「おりづるタワー」で次世代サミット

 5月19日に開幕した先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)では、各国首脳の配偶者も〝外交〟に一役買いました。岸田文雄首相裕子夫人が案内役を務める「パートナーズ・プログラム」。19日は首脳とともに平和記念公園の慰霊碑に献花。その後はシンポジウムに参加し、地元の学生100名以上と交流しました。その舞台となったのは、原爆ドームにほど近い「おりづるタワー」(広島市中区)です。平成28年にオープンしたこの新たな観光名所には、地元企業の平和への願いが込められています。私は先週G7サミットの直前に、生徒達にこの場所を紹介し、ぜひこの場所を訪れてもらいたいと話していただけに、夢が実現しました。私は広島を訪れる度に、原爆ドームに手を合わせ、お隣にあるこの建物に登って、広島の街を見渡しています。

 5月19日、岸田裕子内閣総理大臣夫人は、G7首脳配偶者と共に、「おりづるタワー」で開催された次世代シンポジウム第2部に参加しました。この行事には、ジル・バイデン米国大統領夫人、ブリッタ・エルンスト・ドイツ連邦首相夫人、アクシャタ・マーティ英国首相夫人及びハイコ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長夫君が参加しました。シンポジウムでは、裕子夫人が挨拶を行い、G7首脳やその配偶者のみならず、皆が等しく平和を目指す大事なプレイヤーであり、広島の若い世代から世界中に平和の祈りの輪が広がっていくことを願うとともに、参加者自身と平和との関わり方に新たな気づきを得て、平和に向けた歩みを更に進めていただききたい旨を述べました。続いて、G7首脳の配偶者は、登壇者やシンポジウムに参加した広島の若者と平和構築について対話を行っています。G7首脳配偶者から平和の意味について問われた参加者からは、多くの手が挙がり、「互いの幸せを願うこと」「自分らしく生きていけること」等、自らの言葉で次々と意見を述べ、活気あふれる交流の場となりました。シンポジウムでは、ユニセフボランティアとして“Lasting Peace”プロジェクトを展開している歌手のAIさんがサプライズで登場して、G7首脳の配偶者を含む参加者と共に「Lean on Me」をアカペラで歌唱し、会場は温かい一体感に包まれました。なお、裕子夫人は、この行事に参加するに当たって、次世代と創るサステイナブルな未来へのメッセージを込めて、ペットボトル由来の100%再生素材の糸を使って編み上げた、CO2排出量が少なく、環境にやさしい日本のサステイナブル・ファッションを着用しました。

▲おりづるタワー最上階から原爆ドームを見下ろす

▲原爆の子の像

 「平和というのは、隣と隣の間に壁を立てないことだ」19日夕に開かれた「次世代シンポジウム」で、裕子夫人ら配偶者5人にそう語りかけたのは、被爆して12歳で亡くなり、平和記念公園内の「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子(ささきさだこ)さんの兄、雅弘さんでした。禎子さんは白血病を発症し、回復を願って病床で折り鶴を折り続けたことで知られます。いつしか、広島には世界中から折り鶴が寄せられるようになり、平和を願う広島のシンボルとなりました。「おりづるタワー」の名称も、そんな背景に由来しています。

▲おりづるタワー最上階の展望台

 タワーを運営するのは、自動車販売などを行う広島マツダです。元々は、昭和53年に建てられたオフィスビルでしたが、原爆の爪痕を象徴する原爆ドームと復興した広島の街並みを同時に見渡せる立地を生かそうとマツダが買い取り、展望台などを備えた施設としてリニューアルしました。昭和8年にタワー近くで創業した同社も、原爆で社屋が倒壊し、社員全員が死亡したという歴史があります。シンポジウムで登壇した同社の松田哲也会長は、「広島の街の景色や、廃虚から立ち上がった人たちの強さを示したい」と、タワーに込めた思いを語りました。これまでに約67万人が来場しており、「広島の地だからこそ伝えられる悲惨さ、感じられる平和がある」と言います。

 首脳の配偶者5人は、広島で生産されたビーズ540個で作られた折り鶴のブローチ(1個6時間かけて手作りされた)を身につけてシンポジウムに参加しました。「おりづるタワー」で、平和について地元の若者100名以上と意見を交わしました。広島県出身の裕子夫人は、ブローチの材料となったビーズはアングロサクソン語で「祈り」の意味がある言葉が語源だと紹介し、「一つ一つは小さな祈りだが、集まると世界を動かす力になる」と平和への思いを語りました(5月22日・広島ホームテレビ「ピタニュー」による)。裕子夫人はまだ独身時代、マツダの秘書室に勤務しておられました。通訳養成学校において、当時の彼女が抜群に英語ができたことを、先生であった田邉祐司先生(専修大学教授)が思い出を記しておられます。⇒「田邉祐司ブログ 常時英心言葉の森から2.0」コチラです

 G7首脳の配偶者は、おもてなしや、平和・友情・希望といった意味が込められた装花で彩られたテーブルを囲みながら、地元広島の旬の食材に加え味噌など用い「発酵」をテーマにしたフランス料理を楽しみつつ、事前に参加した次世代シンポジウムの感想を述べ合うなど、交流を深めました。♥♥♥

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