commitが覚えられない!

▲私が手に持っているものに注目して下さい

 さて、昨日の続きです。岡山県立笠岡高等学校の講演で、私は「単語の暗記」に関して、丸暗記ではなく、「語根」を利用することで、忘れにくくなるし、応用力もつくことを解説しました。例として、capital①首都、②資本金、③大文字、④重要な、⑤死刑のといった多くの意味がある多義語」です。このことは、語根のcap-「頭」を考慮に入れておくとよくわかります。頭に立つ都市で「首都」、会社にとって最初に必要なお金で「資本」、頭にくるような「重要な」、文章の頭にくる文字で「大文字」、頭をはねられるような刑(ギロチン)で「死刑の」というように、語義の流れを理解することが可能になりますね。さらには、cap-で始まる単語にはいろいろありますcap(帽子) captain(主将)cape(岬) capture(捕獲する)など、すべて「頭」に関係する単語ですね。 さらにはcapable(能力がある)  cattle(牛) cabbage(キャベツ)captive(捕虜)escape(逃げる) chapter(章)などへと発展しそうです。私たちの『ライトハウス英和辞典』に載っている「語義の展開」図をご覧ください。これは島根県・津和野町出身の中尾啓介先生(電通大学名誉教授)の手になる労作で、高校現場の語彙指導にはずいぶん役に立つはずです。語彙の応用力にもつながるのが、このような学習法なんです。こういった話をさせてもらいました。すると講演終了後、司会の先生が質問を募ったところ、一番前に座っていた理系の男子生徒がこんな質問をしてくれました。

 「自分はcommitという動詞がなかなか覚えられなくて困っている。たくさんの意味があってそれが暗記できないのが悩みです。どのように理解したらよいのですか?」という、いい質問でした。確かにcommitは難しい動詞でいろいろな意味がありますね。

①犯す commit a crime/suicide(犯罪を犯す/自殺する)
②委ねる commit a child to him(子どもを彼に託す)
③収容する commit him to prison(彼を刑務所に送る)
④覚える commit a poem to memory(詩を記憶する)
⑤決意する、誓う commit myself to helping him(彼を助けようと決意する)

 丸暗記ではすぐに忘れそうですね。私は、commitは、com(一緒に、しっかりと)mit(送る)に分解することができるから、そこからこれらの意味を導き出すことができるんだよ、と回答しました。具体的には、こう考えれば、犯罪という行為の中に自分をしっかりと送り込む→犯罪を犯す()、子どもをしっかりと彼に対して送り込む→子どもを彼に託す()、彼を牢獄に送り込む()、詩を記憶に送り込む→詩を覚える()、自分自身を彼を助けることに送り込む→彼を助けようと決意する()、といった具合に、「一緒に送り込む」のイメージで全部がつながってきます。さらにはここから発展したcommittee(委員会)という単語は、(法案などを審議するために)一緒に送り込まれたグループのことをいうのです。「(法案を)委(託された人)員(による)会(合)」ということです。commissionも同様の意味です。多義語」はこのように必ずどこかでつながっているのです。ここが重要なポイントです。

 もう一つ具体例を挙げておきましょう。claimという動詞もいろいろな意味を持った多義語」です。①~だと主張する、②自分のものだと権利を主張する、③~を手に入れる、④(命など)を奪う、などの意味が辞典には出ています。これはclaimの元々の意味「大声で叫ぶ」を知れば、それぞれの意味が理解できます。「大声で叫ぶ」→「主張する」→「権利を主張する」→「自分のものにする」→「手に入れる、勝ち取る」→「(特に命を)奪う」という意味が出てきたのです。「大声で叫ぶ」という語源を知ることで、幅広いそれぞれの意味を頭の中で整理することができます。

 多義語を理解する際に重要な点は、デタラメにこれらの意味が出てくるのではなく、必ずどこかでつながっていることを意識するということなんですよ。♥♥♥

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