退職して

 島根県立松江北高等学校で18年間教えてきましたが、2月に最後の授業を終えました。たくさんの素晴らしい教え子・卒業生たちに囲まれて、充実した日々を過ごすことができたように感じます。平成25年3月に、北高10年間で38年間の教職生活に別れを告げて退職しました。オファーされた一切のお仕事は全てお断りして、のんびりと過ごす道を選択しました。その時教えていた2年生の女子生徒Wさんから手紙をもらいました。

 先生に英語を教えていただけるのも、あとわずかとなってしまいました。本当は、もっともっと先生にいろいろなことを教えていただきたかったし、先生の面白いお話をたくさん聞きたかったです。あと1年、あと1年だけでもいいので先生に残っていただきたいと、同じRの子たちも言っています。本当に残念です…。しかし、先生にもいろんなお考えがありますし、外から見ているとおっしゃっていたので、あと1年頑張ろうと思います。今回は、日頃の感謝を込めて、バレンタインのチョコを贈らせていただきます。高校生ということもあり、あまり上等なものは買えなかったのですが、甘い物は疲れに良いといいますので、少しでも先生の疲れが癒えれば幸いです。

 退職した当時は、4月、5月と、のんびりと何もせずに毎日ブラブラしたり、美味しいと評判のお店を訪れたり、好きな旅行に出かけたり、溜まっていた本を読んだりと、天国のような日々を悠々自適に過ごしていました。毎月病院で受けている検査結果が突然劇的に良くなったのは、こうしたメンタル面の影響が大きかったと想像しています。それも束の間、6月からは、再び松江北高常勤講師として復帰しました(朝の6時半に登校する私に、二年間毎日美味しいコーヒーを入れて待っていてくれた佐藤敦子先生のミシシッピ大学・大学院留学のための代替講師でした)。授業、補習、副担任業務、部活動、校務分掌にと、二年間ほど忙しい日々に明け暮れました。その佐藤先生もお帰りになり、平成27年の6月からは、非常勤講師として、週に5時間~6時間だけの授業を担当していました。授業は午前中に終わることが多かったもので、美味しいお昼ご飯を食べに出てから、家に帰ってお昼寝をすることができます(尊敬する故・渡部昇一先生は生前お昼寝をよくなさっておられました)。土曜・日曜は必ず休めるし、たまにこれに行事等が加わると、大型連休になったりもします。今まで行けなかった全国各地に旅することができて嬉しかったものです(宮崎・熊本・大分・別府・湯布院・長崎・佐世保・福岡・小倉・門司港・今治・松山・広島・岡山・倉敷・鳥取・城崎・豊岡・姫路・神戸・大阪・京都・金沢・和倉温泉・名古屋・熱海・湯河原・東京・札幌・小樽等々)。その後、北高に加え、米子東高校にできた浪人生のための勝田ケ丘志学館で教えるようにもなり、月~金の毎日朝から晩まで仕事に明け暮れました(電車通勤です)。辞書の改訂作業と指導教材作りに講演と、やはり私は忙しく飛び回っている方が性に合っているのかもしれません。忙しく勤務に明け暮れている時には、授業が恋しいなどとは思う暇もなかったのですが、無くなってみるとやはり寂しいものですね。

 8年間、松江北高現役補習科の担当をしていました。年を追う毎に私の大好きだった北高の姿からどんどん遠ざかるのをこの目で見ながら、淋しい思いをしていました。この2月で身を引くことにしたのは、この淋しさゆえです。長年全力で英語を教えることに没頭して走り続けてきました。現在の私の心境と言えば、「クリスマスの約束」で、小田和正・さだまさしのお二人が共作した名曲「たとえば」の歌詞のような気持ちです。♥♥♥

      「たとえば」
                 小田和正・さだまさし共作

話したいことが  幾つもある  あの頃の僕に会えたら
たとえば  迷いながら選んだ道の  辿り着く場所について
伝えたいことは  他にもある  あの頃の僕に会えたら
たとえば  信じていたことの正しさと  その過ちについて
それから不安を胸に映し  怯えたあの夜の闇も
たとえば  ありもしない夢に紛れて逃げたことも

あの頃の僕に告げたいのは
ひたすら  そこから  ひたすら  歩き続けること
あの頃の歩幅でいいから
ひたすら  ただ  ひたすら  生きてゆくこと

尋ねたいことが幾つもある  未来の僕に会えたら
たとえば  傷ついたり愛された  この命の重さや
尋ねたいことは他にもある  精一杯生きたかどうか
たとえば  奇跡的にめぐり会えた  愛しい人のことを

ここからの僕に言えることも
ひたすら  このまま  ひたすら  歩き続けること
今のままの歩幅でいいから
ひたすら  ただ  ひたすら  生きてゆくこと

ひとつだけ言えることは  全ては今日のために
たいせつなことはひとつだけ  全ては今日のために

話したいことが幾つもある  あの頃の僕に会えたら
話したいことが幾つもある  未来の僕に会えたら
カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す