「島根県立美術館」の野外彫刻

 「ゴールデン連休」は青空が広がりポカポカ陽気だったので、島根県立美術館」に出かけてきました。「島根県立美術館」は1999年3月、山陰両県で最大規模の美術館として開館しました。「水と調和する美術館」「夕日につつまれる美術館」をコンセプトに、世界的建築家の故・菊竹清訓さんの設計で建築されました。宍道湖岸のこの美術館周辺には素敵な野外彫刻がたくさんあるんです。「島根県内に記念碑はあってもちゃんとした屋外彫刻がなく、彫刻も裸婦の立像のような肖像が多かった。そこで、ユニークな作品を見る機会を設けようということになった」と館長。私は普段田和山に自転車で出かけるときには、わざわざこの美術館を通って、宍道湖沿いに回り道をして、これらの彫刻を見ながら目的地に向かいます。私のお気に入りのスポットなんです。今日はその野外彫刻を概観してみましょう。

 まず宍道湖大橋を渡って美術館に着くと、正面入り口横の建物の前に、電動でゆっくりとぐるぐる回転している「動く彫刻」が出迎えてくれます。ステンレスの輪がアルミニウム土台の上を光や景色を反射させて、刻々と形を変えていくのが分かります。宍道湖のさわやかな空気の流れをイメージして作られた北海道出身の伊藤隆道さんの「舞う・風・ひかり」(1998年)です。

 美術館の正面入り口の庭にでんとそびえ立っている大きなモニュメントは愛知県出身の清水九兵衛さんの「語り合い」(1999年)。美術館の建物に違和感なくとけ込んでいる銀色の羽のついた3本の柱。よ~く見ると先端が曲がっていますね。美術館を訪れた人たちが向かい合って何かを話し合っている様子を表しています。

 美術館入り口自動ドアの前には、イタリア巨匠ヴェナンツォ・クロチェッティの彫刻「岸辺の娘」(1934年)が、リラックスしたポーズで腰を下ろして休息を楽しんでいます。半円形の台座に伸びやかな裸婦が鎮座しています。

 美術館を外に出て宍道湖に面する広場には、数多くのモニュメントが見られます。まず山根 耕さんの「つなぎ石作品―35」(1998年)です。どこか古代の遺跡を思わせる大きな御影石の作品です。その石を横に長くつないでいくと優しい表情を見せています。存在感たっぷりの彫刻です。よく見てみると石どうしは接してはいません。

 その横には有名な「宍道湖うさぎ」(1999年)が12匹並んでいます。藪内佐斗司さんの傑作ですね。うさぎがぴょんぴょん跳びはねて、最後に宍道湖を眺めています。よ~く観察するとうさぎは3種類の形しかありません。後ろ足で蹴っているポーズと、前足で着地しているだけの二種類の形を交互に配置させて動きを出しています。この中に縁結びの願いを叶えてくれるといううさぎが1匹だけいるのです。それは、先頭から2匹目のうさぎ。前から2番目のうさぎを触ると幸せが訪れるといううわさで大人気となっています。このうさぎにシジミをお供えして、西を向きながら撫でると幸せが舞い降りるとのこと。実際、このうさぎの前にだけ、たくさんのシジミが置かれていました。

 その隣には建畠覚造さんの「WAVING FIGURE」(1998年)が鏡のように磨いたステンレス素材で波状の曲面が複雑に光を反射して、宍道湖の風景に溶け込んでいます。曲面の線を3本の丸棒が支えています。ある地点からこの作品を見ると、波状のはずのラインが直線に見えるポイントがあります。

 渡辺豊重さんの「会話」(1998年)は会話の遊びを表現した作品です。作者は制作中この作品を海幸彦と山幸彦と呼んでいたそうです。作品同士が会話をしているような、あるいは作品を鑑賞している人に会話を誘うような楽しさのある作品です。この自然の中で真っ白なモニュメントは目立ちます。

 美術館の端のほうには、島根県六日市町出身の澄川喜一先生の「風門」(1998年)がそびえ立っています。天に突き上げ高くそびえる二本の石柱の間を宍道湖の風が勢いよく通り抜けます。磨き上げた部分は、しめ縄につり下げられる四手(しで)であり、下半分は花崗岩を割った状態となっています。宍道湖の風を迎え入れる結界を意図されているそうですよ。澄川先生の石像の産地はほとんど山口県黒髪島の花崗岩だそうです。私はこのモニュメントが大好きで、よく見に行っています。私のヒーリング・スポットです。東京スカイツリーの袂にも、「TO THE SKY」というこれとよく似たモニュメントがそびえ立っていますね。♥♥♥

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