in any caseという熟語は、「とにかく」と訳語だけ覚えている人がほとんどだと思います。高校生用の熟語集を見ても「とにかく」の訳語一辺倒です。しかしこれでは正確な理解はできません。ネイティブ・スピーカーにとっては、この熟語はネガティブな意味を含むことがあり、相手が話した後に返答として、in any caseを使って切り返すと、「それはどうでもいい」というふうに思われ、相手を怒らせたり、不快感を与えてしまうことがあるので注意が必要なのです(デイビッド・セイン先生による指摘)。強い遮断のニュアンスが含まれるのです。あるアメリカの辞典は、この句の意味を“used to indicate that something is true or certain regardless of what else has happened or ever said”(他の何かが起ころうと、他の何か言われたことにもかかわらず、何かが正しく確実だということを示すために用いられる)とはっきりと書いています。この成句自体が不快感を含む表現というわけではなく、使い方や文脈によっては、冷たく突き放した感じに受け取られることがあるのは事実です。相手の言い分を「取るに足らないこと」として脇に置く、議論を強制終了させて自分の主張を通す、という響きになります。「今あなたが言った細かい事情や理由はさておき、結論はこうだ」という響きになるのです。「はいはい、もういいから次に行こう」というニュアンスが出ることもあるのです。
A: I think the delay was caused by the weather.
B: In any case, we need to finish this today.
上の場合のin any caseは、「理由はどうでもいいから、とにかく今日終わらせるよ」という印象を与え、相手の意見を軽視しているように感じられることがあります。
以下の用例を見てください。このフレーズを正しく使うのはかなり難しいので、代わりにwell(「うーん」「そうだな」「とにかく」)/Anyway(より自然で柔かい)/That said(相手の意見を尊重して続ける)/Regardless/Even so(丁寧で角が立ちにくい)などを使うといいでしょう。
I have two meetings and a big deadline. In any case, I can’t do this today.(会議が2件と大事な締め切りがあるんだ。どうだっていいけど、今日は忙しいんだよ)
The party hasn’t decided on their candidates yet, but in any case they’re sure to lose.(同党はまだ候補者を決めていないが、どっちにしても、負けるに決まっている)[ライトハウス英和 第7版]
I don’t want to go and in any case, I haven’t been invited.(私は行きたくない。どのみち招待されていないんだから)[CALD]
Nobody saw her on the train. In any case, she probably didn’t have enough money for a ticket. (汽車で彼女を見た者は誰もいなかった。どっちにしても切符を買うお金は多分持ってなかったんだから)[MED]
Alf said that there was nothing he cold do, and in any case, it was a private matter.(アルフは自分にできることは何もないと言った。どっちにしたってそれは個人的なことだから)[CCALD]
There is no point complaining now――we’re leaving tomorrow in any case.(今文句を言っても始まらない。だってどっちみち我々は明日帰るんだから)[CCALD]
The concert was sold out, and in any case, most of the people gathered in the square cold not afford the price of a ticket.(コンサートは完売だった。どっちみち広場に集まったほとんどの人々はチケットを買う余裕なんかなかったのだ)[CAAED]
I’m not sure if I’d be at the next meeting, but I’ll see you Sunday in any case. [=I may or may not see you at the next meeting, but I’ll definitely see you Sunday.] (次の会合に出るかどうか定かではないが、どっちみち日曜には会うんだから)[NWALED]
In any case, you still owe me five dollars.(なんだかんだ言っても、まだ5ドル貸しがある)[NWALED]
日本語の「とにかく」「いずれにせよ」と同様に、in any caseも文脈によっては相手の発言を軽視しているように感じられることがあります。相手の話や事情を一度斬り捨てて、自分の結論を押し付けるようなニュアンスが出やすく、冷淡で突き放している印象があります。
・会話の途中で相手の発言を遮るように使う
・クレーム対応や感情的な場面
・命令・否定とセットで使う
日本語の「いずれにせよ」も、いろいろある条件の中から選べなかったのは自分の意思とは関係ない、という投げやりな態度も思い浮かべられます。むしろ仕方がない、といった消極的な意味合いが含まれることが多い表現です。否定的なニュアンスが含まれるので、楽しく弾んだ会話にはそぐわない表現です。例えば:
相手:I really think we should wait for John before making a decision.
(意思決定の前にジョンを待つべきだと思う。)
あなた:In any case, I’m going to decide now.
(いずれにせよ、私は今決めるつもりだ。)
このように使うと、「あなたの意見は関係ない」「もう決めた」と受け取られる可能性があります。この場合は、冷たく、あるいは強引に感じられることがあります。例えば、部下が遅刻の理由を必死で説明しているシーンを想像してみてください。
部下:「電車が事故でとまってしまって、振り替え輸送も混乱していて…」
上司:“In any case, you are late. Don’t let it happen again.”(とにかく君は遅刻したんだ。二度と繰り返すんじゃない) ※上司は部下の説明を一切考慮せず、「理由なんてどうでもいい。遅刻したという事実だけが重要だ」と斬り捨てています。非常に冷たく高圧的な印象を与えます。
In any case, you need to submit the report by Friday. (言い方次第では)「事情はどうあれ、金曜日までに出しなさい」→相手の説明を軽視しているように感じられる可能性
In any case, that’s not important now. (とにかく、今はそれは重要じゃない)→このような文脈だと少しイラついているように聞こえることがある
in any case自体はネガティブな言葉ではありませんが、相手が一生懸命話している最中や直後に、前の話を切り捨てて強引に話を進めるような使い方をすると、冷たく、そっけなく聞こえたり、不快に思われたり、苛立ちを含むように感じられることがあります。丁寧に使いたい場合は、相手の意見を軽く受け入れるクッション表現を挟むと◎です。「英語=日本語」の一対一対応の訳語だけ覚えるのではなく、その意味の範囲や使い方まできちんと押さえておく必要があるでしょう。In any case, …と、自分が何か言おうとして文頭に使うのであれば、問題はないでしょう。丁寧に使って、話をまとめたり、前向きに続ける時には自然で失礼ではありません。文章語・フォーマルな説明や論点を整理する目的や感情を伴わない事実のまとめを述べる際にはネガティブな含みは感じられません。♥♥♥
In any case, thank you for your help.(いずれにしても、手伝ってくれてありがとう)
In any case, let’s keep in touch.(とにかく、連絡を取り合おう)
I’m not sure if it was his fault or mine. In any case, I should apologize.(彼が悪かったのか私だったのか分からない。いずれにせよ、私が謝るべきだ)※これは自分を律する言葉なので相手を不快にはさせません
It might rain, or it might be sunny. In any case, we’ll be prepared.(雨かもしれないし、晴れるかもしれない。どっちにしても、準備はしておくよ) ※最悪の事態を想定している
先週「6月進研共通テスト模試」を受験しました。リーディングはわりと簡単で100点満点も複数いましたが(今年の本番は過去最高平均点)、リスニングは結構難しくて生徒たちはヒーヒー言っていました(今年の本番は過去最低平均点)。リーディングに関しては、センター試験時代の約3,000語に対して、「共通テスト」では約5,600語と倍近くなっているのに解答時間は80分と変わらないのですから、最後まで解けないと言う受験生が圧倒的にたくさんいるのも納得です。その大半は「語彙力不足」によるものですから、とにかく「単語力」をつけることを最優先に指導をしているところです。模擬試験はしっかりと見直しておきたいですね。
さてそんな「共通テスト」のリーディングでは、受験生が苦手としている、あるいは正答率がグンと落ちる特徴的な問題があります。今日はその問題を取り上げてみたいと思います。
(1)「意見」と「事実」問題
なくなる、なくなると言われ続けている問題ですが、このネット全盛時代に重要な問題提起を背景にしている問題ですから、絶対に消えることはないだろうというのが私の予想です。「意見」の選択肢には「形容詞」や「助動詞」が多用されることを知っておくと便利です。先日の「進研模試」でもこれだけで即解答可能でした(ある年に、大学入試センターは全ての選択肢に形容詞を潜ませるという対抗策を!)。
(2)並べ替え問題
第3問と第6問に2題、「出来事を起こった順に並べ替える問題」が出題されます。これを苦手としている生徒が多くいます。苦手な生徒たちにはこんなやり方を指導しています。
1.選択肢の英文の横に簡単に日本語でメモを書いておくのです。(例)「繁華街」「同じ服装」「ムードボード」「ミシン」「おしゃれ」→2.それから本文を読み始めます。→3.メモに書いた事項が出てきたら、即選択肢に番号を振っていきます。たったこれだけのことを実践するだけで正答率がグンと上がります。ここで注意しなければならないことは、(ア)ダミーが1つ混ぜてあるのでひっかからないこと。(イ)《難》必ずしも起こった順に英文が流れていないことがあるので要注意!、の二点です。
(3)推論問題
設問に「…most likely…」「…imply…」とか「…infer..」とあるのがこの問題の特徴で、本文に明確な記述はありません。本文に書かれている内容から推論して答える、という「共通テスト」特有の問題で、当然難易度は上がります。しっかりと本文を読み込みたいです。
(4)NOT問題
私が「NOT問題」と呼んでいる誤りを答える問題です。設問の中で「…NOT…」「…remove…」「…error…」といった形で問われる問題です。正しいものを3つ消して誤りを1つ見つけなければいけないので(消去法)、面倒くさく時間がかかります。当然難しくなり正答率が落ちる問題です。
(5)複数解答問題
正しいものを2つ選ばせる問題は、1つは正解しても、もう一つが見つけられないということで正答率が落ちる問題です。これは難しくなります。
私は練習で、これらの問題を解く時には、正解選択肢の根拠の痕跡を本文に残して解くようにうるさく言っていますが(「原文典拠の法則」「同一内容異表現の法則」)、誤りの選択肢の理由(「スリ替え」か「記述なし」)も答えさせるようにしています。これをやっておくと、出題者の誤りの選択肢作成の傾向もつかめますし、コツのようなものが養われていくのです。誤答の選択肢には間違いなく明確なパターンのようなものが存在しています。
◎講演の予告
このような「共通テスト」のポイント・コツのようなもの、勉強のヒントについて、6月17日に鳥取県立米子東高等学校の3年生に講演を行います。♥♥♥
1.日時 令和8年6月17日(水) 午後3時05分~4時45分
2.対象 米子東高校3年生
3.場所 多目的ホール
4.講師 特定非営利活動法人 勝田ケ丘志学館 八幡成人
5.演題 「英語は絶対に裏切らない!」
6.目的 受験勉強に向けた心構えを聞いて、本格的な受験勉強を開始する契機
とする
コンビニ「セブン・イレブン」の生みの親で名誉顧問の鈴木敏文(すずき・としふみ)さんが5月18日、心不全のためにお亡くなりになりました。93歳でした。私の尊敬する経営者です。鈴木さんは、1932年長野県生まれ。1956年(昭和31)に中大経済学部卒業後、東京出版販売(現トーハン)に入社。1963年にヨーカ堂(現イトーヨーカドー)に入社。米国で展開されていたコンビニエンスストアに着目し、1973年11月に米サウスランド社とエリアサービス、ライセンス契約を締結。翌1974年5月に、東京都江東区の豊洲にセブン-イレブンの1号店(東京都江東区・豊洲店)をオープンしました。「商店街のある日本でコンビニが成功する訳がない!」として、親会社だったイトーヨーカ堂からも反対の声が強かったといいます。1975年には、福島県郡山市・虎丸店で24時間営業を始めて導入し「あいてて良かった!」が、広く知られるキャッチフレーズとなりました。1978年にも、業界初となる、おにぎりの販売に挑戦。家庭で作ったおにぎりを目指しながら、パリパリののりという差別化で大ヒットに導きました。同年にはセブン-イレブン・ジャパンを立ち上げ、社長に就任。日本にコンビニを根付かせた「コンビニの父」と言われます。1991年には米国のセブン-イレブン(サウスランド社)を傘下に収め、世界最大のコンビニチェーンへと成長させました。1992年にはイトーヨーカドー社長、セブン-イレブンジャパン会長、2005年にセブン&アイ・ホールディングスを立ち上げると、会長兼CEOに就任しました。「まねはしない」信念を貫き、時代や社会の「常識外」を次々と積み重ねました。挑戦の連続から生まれた自信は、決してブレることはありませんでした。
グループの拡大路線を推し進め、2006年には当時の西武百貨店とそごうを傘下に持つミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を完全子会社化。祖業であるイトーヨーカ堂も含め、コンビニを核とする巨大流通企業を率いました。一方、「カリスマ」として長年君臨した結果、社内の反発を招くことにもつながりました。2016年4月7日、鈴木氏が主導し、当時セブン―イレブン・ジャパン社長だった井阪隆一氏を退任させる人事案を取締役会に提案するも、社外取締役らの反対で、これが否決され、創業家の理解も得られなかったため、鈴木氏は混乱の責任を取る形でセブン&アイHDの会長兼最高経営責任者(CEO)を辞任し、経営の一線から退きました。一種のクーデターでした。
かつて、アエラムックの企業研究として、セブン・イレブンが取り上げられたことがあります
。『強さの法則 勝ち続ける7つの理由』(朝日新聞出版)がそれです。コンビニ業界で独り勝ちを続け、躍進の著しかったセブン・イレブンを解剖した本です。私は中身はもちろんのことですが、付録についていた「鈴木敏文会長の名言集」が気に入りました。「成長を続けるには変化を恐れるな」「変化があるからチャンスがある」「「できない」という前に「できない理由」になっていないか考える」「皆が反対することはたいてい成功し、良いということは概して失敗する」などは、コンビニ業界だけでなく、教育現場の世界でも十分通用する法則です。私が知る鈴木会長の哲学を考えます(下線は八幡)。
「私はいまコンビニをめぐる環境が非常に厳しくなっていると危機感を持っています。必要なのは、部分的な”改善”ではなく”改革”です」と鈴木会長はおっしゃいます。「世の中はどんどん変化する。しかも真っ直ぐな道ばかりではないんですね。経営とは、アクセルとブレーキの繰り返し操作のようなもので、無理をしてスピードを出したり、脇見をしてうっかり踏み間違えれば重大事故につながる。必ず階段には踊り場があるように、経営も次のステップを踏み出す前に息切れしないように立ち止まれる踊り場が必要だということです」「安くすれば売れると考える人は恐らく過去の成功体験に縛られているんでしょうが、それこそ一番楽なやり方です。お客様は質を求めているのです」総括して「成功する秘訣は、簡単にいえば、皆がやろうとすることをやると失敗する、逆に皆が無理だということをやれば成功する、ということです。セブン・イレブンを立ち上げた時もそうです。周囲の人たちは『日本では絶対に成功しない』といって猛反対しました。それでも私は事業化に踏み切った。皆がダメだといって参入しないことに挑戦することに意義がある。それを実現させれば、他社が簡単に追随できない独自のビジネスモデルを作ることができるわけですからね」「まずは視点を変え、挑戦する価値があるかどうかを考える。そして、自分の中で6~7割、実現できる可能性が出てきたら挑戦する」 セブン・イレブンの強さの秘密を問われて、鈴木会長は「仕事に「これでいい」という、終わりなんてありません。奇をてらわず、やるべきことをコツコツ地道にやっていれば、結果は後からついてくる。継続は力なり。人生挑戦あるのみです」と答えました。なるほど。
コンビニという業態がない時代に、どうしたらお客様に喜んでもらえるか?に、お客さん目線で知恵を絞り、汗をかいたのが鈴木さんでした。鈴木さんは1970年代後半以降、なじみのなかった24時間営業で来店機会を増やすとともに、販売時点情報管理システム(POS)を活用し、品揃えや仕入れの最適化を図りました。こうした先進的な取り組みで、「近くて便利」なコンビニを消費者に浸透させ、おにぎりや温かいおでんなど、消費者のニーズを掘り起こして大ヒットを飛ばしました。2001年2月期にはチェーン全店売上高が2兆円を突破し、当時のダイエーを抜いて国内の小売業でトップとなりました。2001年にアイワイバンク(現セブン銀行)を設立し、銀行業にも参入しました。この時も経営は成り立たないと金融業界からは冷たい目で見られましたが、「無理だと言うのはいつも専門家で、利用する客は無理とは言ってない」と一蹴しました。店舗内に現金自動預け払い機(ATM)を設置しました。2007年にはプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」を発売。安さが売りになりがちなコンビニ商品と一線を画す「ちょっとしたぜいたく感」で消費者をつかみ、コンビニの成長を加速させました。現在の国内店舗数は業界最多の約2万2千店を展開します。
鈴木さんが第一線を引いたその後のセブンイレブンは、苦戦が目立っています。セブンイレブンは足元のコンビニ事業がさえません。鈴木さん自身も現状にはため息をついておられました。消費者が何を求めているのかを捉えた新たな革新が必要でしょう。セブンイレブンを日常的に利用する消費者の視点でこの2年間のセブンイレブンの「変化」のようなものを表現すると、気づくことが二つあります。「全体的にずいぶん高くなった」ということと「中身が減った」という感覚です。ひとつは競合するファミリーマートとローソンが意図的に「増量キャンペーン」を仕掛けていることもあるでしょう。消費者感覚としては依然、セブンイレブンは相対的に中身が少ないように見え続けているのです。そしてもうひとつの視点は、そもそも物価が上がっていることです。セブンイレブンが悪いのではなくそもそも世の中全体で物価が上がったことで消費者が苦しんでいる。苦しい中で見ると、もともと相対的に価格が高いコンビニがより高いように見えてしまうということです。
国内コンビニチェーンの明暗がはっきりと分かれてきました。ファミリーマートとローソンは過去最高益を達成したものの、王者セブンイレブンの国内コンビニ事業はまさかの減益。多額の広告宣伝費を投じてはいるものの、主力の加盟店売上が伸び切らず、利益が下押しされています。2025年度、セブンイレブンの国内コンビニ事業は、営業利益が5.8%の減少でした。一方のファミリーマートは17.9%増、ローソンが7.0%増と好調に推移しています。ファミリーマートは日商が54カ月連続で前年を超え、加盟店の利益は3年連続で過去最高を更新しました。ローソンも加盟店の利益は7年連続で増加しています。 ファミリーマートは2025年3月に大谷翔平選手を起用した「おむすび二刀流」キャンペーンを打ち出しました。その際、3月4日から25日までのおむすびカテゴリーの売上が前年同期間比で20%増を達成しています。この時、大谷選手の起用にばかりに目が向きましたが、ファミリーマートはおむすびの価格帯を低・中・高の3カテゴリーに分類し、コメの価格が高騰する中でも一部の商品は低価格路線を維持していました。 キャンペーン期間中は、低価格帯のおむすびの具を増量。さらに老舗おむすび専門店「ぼんご」や総菜の名店「柿安」監修のおむすびをラインナップし、高価格帯の商品に厚みをつけました。さらに「大谷選手ファミマおむすび割」を実施。ホームランか勝利投手となった翌日にクーポンを発行してお得感を醸成したのです。 その後もファミリーマートは「ぼんご」の作り方を参考にした「ふわうま製法」を開発。再び大谷選手を起用してキャンペーンを実施しました。コンビニのおむすびは、価格の高騰によってネガティブなイメージが染みついていましたが、ファミリーマートは価格帯に色をつけて分かりやすく提供し、商品のブラッシュアップも図りました。コストパフォーマンスを高めていたのです。 ローソンは、からあげクンやおむすび、スパゲッティなどが50%増量になる「盛りすぎ」キャンペーンが好評を博しました。やはり、お得感とコストパフォーマンスの醸成に成功しています。多くの消費者は、安さだけを求めているわけではありません。価格に見合った価値が得られるかどうかを慎重に判断しているのです。各コンビニの明暗はその差が出たようにも見えます。鈴木さんの口癖は「まずは良い商品を開発することを重視」でした。かつてと比べてセブンイレブンはそこら辺が緩んできているのだと感じています。「まねは常に人の後を追うだけ」「挑戦を中途半端にしない」「不便と思うから、反対されてもやる」90歳を超えてもなお、「限界はない。新しいことに常に挑戦してほしい」と、革新に熱意を傾けておられました。合掌。♥♥♥
今日は、かつて東京・高田馬場にあった書店「洋書ビブロス(BIBLOS)」を取り上げます。昭和から平成にかけて(1970~80年代)、学生、研究者、そして洋書好きやサブカルチャー層から熱狂的に支持されていた伝説的な洋書専門店です。インターネットが普及する前、洋書のペーパーバックや海外の雑誌をリアルタイムで手に入れるのが難しかった時代に、圧倒的な存在感を放っていました。高田馬場駅の早稲田口を出てすぐ目の前にある、ロータリーに面した「F.I.ビル(エフアイビル)」の4階にありました。駅前の一等地でありながら、エレベーターや階段を上がって店内に入ると、駅前の喧騒とは打って変わって、まるで海外の書店に迷い込んだかのような独特の知的で静かな空間が広がっていました。「株式会社スクール・ブック・サービス(SBS)」という企業が運営する店売部(実店舗)という位置づけでした。
英米の小説(ペーパーバック)はもちろん、フランスのガリマール社の書籍など、欧州の文学作品も棚に豊富に揃っていました。アメリカやイギリスの最新ファッション誌、音楽誌、ライフスタイル誌、さらには当時の尖ったサブカルチャー誌がいち早く並んでいました。洋書のアダルト雑誌まで多く扱っており、ビニール包装がされていなかったために「立ち読みスポット」にもなっていたようです〔笑〕。早稲田大学をはじめとする周辺の学生や教授陣の需要に応えるため、言語学のテキスト、学術書、辞書、ペーパーバックの定番(ペンギン・ブックスなど)も網羅されていました。
当時は、Amazonなどのネット通販はもちろんありませんし、大型書店でも洋書コーナーは限られていた時代です。そんな中、「洋書ビブロス」は「ここに行けば、今の海外のリアルな空気(カルチャー)に触れられる」という貴重な窓口でした。また、現地とそこまで変わらない現実的な価格(あるいは学生でもギリギリ手が届く価格)でペーパーバックを販売していたため、周辺の大学生(早稲田、学習院、日本女子大など)がこぞって通い、英語やフランス語の原書をここで買い求めては、ボロボロになるまで読むのが一種のステータスでもありました。独特のブックカバーや、洋書特有の「紙の匂い」に、えも言われぬ憧れを抱いた方も多かったようです。
残念ながら時代の変化とともに閉店してしまいましたが、当時の高田馬場を知る人々にとっては、「早稲田松竹」「名曲喫茶らんぶる」などと並び、「カルチャーの街・高田馬場」を象徴する忘れられない名店の一つとして、今でも色褪せない思い出とともに語り継がれています。公式な閉店理由は分かりませんが、恐らくは以下の要因があったのでしょう。
(1)1990年代以降の洋書需要の減少・・・洋書を扱う店がどんどん少なくなったのは、研究者・学生がそれだけ本を買わなくなってしまったという証左です。今では大型書店でさえも洋書の取り扱いから撤退する所も見られます。扱っている大型書店でも、洋書コーナーはめっきりと縮小し、寂しい限りです。
(2)大型書店(紀伊國屋書店など)やネット通販の台頭・・・大手には勝てません。それに現在ではアマゾンなどのネット書店がすぐに家まで届けてくれます。
(3)FIビルの改装に伴うテナントの入れ替え・・・実際FIビルは全面改装され、ビブロスの痕跡は消えています。
私は若い頃、一度だけお店にお邪魔したことがありますが、もっぱら通信販売でお世話になっていました。当時、松江市・今井書店では、洋書は注文しても1ヶ月くらいかかって「入手できません」と返事がくることが多かった時代です。とても親切で迅速なサービスをしていただけるので、新刊のペーパーバックはいつもここから手に入れていました。Ed McBain, Danielle Steel, Robin Cook, Harold Robins, Carolyn Keeneなど、お気に入りの作家の新作はここから送ってもらっていました。若かりし頃の懐かしい思い出です。♥♥♥