「やる気」の三原則

 見山 敏(みやまさとし)という社長さんがいらっしゃいます。昔、オムロンにお勤めになり、死を覚悟したほどの大病の後、株式会社ソフィアマインドを起業されました。私がまだ若い頃、ご親切にも無料で送ってくださる「ソフィア」という自己啓発の機関誌を楽しみにしたものです。見山さんの真摯な生き方には大いに刺激を受けました。手当たり次第に著書を読んだものです。現在も見山さんのホームページ(⇒コチラです)にも、貴重な情報がたくさん出ていますのでお勧めしておきます。

  「どうもやる気が出なくて困っています」と、よく生徒から相談を受けることがあります。そういうときには、見山さんから教えてもらった「やる気の三原則」を紹介することにしています。それは、①目標が明確になっていること、②進歩の度合いが分かること、③ほめられ認められること、の三つです。我々教師の務めは、生徒の心に火をつけることですから、この見山さんの考えは参考になりますね。詳しく知りたい方は、見山さんの著書『やる気がでる』(ダイヤモンド社)をお読みください。

 私はアメリカの臨床進学者フレデリック・ハーズバーグ「動機づけ要因説」を読んだことがあります。彼は約200人の技術者と事務員への詳細な面接調査によって、仕事のやる気は、福利厚生、給料、作業条件、人間関係などの条件面の充実によって生まれるのではなく、これらは不満を和らげる歯止めの役しか果たさないことを明らかにしました。「やる気」を起こさせる要因は仕事そのものに立ち向かう動機づけがうまく成されているかにかかっており、それは5つあります。①やりがいのある仕事を通して「達成感」が味わえること、②達成した結果を上司や同僚に「認められる」こと、③「仕事そのもの」に自己の知識や能力を生かせること、④「責任」をもって仕事を任せられること、⑤仕事を通して能力が向上し、人間的に成長できること、つまり「外的要因」ではなく、「心的な動機づけ」であり、自己実現による心からの充足です。私の長い教員人生を振り返ってみても、間違いなくそうでした。ここら辺がリーダーの役割になるんです。

 「目標」に関する中国の有名なお話です。

 兄弟でロバを引いて歩いていたら、「無駄なことをしている」と言われたので、兄が乗ることにした。しばらくして行き違った人から「あの兄は年少者に対する愛情がない」と非難されたので、遠慮する弟を無理矢理馬上に押し上げたら、「礼儀を知らない弟だ」とまた人から叱られた。それではと、二人で仲良く乗ったら、こんどは「動物虐待だ」と騒がれたので、二人でロバを担いで返ってきた。

 さて私は、この兄弟はなぜこのような無駄な骨折りを続けなければならなかったのだろうか?と生徒たちに問いかけます。答えは簡単です。この兄弟はロバを利用するのか、ロバを愛するのか、礼儀を守ることを主とするのか、年少者をいたわることを主とするのか、要するに「目的」が確立していなかったのです。「目的(目標)」さえ確立しておけば、このように個々の状況判断において右往左往することはなくなります。人生は右往左往しているほど長くはないのですよ。♥♥♥

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