T字型の人材

▲小宮一慶さん

 私の尊敬する経営コンサルタントの小宮一慶(こみやかずよし)さんは、人生の経験を積む上で「T字型」の人材になることを意識して欲しいと言われます。「T字型人材」とは、特定の分野で優れた知識やスキルを持ち、加えて、他の人たちと協力して仕事をするのが得意な、従業員にとって価値のある資質を備えた人物のことです。Tの文字は2つの棒から形作られていますね。縦棒は、あなたの仕事で最も大切な固有の能力やスキル、それらに関連する知識の深さ・実績を表しています。しっかりと勉強と経験を積んで、自分しかできない深さを目指すことです。それに対して、横棒は、そのスキルや知識を使って、異なる専門分野の人とコラボレーションする能力のカバー範囲、また自分の専門分野以外の知識を応用する能力を表しています。「幅を広げる」つもりでどんどん視野を広げていくのです。「幅広い領域を知っているだけでなく、どれか一つは誰にも負けない深い専門性をもっているべき」、あるいは、その逆として、「専門を持つだけでなく、それらを活かせるためにも、様々なことを広く知ってカバーできるようにすべき」と言われます。「スペシャリスト」「ゼネラリスト」の両方の良さを兼ね備えた、柔軟性と高度さを持つ人材ということです。

 縦の専門知識が深まれば、横軸の幅広いその他の興味についても深みが増してきます。すると縦軸が長くなることにつながってきます。互いに相乗効果を生むことになるのです。横軸が広がれば、縦軸だけでは決して見えてこない意外なヒントを得る機会も増えてくるでしょう。先生方から「八幡先生は忙しいのにいろいろなことに興味を持っておられますね」と言っていただくことが多くあります。確かにいろいろなことに首を突っ込んできました。振り返ってみるに、私は今までこのT字型人間を目指してやってきたように思います。マジック、鉄道、水族館、トリックアート、プロレス、野球、美術、文房具等々。教育界以外の世界の人たちとも多く付き合ってきました。その人たちに助けられたことも何度もあります。こんなことを最後の授業で話しました。

 多様性が求められる現代では、「T字型人材」にとどまらず、さまざまな人材タイプが存在します。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。♥♥♥

◎Π型(パイ型)人材

Π型(パイ型)人材とは、2つの専門分野を持ちつつも、幅広い知見を持った人材タイプのことで、「ダブルメジャー」とも呼ばれます。T型人材よりも、さらにもう一つ専門領域が加わるため、より希少性の高い人材とされています。

◎△型(トライアングル型)人材

△型(トライアングル型)人材は、3つの専門分野を持った人材のことで、「トリプルメジャー」とも呼ばれます。T型人材Π型(パイ型)人材とは違い、幅広い知識の有無は問われません。

◎H型(イノベーション型)人材

2つの専門領域を持つ部分に関しては、Π型(パイ型)人材と変わりませんが、H型(イノベーション型)人材は、別領域の専門分野の橋渡し役となります。自分自身がハブ(媒介)となり、イノベーションを起こす人材として注目されているタイプです。

◎W型人材

W型人材とは、さまざまな知識やスキルを持ちつつも、スペシャリストほど深い見識は持たないが、複数のスキルの掛け合わせの力を発揮できる人材のことです。T型人材の次に位置する人材タイプです。

◎韮型(にらがた)人材

メルカリグループ全体のコーポレート部門責任者「VP of Corporate」の横田淳氏が考案した人材タイプです。という文字のように、横棒と縦棒が無数に増えていくさまを表しています。Π型(パイ型)、△型(トライアングル型)、H型(イノベーション型)に次ぎ、専門領域を3つ以上保有し、かつ別業種の知見を広く持った上で連携していける人材を指します。

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