私の大好きな巨人軍は敵地・甲子園球場で3連敗(9ゲーム差)。いろいろなことを感じさせてもらった3試合でした。この3連戦は、阪神は先発全員に白星がつき、七回に全部勝ち越しています。今日はそれについて書きます。まずは敵将・岡田監督の言葉が全てを物語っています。
まあ勢いだけじゃ勝たれへんで(笑)。きっちりと自分らの野球ができてるいうことちゃう?先発が頑張って、バントとか決めたり。普通のセオリー通りに、そんな奇襲なんかしてないわけだから。当たり前のことを当たり前にできてるっていうことやろな。
先発は疲れてくる。ブルペン陣も勝ちパターンでそんないいピッチャーはあの七回にはいけないとか、いろいろ。だから七回ってそういうふうに何か起きるんじゃないかな。(岡田談)
印象的だったのは、第2戦。大竹とグリフィンの行き詰まるような投手戦。七回裏阪神に先制打が飛び出した直後、大竹は一塁ベンチ最前列で力強いガッツポーズを見せてほえると、後方のベンチに腰掛けると一目もはばからず大号泣です。タオルで懸命に涙を拭っています。「感動しました。一人はみんなのために、みんなは一人のためというか…。チームプレーを感じたので思わず泣きました。」とヒーローインタビューで大竹投手。ベンチで泣いている野球選手なんて初めて見ました。これで負けなしの6連勝です。ソフトバンクでは使ってもらえず、現役ドラフトで阪神に移ってきた苦労人です。残念だったのは、あれだけいいピッチングをしていたグリフィン投手を1点取られたらすぐに交代させてしまった原監督。あそこはグリフィンを信じて最後まで投げさせてやらなければいけません。なのに途中交代させて大江が打たれて3点目を献上しました(この3試合は、全部送ったリリーフが打ち込まれて敗戦)。9回にブリンソンの2ランホームランが出たのは皮肉でした。岡田監督は、ピッチャーもバッターも辛抱強く信じて最後まで使い続けました。選手が意気に感じない訳がありません。「阪神のピッチャーを打てなかった」と原監督は嘆きますが、巨人の先発ピッチャーも頑張っていました。ボール球をくるくる振っていた巨人に対して、阪神はちゃんと見極めて4ボールを選んでいます。それが全部得点に絡んできました。送りバントができない巨人に対して、阪神はきちんと送るところでは送っていました。肝心な所でエラーが出たのも巨人です。ミスをした方が負けるのが野球。「当たり前のことを当たり前にできてる」という、岡田監督の言葉が響きます(英語の世界でも、私は「当たり前のことをバカになってちゃんとやる(ABC)」ことで結果がついてくると強調しています)。
呆れ果てたコメントもありました。初戦1点リードで迎えた七回裏、巨人の鈴木康(オリックスからトレード)が連続ヒットをくらってKOされて逆転された試合後、「甲子園に飲み込まれた」とコメントを出しました。違うだろう!こんなプロの談話を初めて聞きました。力がないから打ち込まれるのであって、オカシナ言い訳です。
秋広優人や松井 颯(まついはやて)などは新人にもかかわらず、「飲み込まれる」ことなく堂々と渡り合っていました。秋広は己の打力で3番のクリーンアップを勝ち取りました。4月18日に一軍昇格し、29試合で打率3割4分7厘、4本塁打、16打点、6試合連続安打中です。松井は前回の登板で初登板・初勝利を挙げましたが、育成ドラフト選手です。支度金わずか290万円、年俸400万円(推定)の選手です。よくもまあこんないいピッチャーが「育成枠」で残っていたものです。他球団は何を見ていたんでしょう?明星大学の4年間で球速が13キロアップして、最速154キロになったといいます。同期生に150キロの
谷井一郎(22歳)さんがいました。ブルペンではその剛速球の隣で投げるたびに、力の差を痛感して、軸足の使い方や体重移動の感覚などを聞いて吸収したそうです。昨年10月20日のドラフト会議で、松井は育成指名されましたが、一方、谷井は名前を呼ばれず指名漏れしました。彼は松井に「早く1軍で活躍できるように頑張れよ!」と気丈に背中を押してくれましたが、部屋に一人戻って涙を流しました。約3週間後、谷井は引退を決断します。女手一つで育ててくれたお母さんを支えるためにも、ユニフォームを脱ぎ、スーツを着ることを選んだといいます。「自分の分もプロで頑張って」と夢を託されたのが松井でした。親友でもあり、ライバルの思いを胸に腕を振り続けています。今回も5回1失点で先発の仕事を見事にこなしました。
今の巨人と阪神を比べると、ピッチャーの守りが大きく異なります。今日からの交流戦、もう一度一から立て直しです。今日は平内が先発。オープナーでしのぐつもりのようです。頼りになるのは戸郷だけという感じです。早く菅野が戻ってこないかな。♥♥♥
【先発】 【リリーフ】 【7回以降の失点】 【チーム防御率】 巨人 3.56 4.79 84点 4.01 阪神 2.91 2.06 47点 2.64