大学入試センターが嫌うこと

▲2月10日の私の講演資料より

 去る2月10日(土)に行われた、私のオンライン+対面講演「2025大学入学共通テストへ向けて~2024共通テスト分析から見える新課程共通テスト~」(ラーンズ)の中で、来年度の新課程の「共通テスト」を予測する上で、大学入試センターが絶対に嫌うことを述べたところ、実に面白かったというお声をたくさんの先生方からいただきました。「何をどのように学び、何ができるようになるのか」を明確にしながら、指導の狙いとする能力の育成を目指し、「主体的で・対話的で深い学び」の実現に向けた授業を改善していかなければなりません。来年の「共通テスト」がどのような出題になるのかは、「問題作成方針」「試作問題」「モニター調査」ぐらいしかヒントになるものはないので、今のところはっきりとは分からないのですが、大学入試センターが絶対に避けるであろうことは明らかです。ここにもう一度繰り返しておきますね。

 大学入試センターは、「入試問題で何が出題されたかが過度に注目され、そこから逆算するように授業が組み立てられる」ことを非常に嫌います。どんな観点でどんな問題が出題されているのかを分析して、対策に役立てるのは非常に重要なことです。どういう力を問おうとしているのかという狙いをはっきりと頭に入れた上で、今後の授業・指導の在り方を議論することも大切です。しかしそこから逆算して、小手先のあるいはテクニックで問題を解くための便法を現場が指導することは、大学入試センターは非常に嫌うんです。今までの「センター試験」「共通テスト」の歴史から、そのことを具体例で見てみることにしましょう。

 「センター試験」時代、かつては正解選択肢に非常に偏りが見られ、③や④に正解が多く見られました。受験生に少しでも英文をたくさん読ませるためにも、①や②に正解を置かないのは出題者の心理としてはよく分かります。そこで、分からない時には③か④に○をしておけ、といった予備校等の安易な指導が見られました。それに呼応するかのように、最近では①や②の正解も増えてきましたね。興味のある先生は、正解選択肢の分布を探ってみられるといいと思いますよ(こうやって疑問に思ったことは自分でデータを取ってみることは非常に大切なことです)。「正解選択肢は一番長いもの」といった対策もありました。どこから見ても絶対に本文と一致するように、また誤りの選択肢との差別化を図るためにもどうしても正解選択肢は長くなりがちな傾向が見られます。ところがこれも最近では、最も短い正解選択肢も見られるようになりました。またその昔、予備校では問題が配られたらすぐに裏返すような指導が行われました。私はその現場をこの目で実際に見ています。裏から第6問の最後の問題と選択肢が透けて見えるのです。待ち時間にそこだけでも読んでおけばそれだけ予測が深まることになりますね。笑い話のような話ですが、大学入試センターは最後に白紙を1枚挟むことで透けて見えることがなくなりました〔笑〕。狸とキツネの化かし合いといった感がありますね。「共通テスト」になり、目玉となる新傾向問題として「事実」「意見」の識別問題が出題されました。出題の意図は、正しい情報と誤った情報が混在する現在のネット社会において、正確な読解を基に客観的に情報を区別することが求められています。予備校では早速「意見」の選択肢には形容詞があるものといった対策が打たれました。本文を読まずとも選択肢を見るだけで正解が透けて見えるというのです。それに対抗するかのように、大学入試センターは全部の選択肢に形容詞を付けてきたことがありました。間違いなく意図的にやっています。本文を読まずに選択肢を見ただけで正解が分かるような問題も極力避けるように作られています。時系列に出来事を並べる問題も、起こった順番が本文に出てきた順番通りにはならないような工夫を施した問題が連続して出題されていますね。小手先ではない本物のしっかりとした英文理解が求められています。♥♥♥

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