スキマ時間の使い方

 故・竹内 均(たけうち ひとし)先生(東京大学名誉教授)から教えてもらったことの一つに、「15分活用法」というのがあります。チョットした「スキマ時間」を上手に使うことで、結構なことができる、ということを竹内先生は自らの行動で実践しておられました。東京大学の地球物理学の教授、雑誌『ニュートン』の編集長、代々木ゼミナールの校長、休日は全国を講演に飛び歩かれる中で、TVやCM(メガネの三城)にも出演、さらにはあれだけの膨大な論文・著作(500冊以上)を残されるには、皆に平等に与えられた24時間を上手に使うしかないのでしょう。竹内先生は夜8時に寝て、朝4時に起き勉強する、というスタイルを終生変えることがありませんでした。そして、それを支え続けたのは竹内先生の奥様でした。研究に講演会にTV出演にと多忙な先生のために、毎朝4時に起床し朝御飯を作り続けたそうです。さすがに、先生も夫人には頭が上がらなかったようです。

 辞典の仕事というのは、根気の要る時間のかかる作業ですが、私はスキマ時間を使って、英字新聞をカードに貼り付けたり、読書、教材の活字化、メール、などを手際よくこなしています。「先生、忙しいのに、よくこれだけ毎日のようにブログの更新ができますね」と言って頂く先生が結構おられるんですが、実は、チョット暇のある時間を利用しては、パソコンに向かいメモ感覚で打っておくんです。今確認したら1,515本の下書き原稿が登録してありました。約4年分(!)の記事が出来上がっていることになります。それにタイムリーな話題を時々はさんでいるだけなんです。私が「リスニングのコツ」でよく話す、「先へ、先へ 前へ、前へ」の精神です。私は朝は6時半に北高に登校して、始業時の8時過ぎまでの2時間あまりを、今日の授業の準備やら、添削の用意、指導資料の作成、質問にやってくる生徒の対応、などに充てています。どうせ家にいても大したことはできないので、それなら少しでも朝の時間を有効に使おうと、このようなことをもう長年続けています。先人の言う「チリも積もれば山となる」チョットしたことでも、長年続ければ大きな成果が得られるものです。かつて英語科の若い先生の中にも、私よりも早く来る新規採用の女先生が現れ始めました。とても頼もしく感じていました。彼女は私よりも早く登校して研究室でコーヒーを入れて私を待ってくれていました。私も持てる知恵を惜しみなく彼女に提供します。そんな生活が2年間続きました。そして私は定年退職を迎えます。以降の仕事は一切お断りして、悠々自適の生活を3ヶ月ほど送りましたが、彼女が6月からアメリカの大学院で学びたいというので、彼女のお留守番を引き受けたのが、私が北高に復帰した理由です。他の人なら絶対に引き受けることはありませんでした。なにせ2年間のコーヒーの恩がありますからね〔笑〕。

 私は週に3日米子東高校に通っていますが、バス・電車の中のスキマ時間も貴重な時間です。新聞を四紙読んで気になる記事はビリビリに破いておき、家に帰ってからスクラップします。トランプは常にカバンの中に入れてあって、腕がなまらないように、カウントの練習やファンの訓練、パケット・トリックの手順確認を欠かしません。電車に乗る前は、少し早めに行って、松江駅の「ドト-ル」「スターバックス」で、コーヒーを飲みながら、ブログ記事の原稿や模試の「見直しプリント」の校正を行っています。

▲喫茶「ドトール」でブログ記事の校正を

▲模試の度に配布する「見直しプリント」の校正もここで

竹内先生の本はどれも勉強になりますが、1冊だけと言われれば、『勉強術・仕事術 私の方法』(知的生き方文庫)をお薦めしておきます。「頭をよくする特効薬」「忙しい人の時間の有効な使い方」「頭を鍛える本の読み方」「頭の疲れをとる3つの方法」など、具体例をふんだんに使いながら、アドバイスが分かりやすく書いてありますよ。竹内先生には、若い頃本当に多くのことを教えてもらいました。感謝です。

 よく「時間が無い…」「忙しくてできない…」「時間が足りない…」と、言い訳にグチばかりこぼす人がいます。上の竹内先生の生き方「15分活用法」を参考にされるといいと思います。時間はひねり出すのです。「ミスター講道館」と言われた日本柔道の創始者・オリンピック競技の功労者でもあった嘉納治五郎先生は、学生に対して常にこんなたとえ話をしていたそうです。時間は工夫して作るもの、という教えです。♥♥♥

 よく時間がない、時間が足りぬとかこつける人があるが、時間というものは、たとえば泉の水のように、いくらでも出て来るものである。たとえばここに一升枡があるとして、その中に粟を一升入れたら、もう何も入らないかといえば、決してそうでなく、その粟の間に豆粒を入れれば、まだ大分入るわけだ。もうそれで入らないかといえば、その間に粟粒を入れたらまだ相当入る。それに水を入れたらまだまだ入るだろう。そのように時間の活用には、上には上があるもので、それをもっとも有効に利用したものに、もっとも立派な仕事ができるものだ。

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