「身の丈」

 住む場所や家庭の経済状況によって不公平が生じないか?昨年こんな質問に、萩生田光一文部科学大臣「『あいつ予備校通っててずるい』というのと同じ」などと反論。高3で受けた2回までの成績が大学に提供されることを踏まえ、生徒の境遇により本番までの受験回数に差が出るのを認めた上で、身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負してがんばってもらえば」と述べました。

◎ 「身の丈」の意味が国語辞典に載っていない!

 この「身の丈発言」が引き金となって、全国民を敵に回してしまい、英語民間外部試験が延期になったのはご承知の通りです。私は、「公平・公正さの担保」のただ1点から反対を表明していましたが(⇒コチラです)、予想通り中止となったことは記憶に新しいところです。ところで、この「身の丈」という言葉は、私はてっきり「身長」をいう言葉だと思っていましたから、文部科学大臣の使い方にちょっとビックリした次第です。その証拠に、私が引いた国語辞典のほとんどは、「身長」の意味しか載せていません。ただ、『三省堂国語辞典』(第7版,通称「三国」)だけは、「①せい。せたけ。 ②実際の(ささやかな)経済力や能力と記述して、「身の丈に合った生活」という用例を挙げており、さすがだと思いました。この辞典は、故・見坊豪紀(けんぼうひでとし)先生が、社会で実際に使われている用例を基に編んだ渾身の作品で、他の辞典とは一線を画しています。『広辞苑』(第7版、2018年 岩波書店)にも、「身の丈」の項目には「①身の高さ。せたけ。しんちょう。 ②その人や組織の実際の力量 身の丈にあった暮らしと出ていますが、明らかに『三国』の方が優れた記述です。

 萩生田光一文部科学相は7日、文科省職員への年頭あいさつで、大学入学共通テストでの英語民間試験や国語・数学の記述式問題の導入が直前で頓挫したことに触れて、「これは無理だということがあれば、勇気を出して声を出していただければ、違う展開もあった」と述べた。笑止千万。文科省の有識者会議で、検討当初から数々の問題点が指摘されていた(文科省内でも)ことが明らかになっていますが、政治主導で方針が強行決定されています。しかし、高校生や教育関係者の抗議活動や、昨年10月の彼の「身の丈発言」などで見送りに追い込まれました。その一方で、同氏はこの日、問題に気付いた現場の職員も政治家に直言すべきだったと説いたのです。さらに「政治は方向を決めるのが仕事。行政マンであるみなさんは、それを政策に制度設計をし、組み立てていかなくてはならない」とした上で、「我々より現場を知っているのがみなさん。プロとしての意識を持って、我々に反論する、そういう勇気もしっかりもって頂きたい」と語ったとのことです。これを私たちは「責任転嫁」と呼んでいます。私なら、こんな上司の下で働きたくはありません。♠♠♠

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 今週末はいよいよ最後の「センター試験」本番ですね。私は最後だけに、目標通り平均点が120点になるように出題されると予想しているんですが。親しくさせていただいている中川右也先生より、センター試験問題の詳細な分析をお送りいただきましたので、みなさんと共有させていただきます。これほど徹底的にセンター試験を分析しておられる先生は珍しいと思います。中川先生、いつもありがとうございます。中川先生とは、センター試験第2問に特化した教材、『センター試験英語過去問題集 文法・語法頻出17項目の演習 TREND 17』(桐原書店)を一緒に作りました。⇒ご紹介はコチラ   東京・新宿のピアソン桐原本社の高層ビルで、1日がかりで一緒に校正をやったことが、懐かしく思い出されます。♥♥♥

・「センター試験問題の分析と解法 2019年版」 三重県鈴鹿高等学校 中川右也先生 ⇒コチラで読むことができます

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