利他の心

 研究会では、私が作りました英語指導資料は惜しみなく先生方に提供させていただいております。先生方からは、国宝級の資料」「お土産の資料は本当にすばらしく無料で本当にいいのか」などと賞賛していただいております。私は、勤務先の学校でも、作りました資料は同じ学年の英語科の先生方だけでなく、他学年の先生方にもお配りして参考にしていただいております。その根底にあるのは「利他の心」です。尊敬する稲盛和夫(いなもりかずお)さんは、「今日まで86年間歩んでこられて人生で一番大切なものは何だと感じておられますか?」という質問に対して、一つには、どんな環境にあろうとも真面目に一生懸命生きること」「もう一つは、利他の心、皆を幸せにしてあげたいということを強く自分に意識して、それを心の中に描いて生きていくことです」と述べておられます(月刊『致知』5月号、2018年)。

▲これとても勉強になる雑誌です。オススメです。

 私たちの心の中には、「自分だけがよければいい」と考える自己中心的な「利己の心」と、「自分を犠牲にしてでも他の人を助けよう」とする「利他の心」があります。「利己の心」の塊になると、自分のことしか考えませんから、誰の協力も得られず、自己中心的な狭い視野に陥り間違った判断をしてしまいます。一方、「利他の心」で判断すると、自分を犠牲にしてでも「人によかれ」という気持ちですから、周りの人みんなが協力してくれます。視野も当然広くなりますから正しい判断が出来るのです。より良い仕事をしようと思ったら、周りの人のことを考え、思いやりに満ちた「利他の心」に立って物事をやるべきです。しかし現実には、「自分さえ良ければそれでいい」「楽して儲けよう」「金がすべてだ」「どうして自分がこんなことをしなければいけないか、面倒くさい」「なんで自分ばかりが?」という人たちが、ちまたにうごめいています。

 あのお釈迦様は前世で、今にも飢えて死にそうな虎の親子に自分の身を投じて食べさせたというお話があります。駅のホームから線路に転落した人を救おうとして自分の命を犠牲にした人もいました。川に流された見知らぬ子どもを助けようとして自分が溺れて亡くなった人もいます。さすがに、そこまでは私にはできませんが、自分に出来る範囲内で、他の人に喜んでもらおう、助けよう、と思って行動してきました。阪神淡路大震災や東日本大震災の災害時に見られた、多くの方々のボランティア活動や多額の寄付などは、日本人にはまだまだ「利他の心」が消えていないことを証明していますね。

 私がいろいろなところでお話しするお気に入りの一つに、「たらいの法則」があります。これはあの二宮尊徳(金次郎)の考え方からいただいたものです。彼は五歳の時に、酒匂川が氾濫して所有の田畑を流されたにもかかわらず、貧困のどん底から一家を再興しました。彼が一生をささげた農村の復興事業で、彼が一番苦労したのは、荒れ地の開墾などではなく、すさんだ人々の心を耕すことでした。農民の中には、反発する者や、自己中心的な者がいて、なかなか一つにまとめることが難しかったのでした。ある日、金次郎は、丸い風呂に入りながら村人を諭します。

 「自分の利益ばかり考えている者は、風呂のお湯を、しきりと手前へかき寄せているのと同じだ。一時は自分の方へお湯が寄ってくるが、すぐに脇をすり抜けて向こう側へ流れていってしまう。結局、自分も恵まれることがない。これと反対に、常に相手のためを思い、自分の持っているものを与えようとする人は、お湯を向こう側へ押しやるのと同じだ。そのお湯は向こうへ行くように見えるが、実際には、ぐるっと回って自分の方へ返ってくる。相手も喜び、自分も恵まれることになるのだ。」

 金次郎が終始一貫して村人に訴え続けたのは、利他の心」でした。「自分さえよければ人はどうでもよい」という自己中心的な心(我利我利の生き方)を捨てて、自分だけでなく相手のことも思いやり一致協力した(自利利他の生き方)から、およそ不可能と思えた600余の農村の復興を成し遂げることができたのでした。

 おまえ、ここに水が入った盥(たらい)があるだろう。両手でその水を自分の方へ左右から送ってごらん。水は初め、自分のところに集まるけれど、すぐに自分の手元から離れていく。反対に、水を左右に送ってみなさい。水はおのずと自分の方へ集まってくるだろう。自分の幸せばかり考えているとな、その人の幸せはどこかへ行ってしまうのだよ。だから人が喜ぶようなことを、無理せず、少しずつ積み重ねていくことがとても大切なんだな。これを「損して得取れ」と言います。

 たらいに大きな水を張る。手前から人差し指一本で水を向こうに押しやる。水の波紋は途中で消えてしまう。それでも、ただひたすら押し続ける。やがて、波紋は大きくなり反対側の壁にぶつかって自分に返ってくる。与えて、与えて、それでも与え続けること。それはすべて自分のためになる…。そんな生き方をしなさい。

 こんなところから私の人生哲学である“Give  and give”は生まれました。人を喜ばせておくと、いつかは自分に返ってくるんです。もちろん裏切られることもたくさんあるんですが、それはまたそれでいい勉強と思って。見返りを期待するのではなく、「人を喜ばせる」ことを目的にしていると、いろんなところで思いもかけずに助けてもらうことも多いみたいですよ。各所の研究会で私が苦労して作った資料を、惜しげもなく差し上げると、先生方はとっても喜んでくださいます。そんな先生方に今度は私が助けていただく、という経験を何度もしてきました。まさに「情けは人のためならず」です。やはり「たらいの法則」は真実でした。二宮翁夜話』の中で、尊徳はこんなことを言っていました。

 人間の体の組み立てを見てみなさい。人の手はわが方に向いてわが為に便利にできているが、向こうに向けて押してやることもできるようになっている。鳥獣の手はこれに反して自分の方へ掻くことしかできないようにできている。だから、人たる者は他のために押し譲るという道があるのだ。それを自分のために取ることばかりに努力して、他のために譲ることを忘れてしまった者は、人にして人にあらず、禽獣と同じである。恥ずかしいことではないか。ただ恥ずかしいだけではなくて、天理に反することであるから、ついには滅亡するだろう。

 私は、稲盛和夫さんや二宮尊徳の生き方に学ぼうと思っています。❤❤❤

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