出版)です。『LEAP』という書名はLearn English Vocabulary, both Active and Passive”(英語の発信語彙と受信語彙の両方を学ぶ)の頭文字を並べたものですが、同時に四技能の英語世界へ「飛翔」してほしいという竹岡先生の熱い願いが込められています。(1)「発信語彙」と「受信語彙」を区別したのが大きな特徴です。さらには、各語に(2)CEFRレベルを掲載して語彙難易度を明示してあることも、従来の単語集にはなかった特徴です。「共通テスト」で使われる単語レベルは、CEFRのA1、A2、B1で基本単語が中心です。ただし竹岡先生の長年の指導の成果から、敢えて取り上げられている難語も幾つか見られます。(3)単語の正確なニュアンスに徹底的にこだわっています。これは、竹岡先生の深い学識を至る所に感じることができる単語集です。一例を挙げますと、relativeという単語を単に「親戚、親類」としている単語集は全部ボツにするという判断基準を私は持っています。『LEAP』では「(家族も含めて)親戚」としているのは素晴らしいと思います。(4)類義語の正確な記述も魅力です。(5)用法への的確な指示も忘れてはなりません。(6)訳語にかなりこだわって作られていることも見逃せません。(7)丸暗記によらない単語記憶のさまざまな工夫が盛り込まれている点(「語源」だけでなく「語呂合わせ」までも)を、私は高く評価します。生徒が単語を覚えやすくするために使えるものは何でも使おう、それでいて学識の香りが隅々まで感じられる「学問的単語集」だと感じています。この本には『活用ノート』なる補助教材(1,2,3)が3冊用意されていて、アウトプットの英作文練習までできるようになっています。私は勝田ケ丘志学館で初年度からこの『活用ノート』も採用して、英作文の指導に充ててきました。低学年用には『Basic』版も発刊されています(松江北高の一年生はここからスタート。この本は親本の『LEAP』の語彙を少なくして編集し直しただけのBasic版ではありません。全く新しい単語集です)。私は今ある単語集の中では、これが最高のものと確信しています。

  もう一つは清水建二通称シミケン先生の『英単語の語源図鑑』(かんき出版)です。可愛らしいイラストと共に、単語の成り立ちを分かりやすく教えてくれます。異例のベストセラー(シリーズ累計100万部突破)に なった本です。私たちに馴染み深いカタカナ語を使って楽しみながら、芋づる式に英単語が身につくアプローチの清水先生の手になる『英語の語源大全』という本も新しく出ています。ここでみなさんにご紹介しておきます。

 私は授業の冒頭5分間で、口頭で次のような単語演習をやっています。まず全員を起立させます。そして私が単語をどんどん出題していきます。正しい意味が日本語で言えたら次々と座っていきます。答えられない生徒はそのまま立ったままです。dignity―「威厳」、はい座って。efficient―「効率的な」、OK。chemistry―「化学」、はいOK。次artificial―「人工」、ダメ。ハイ次。opposite, negotiate, deserve, minority, investigate, generous, frighten, worship, virtue, ultimate, significant, reluctant……と、こんなふうに全員が座ることができるまで続けます。5分もあれば二周以上こなし全員が座れますし、時々珍答が出たりして大受けします。最後の総まとめの段階ではこれの逆バージョン。日本語を出題して英単語を言ってもらいます。テンポ良くやると、結構盛り上がっていい演習になりますよ。

 単語 を定着させるために現場でよくやるのが、紙の単語テストですね。短い数頁を範囲に指定して、10個程度単語テストで確認、そして相互採点をして行くというやり方です。私も現役時代にはこれをずっとやっていましたが、最後の方は、紙を止めて全て口頭で、しかも範囲を多くして(100語~200語程度)、何度も何度も繰り返す手法をとっていました。始めのうちは「鬼だ、悪魔だ」と言われていましたが、これのほうが圧倒的に力がつきました。先日、岡山県の笠岡高校で講演をさせていただいた際に、前夜、英語科の先生方の会食に招かれました。そこで若い先生方から出た質問が、「口頭による単語テストについてもっと教えて欲しい」というものでした。口頭が紙の小テストに勝るメリットとしてはこんなものが挙げられます。

①音声を確認することができます。「読めない単語は覚えられない」(例:name, psychology, dangerous)のですから、何よりも発音できるということが大切です。口頭でやることでこれを確認しながら進むことができます。

②単語数を稼げます。紙の小テストでは聞くのはせいぜい10個か20個ですね。口頭でやることで、何度も反復練習を重ねることができます。5分もあれば100個以上確認することができます。

③カバーする語数の割に時間もかかりません。私は毎時間テンポよく5分程度でやっています。

④時々盛り上がります。正しく答えられないと座ることができませんから、緊張感が張り詰めます。しかしその中にも、珍解答が出たりして笑いも起こります。私は単語に限らず、授業の中で「笑い」を大切にしているんです。

 ぜひ単語テストを口頭でやってみてください。♥♥♥

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